メッツラーのクルーザータイヤ2種を比較テスト 「クルーズテック」「ME888マラソンウルトラ」

▲テスト車はハーレーのスポーツスター883。クルーズテックは’06年式、ME888(ホワイトウォール仕様を装着)は’09年式に装着し、あらゆる状況で約500kmを走行した。

【ビッグマシン・ゼロ:文-中村友彦 写真-真弓悟史】

まさかここまで、どちらにも立つ瀬があるとは……。それが、2種類のメッツラー製クルーザータイヤを体験した、現在の僕の心境だ。

と言っても、今回のテストの目的は、新発売となったクルーズテックの特性を理解することで、すでにこの分野の定番であるME888はあくまでも比較用として準備したのである。だがしかし、クルーズテックのスポーツ性に驚く一方で、ME888の絶大な安定&安心感にも、僕は大いに感心してしまったのだ。

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多種多様な状況を走ってそれぞれの美点を実感

まずは本題である、クルーズテックの概要を説明しよう。この製品の背景には大排気量・高出力化が進んでいるハイパフォーマンスクルーザーへの対応、既存のユーザーとは異なるスポーツ指向のライダーの需要に応えるという意図があり、プレスリリースには、〝コーナリングが待ち遠しくなる〞、〝クルーザーでSSをブッちぎれ!〞と記されている。なかなか大胆な言葉だが、確かにそう言いたくなるほど、クルーズテックはスポーティだった。

既存のクルーザータイヤと比較した場合、誰もが気づくクルーズテックの美点は車体の軽快さだろう。コーナーでは進入時にブレーキがよく利くうえ、エッ? と言いたくなるほど車体の向き変えが素早く行えるし、バンク中の前後輪や、コーナー脱出時に後輪から伝わるグリップ感は完全にスポーツタイヤの領域。クルーザー用としての耐久性や快適性を確保しつつ、よくぞここまでの運動性が構築できたものだ。

今回のテスト車・スポーツスターは車重250kg程度だが、こうした特性は車重300kg以上のビッグクルーザーでは親しみやすさにも寄与するはずだ。

あまりに好感触だったのでピレリジャパンに問い合わせたところ、クルーズテックのトレッドパターンや構造には、同社のスポーツ&ツーリングラジアル・ロードテック01の技術が投入されているとのこと。改めて考えると、最先端ラジアルタイヤの技術を、ここまでダイレクトに転用したクルーザータイヤは世界初じゃないだろうか。なお前述したスポーツ性だけではなく、冷間時の暖まりの早さ、磨耗時の性能劣化の少なさ、ウェットに対する強さという点にもロードテック01の技術が活かされているそうだ。

さて、こうなると難しいのはME888の評価である。’13年デビューのこのタイヤは、先代モデル・ME880の構造を踏襲しつつ耐久性や剛性を見直した製品で、そのME880は’08年の登場。当然だが最新技術は投入されておらず、クルーズテックから乗り換えると、旋回性やグリップ力が何だか物足りなく思えてしまうのだが……。意外なことに、それが気になったのは試乗の前半だけで、心身が適度に疲れた後半は、これはこれで全然楽しいし、十分スポーティじゃないか、という気分になっていた。クルーズテックほど速く走れなくても、ME888は乗り手に操る手応えを明確に感じさせてくれるのだ。

逆にME888の穏やかな乗り味を体感した後だと、クルーズテックは〝曲がりたがり〞のように思えて来て、数日以上のロングツーリング、あるいは、クルーザー初心者の場合は、場合によってはその特性がマイナス要素になるのかもしれない。

その証拠に、真っ暗な峠道やウェット路面でクルーズテックからME888装着車に乗り換えた瞬間、僕は思わずホッとしてしまった。クルーズテックに不安を感じていたわけではないけれど、ME888は乗り手の心に大きな余裕を生んでくれるのである。

ここまでの文章を読んだ皆様は、スポーツ指向のユーザーにはクルーズテック、ツーリング好きにはME888と思っているだろう。それはその通りなのだが、クルーズテックでツーリング、ME888でスポーツライディングが楽しめないわけではまったくない。妙な表現になるものの、スポーツとツーリングを比率で表すなら、クルーズテックは7:3、ME888は3:7という感じだろうか。いずれにしても現在の僕は、多くのクルーザーユーザーに、この2種類のメッツラーを両方とも体感して欲しいと感じているのだ。

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メッツラー クルーズテック

【クルーザー用ハイグリップ】

スポーティなラウンド形状

メッツラー製クルーザータイヤは、以前から他社製品より丸みを帯びたラウンド形状(=軽快感に寄与)を持つが、さらなるスポーツ性を追ったクルーズテックは、ラウンドの曲率が一定ではなく、部位ごとに変化するマルチラジアスを採用。

構造でグリップさせる

▲一般的クルーザータイヤ

▲クルーズテック

クルーズテックの構造的特徴はカーカスやベルトコードを太くして本数を減らしたこと。この構造でゴムの使用量を増やすことができ、路面を包み込むような高い追従性を実現。コンパウンドではなく、タイヤの構造で高グリップを生み出す。

摩耗しても性能は不変!

近年のメッツラータイヤ同様、クルーズテックは磨耗が進んでも本来の性能を維持。リヤ用はセンターのコンパウンドが左右下部に入り込む、キャップ&ベース式のデュアルコンパウンド。

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メッツラー ME888マラソンウルトラ

【カスタム界の超定番】

北米市場で絶大な人気を誇るマラソンシリーズは、各社の純正サイズに加え、カスタムバイクへの対応も考慮した膨大なバリエーションが特徴。フロントの23/26インチや、リヤの280/300mm幅といった特殊なサイズでも、操安性が破綻しないように作り込まれているのも高支持率の一因だ。

非純正派の絶大な支持

通常と逆向きにタイヤレターを刻むのは、深いフェンダーでタイヤ上半分を覆っても、下側のレターを上下正しく見せるための配慮。ショーの見映えを意識したもので、カスタムへの高い理解が伺える。

▲ME888のマイレージは、メーカーの見解でクルーズテック+10~15%。ただし実際の磨耗限界は使い方に左右される。

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