二人乗り事故が多発!?タンデムは本当に危険なのか?

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

「バイク2人乗り事故」の実態とは

連休明けに起きた悲惨なバイク事故。ニュースでも大きく扱われていたので知っている人も多いことだろう。

5月14日夜、大津市の国道161号西大津バイパスで、2人乗りのバイクが前を走っていた乗用車に追突。バイクを運転していた男性(45)と後部座席に乗っていた女性(44)が頭などを強く打って死亡。現場は片側2車線の緩やかな右カーブで見通しはよく、乗用車とバイクはいずれも左側の車線を走行していた。現場の状況からバイクが乗用車を追い越ししようとしていたと推測されている。

バイクで2人乗り中に大きな事故が起きると、ニュースなどで『バイク2人乗り死亡事故』などの見出しが躍ることが多い。試しにそのキーワードで検索してみれば、数多くの事故事例が出てくる。ただ、実態としては少年による無免許運転や交通ルール無視の無謀運転なども多く含まれていることが分かる。
ともあれ、そういう見出しばかりを見ていると、バイクで2人乗りすることがとても危険なことのように思えてくる。だが、本当にそうなのだろうか。

タンデム=危険、というわけではない

1人乗り(ソロ)と2人乗り(タンデム)による事故率の違いなどを正確に示した統計などは意外にも少ない。少し前になるが、高速道路における二輪車二人乗り解禁に向けた自工会の調査によると、欧州の例として下記のことが記されているので参考になるだろう。

●高速道路の2人乗り事故はきわめて少なく、交通事故死者全体の0.1%程度。
●2輪車にとって高速道路を走るリスクは一般道を走るリスクの3分の1。
●2人乗りの事故発生率は1人乗りを下回る。

特にイタリアでは高速道路を走行する2輪車の半数以上が2人乗りとみられ、事故は1人乗りが79.0%、2人乗りが21.0%の割合で発生するなど、タンデムのほうが事故発生率は低い傾向にあるとのこと。また、高速道路での2人乗りの事故原因についてドイツおよびイタリアの警察に聴取した結果、両国において二人乗りが原因となっておきた高速道路上での二輪車事故は記録にはなかったという。
つまり、高速道路におけるタンデムは危険とは言えないと結論づけているのだ。ただし、これは高速道路に限定されるので、一般道も含む国内の例となると話はまた違ってくるかもしれない。

パッセンジャーの命に責任を持つ

4輪に比べ2輪はタンデムによる運転特性の変化が大きいことも知っておくべきだ。クルマに人をひとり乗せたぐらいではほとんど変化も感じないが、バイクでタンデムとなると加速は鈍るし制動距離は伸びるしコーナリングも重くなる。立ちゴケしそうになっても重量増を支えられるだけの体力やスキルも必要になる。パッセンジャーがバイクに慣れていないほど操縦は難しくなり、「すり抜けでヒザや爪先をぶつける」「ブレーキングでのしかかられる」「加速で落っこちそうになる」「コーナリング中に怖がってバランスが崩れる」などもありがち。つまり、パッセンジャーの教育も必要になるということ。

もちろん、法的にも2人乗りは認められているしタンデムでのツーリングはソロにはない楽しさもあるのだが、運転特性の変化への対応力やより一層の安全マインドが求められる。極論すれば、パッセンジャーの命に対して責任を持つだけの覚悟が求められるのだ。
だからこそ、2人乗りには排気量50cc超で免許取得から1年以上経過し20歳以上であること、高速道路ではさらに厳しく125cc超で大型二輪免許または普通二輪免許を取得してから3年以上経過していることなどが定められているわけだ。

タンデムツーリングが気持ちいいシーズンがやってくる。無理せず無茶せず慎重に。何よりも無事に帰ってくることが一番大事なことだと、あらためて心に刻みたい。

ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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