他人ごとではないバイク騒音問題 自分が嫌なことを人にしていないか!?

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

バイクの騒音問題が再び目立っている

つい先日、バイクで走行中に棒で殴られる、というショッキングな事件が起きた。
バイクで走行中の男性の頭を棒で殴打したとして、傷害の疑いで大阪市に住む30代と20代の男二人が逮捕されたのだ。警察の調べでは「マフラー音がうるさくてバイクに乗った人を襲った」とのこと。二人は共謀し5月20日午後9時過ぎ、同市内の路上でバイク走行中の男性会社員(19)の頭を木製の棒で殴り軽傷を負わせたとしている。5月2日には近くの路上で2人乗りのバイクが男に棒で襲撃され怪我をする事件もあり関連を調べているようだ。

バイクの騒音に関わる問題は、かつて暴走族が全盛だった頃から度々取り上げられているが、また最近になって目立ってきている気がする。2018年にも名古屋で、公園でたむろする少年たちの「バイクの音がうるさい」として男がサバイバルナイフで刺す、という物騒な事件も起きている。

バイク乗りとして恥ずかしい

自分も最近、気になる場面に遭遇した。
たまたま外出先で閑静な住宅街を歩いていたときのこと。旧車の大型バイクに乗った2人組が爆音を上げて通り過ぎていくのを見た。マスクをしていたが、若者ではない中年男性だ。明らかに違法改造マフラーで、よりによってアクセルを煽りながらゆっくりと走っている。周囲には幼い子供を連れた家族連れや散策を楽しむお年寄りも多かったが、何事かと驚いて振り返り、その目がやがて軽蔑や怒りに変わっていくのが分かった。中には子供の耳を塞ぐ若い母親の姿もあった。

こういう場面に出くわす度にとても残念に思うし、恥ずかしい気持ちになる。当人もただバイクが好きで乗っているだけで悪気はないのだと思う。だが、その行為によって迷惑を受けている人、怒りを押し殺している人もいるのである。想像力の欠如なのか、あるいは自己顕示欲の歪んだ表れなのか……。
自分もライダーの一人として、こうした恥ずべき行為は本当にやめて欲しいと思う。「バイク乗りなんて所詮……」と思われるのも心外だし、バイクに対する悪印象が広がるのも悲しい。他の多くの普通のライダーもまた迷惑を被ることになるのだ。

過激なコメントに潜む恐怖と失望

あらためて、前述の事件のニュースに対するWEBのコメント欄にざっと目を通してみたが、今回の一件が周囲からどう見られているのかが伝わってくる。一部を要約して紹介すると、「周りに住んでる人への迷惑を考えない、警察に連絡しても追い払うだけで逮捕にはつながらない、何度走ってるところを襲いたいと思ったか」とか、「これは正当防衛。静かに暮らしている人々の邪魔をする輩にはそれ相応の罰が必要」など容疑者を擁護するような過激な意見も見られる。

また、ライダーからも「爆音で悦に入っているのは本人だけ。他者には迷惑でしかない。趣味だと胸を張りたいなら、他人への気遣いを忘れてはいけない」などのコメントも散見された。
もちろん、うるさいからと暴力に訴えるのは明らかに問題で違法だが、それを肯定するような意見も少なくないことに大きな恐れと失望を感じる。

権利の主張だけでは解決にならない

バイクに関わらず、近隣住民による騒音問題が殺人にまでエスカレートする事件が後を絶たない。それほど騒音問題は根深く恐ろしい。

音をどう感じるかは、その人によって、また同じ人でも心理状態によって大きく変わってくる。賑やかな曲がときに煩わしく感じたりすることもよくあることだし、ライダーにとっては心地よいエキゾーストノートでも、バイクに乗らない人にはただの騒音でしかなかったりもする。違法改造マフラーでなくても、ただのアイドリング音だけでも「うるさい」と感じる人も世の中には多くいるのだ。

違法改造マフラーは論外だが、「ノーマルマフラーだから」とか「車検対応だから」と権利を主張するだけでは何も解決されないと思う。自分がされたら嫌なことを、果たして他人にしていないか、をもっと真摯に考えるべきだ。バイク乗りとしての矜持を持って社会の手本となるような“大人の行動”をしていきたいものだ。

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ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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