ライテク都市伝説を斬る その17 [兎にも角にもニーグリップ]

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

この鉄則は上達へのワンステップだが

昔から言われるライディングの鉄則の一つに、ニーグリップたるものがあります。膝で燃料タンクをしっかり挟め、ということです。

確かに、このことでマシンをホールドできて一体感が得られることは事実ですし、フルブレーキングではかなり有効です。また、高速で激しくマシンが振られたときは、ニーグリップによってマシンから放り出されることなく、安定性を取り戻すこともできます。第一、膝がだらしなく開かれたフォームは見るからに締まりがなく、カッコよくありません。

ですから、このニーグリップは間違ってはいません。ただ、そのことで下半身をがっちり固めてしまっては、スポーツとしてのライディングを楽しむことはできないのです。

身体操作は体幹主導が基本、そして、その起点は股関節

ライディングに限らずスポーツでは体幹主導での身体操作が基本で、その起点は股関節にあります。ですから、股関節を柔軟に動かさないといけません。

私自身を自撮りした写真で、右側の股関節は外旋、左側は内旋しています。ライディングではこうした動きが必要で、言ってみれば、これは右コーナーで見られる動きでもあります。

大腿骨は骨盤に真っ直ぐ下側からくっ付いているわけでなく、大腿骨の根元が曲がった部分が骨盤に斜め向きに接合しているため、骨盤は大腿骨が外旋する側に引かれ、内旋する側から押し込まれる性質があります。つまり、これが体幹移動の初動となり、コーナー側に導かれるというわけです。その意味で、コーナーの内足を開き、外足の膝をタンクに押し当てる動作は間違っていません。

膝をガチっと挟んでしまっては、こうした動きを止めかねません。膝でタンクを挟んでも、膝をボールに例えるなら、膝がタンク上を転がっていくイメージを持つのもいいでしょう。

基本フォームはイチローのバッティングの構えに通じるのかも

スポーツ、特に球技でのボールの動きに身構える際、両足外旋位(どちらかと言えばガニ股)で、弱外旋力(外旋させようとする力)が掛かった構えが基本です。体幹を安定させ、外旋力を生かして俊敏に対応しやすいからです。

ライディングでも同じです。そんなわけで、両膝を少々開いても、くるぶしを挟んでグリップすればいいという考え方もあります。ですが、何かの際に即対処するには、膝はタンクに当てておいたほうが有利です。

そこで思い付くのが、あのイチローのバッティングの構えです。彼は両足を内旋位(ウチ股)に構えます。ただし、内旋位であっても弱外旋力が掛かっています。外旋側への可動域を大きくし、パワーを引き出しやすくしているのです。

そう考えると、イチローの構えをイメージして、バイクに跨るのも悪くないのかもしれません。

【関連コラム】
「ライテク都市伝説を斬る」シリーズ一覧

和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

この著者の最新の記事

           

ウェビックパートナーストアでのアプリ初回利用で1,000ポイントが必ずもらえる!
ページ上部へ戻る