ライテク都市伝説を斬る その18 [イメージトレーニングが大切]

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

誰だって無意識にやっているイメージトレーニング

私がインストラクターを務めるライディングスクールでは、ジムカーナ風のパイロンコースを走ることがあります。いきなり走り始めてもコース取りに右往左往することになりますから、まず歩いてコースを覚えてもらいます。

多くの人はバイクで走る情景を頭に描きながら歩きます。一周して元に戻ってからパイロンを眺め、コース取りをイメージしている人も多く見掛けます。このように無意識にやってしまうことも、立派なイメージトレーニングです。

ライディングの上達のためにはイメージトレーニングが役に立ちます。これはライディングに限らず、スポーツ全般に共通することでもあります。でも、そのやり方が大切だと思います。ちょっとやり方を間違っている人もいるのです。

大切なのは、身体操作感覚

イメージトレーニングの第一歩は、先ほどのパイロンコースでのコース取りかもしれません。実は昔のロードレース教本だと、サーキットを走るうえでもこうしたライン取りに終始していたきらいがあります。たとえば、コース脇の看板を目印にブレーキングを開始し、路面のシミのところで寝かし込み、イン側の監視小屋に目を向け、縁石のキズのあるところのクリップを目指す、といった具合です。

そうした情景を頭に思い浮かべることで、自信を持って走れるようになることも確かです。でも、それはイメージトレーニングの本質ではないと考えます。

パイロンコースを歩いて回るとき、イン側のパイロンに向かって上体を傾ける仕草をする人も結構います。これは、本来のイメージトレーニングの入り口かもしれません。が、決して完璧ではありません。

肝心なのは、身体操作で走りをイメージすることなのです。ごく一部ながら、パイロンコースの下見で、歩くステップに合わせて身体をうねらせ、走りをイメージする人がいます。そう、これなのです! 実際にも、これを自然にこなしてしまう人は上級者でもあるのです。

主観的感覚と客観的感覚

これまでの都市伝説シリーズで幾度となく書いてきたように、ライディングの本質は、身体そのものを移動させる体重移動ではなく、ボディラングエイジによる体重移動です。でも、このことを知っていないと、身体操作のイメージトレーニングもできません。自分の中にない概念をイメージすることはできないのです。

でも、イメージトレーニングによってそれを習得できる可能性があります。GPライダーの走りの動画を繰り返し見て、そのイメージを繰り返したとします。これは客観的イメージです。そして、それを自分がやっているようにイメージしたら、その骨格や筋肉の感覚は主観的になります。客観を自分がこなしていく主観に落とし込むことができるのです。

公道走行にも生かせる

スポーツを習得するとき、最初はいちいち頭で考え動きもぎこちなくなりがちですが、練習を繰り返し、何度もイメージすることによって、無意識にこなせるようになります。それがイメージトレーニングでもあるのですが、これは公道を走るうえにも有効です。

たとえば、私は右側通行の地域を走り出す前、右側を走っている様子を数秒イメージします。幹線道路に出るときの一旦停止で、手前車線は左側から車輛が走ってくることもイメージします。これは頭の中で走行前のルーティンになっているのですが、安全に役立っていると信じています。また、対向車線から曲がってくる車両など、注意すべき場面について、状況を考えておくのも大切でしょう。

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「ライテク都市伝説を斬る」シリーズ一覧

和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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