賀曽利隆のバイク旅「一宮めぐり」(1) 残り2社、越中の雄山神社と出羽の大物忌神社で達成

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

前回:賀曽利隆の「Vストローム250を相棒に 東北一周3000キロ」(4)

70歳の誕生日を迎えた2017年9月1日、スズキの250㏄バイク、Vストローム250を走らせて、「70代編日本一周 」に旅立った。今回が8度目の日本一周になる。「東日本編」、「西日本編」の2分割でまわった日本一周だが、94日間で2万5296キロを走り、12月17日に東京・日本橋にゴールした。

▲「70代編日本一周」に出発。東京・日本橋で

日本の47都道府県に足を踏み入れ、47都道府県庁所在地を通過し、「日本本土四極」の納沙布岬(北海道)、宗谷岬(北海道)、神崎鼻(長崎)、佐多岬(鹿児島)の東西南北端に立った。

岬には徹底的にこだわるカソリ、「日本本土四極」のみならず、北海道の4極、本州の4極、四国の4極、九州の4極と、「日本本土十六極」にも立った。さらに沖縄本島では最北端の辺戸岬と最南端の喜屋武岬(実際にはその南の荒崎だが)に立った。

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旧国にこだわって日本を巡るとおもしろい

ぼくがそれ以上にこだわったのは日本の旧国だ。今回の日本一周では、「五畿七道」の68ヵ国に足を踏み入れた。佐渡、隠岐、壱岐、対馬、淡路の島国5国にも渡った。

バイク旅の良さは国境がよくわかること。国境では必ずバイクを止めた。峠や大河のようなわかりやすい国境はいいのだが、たとえば伊豆と駿河のような通り過ぎたのも気がつかないような国境では、何度も行き来した。そして旧東海道の幅2、3メートルほどの川(境川)が国境になっているのを確認するのだった。

日本の旧国を面白がるようになったのは、民俗学者の宮本常一先生が所長をされていた日本観光文化研究所で、日本を歩かせてもらうようになった30代からのことである。地図を見ると、まずは旧国の国境に赤線を引いた。日本を旧国単位で見ていく方が、はるかに面白いということがわかったからだ。
たとえば静岡県だったら伊豆、駿河、遠江で、愛知県だったら三河と尾張で、岐阜県だったら美濃と飛騨で見ていくという旅の仕方だ。

「50代編日本一周」(1999年)と、それにつづく「島めぐり日本一周 」(2001年~2002年)でも日本の旧国68ヵ国をまわった。それのみならず、旧国のシンボルとしてそれぞれの国の一宮、68社をめぐった。驚かされたのは68ヵ国のすべてに千何百年という歳月を乗り越えて一宮が残っているということだった。

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賀曽利隆のバイク旅(4)「島めぐり」

何という生命力。それ以降、カソリの「一宮めぐり」は始まった。

一宮は1国1社ではなく、複数社の国も多い。カソリのカウントでは68ヵ国に全部で104社ある。ということで、ことあるごとに日本各地の一宮をめぐるようになり、ついに100社を超えて102社になった。
残るのは越中の一宮の雄山神社と、出羽の一宮の大物忌神社。ところがこの2社が大変なのである。雄山神社は立山の山頂、大物忌神社は鳥海山の山頂にまつられている。

まずは立山だ。
2019年7月26日、越中の一宮、雄山神社に向かった。里宮の2社、岩峅寺の雄山神社(前立社壇)と芦峅寺の雄山神社(中宮祈願殿)を参拝し、立山の玄関口の立山駅へ。そこからケーブルカーと高原バスで標高2450メートルの室堂まで行った。

室堂から立山登山が始まる。ヒーヒーハーハーいいながら標高2690メートルの一ノ越まで登り、雄山山頂への急坂を攀じ登っていく。立山は雄山(3003m)、大汝山(3015m)、富士ノ折立(2999m)の3峰から成っているが、そのうちの雄山山頂に雄山神社の本宮がまつられている。

▲雄山(右)、大汝山(中央)、富士ノ折立(左)の立山三山を望む

雄山の山頂に到達したときは感動の瞬間。そこからは北アルプスの後立山連峰の山々を一望。すぐ近くまで雷鳥の親子がやってきて、登山の疲れを癒してくれた。雄山神社の本宮では若い神主さんにお祓いをしてもらうのだった。

▲雄山山頂の雄山神社本宮を参拝する

次に鳥海山だ。
2019年8月31日、鳥海山5合目の鉾立山荘を出発し、鳥海山頂の出羽の一宮、大物忌神社に向かった。御立小屋で昼食を食べ、頂上を目指したが、吹き飛ばされそうになるほどの強風に耐えて登った。大雪渓を渡り、最後は大岩がゴロゴロする急崖を登り、ついに山頂の大物忌神社を参拝することができた。

▲鳥海ブルーラインで鳥海山5合目の鉾立にやってきた

▲麦茶を飲みながら鳥海山を登る

▲鳥海山頂の大物忌神社に到達!

立山登山、鳥海山登山にはtododesuさん、chobidesuさんのお二人と一緒に登ったが、お二人のサポートがあって登れたようなもの。tododesuさん、chobidesuさんには感謝、感謝だ。

こうして日本全国の一宮104社をめぐったので、これからはまた新たな気持ちで「一宮めぐり」をしたいと思っている。一宮は一度行けばもうそれでいいというものではなく、繰り返し繰り返し行きたくなるような魅力のポイントなのである。

このあとは、みなさんに全国104社の一宮を見てもらおう。そしてぜひとも、みなさんご自身で行ってみてください。

>>賀曽利隆のバイク旅「一宮めぐり」(2) 全国104社の一宮

賀曽利隆

賀曽利隆 冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、北アメリカ、南アメリカと、バイクで世界の6大陸を駆けめぐる。
1975年の結婚後も旅をつづけ、赤ん坊連れでの「シベリア横断→サハラ砂漠縦断」を成しとげる。
1980年、鈴木忠男さん、風間深志さんとバイクでキリマンジャロ挑戦。1982年には風間深志さんと「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦を果たす。
1987年~1988年には「サハラ砂漠往復縦断」を成しとげる。
「30年代編日本一周」以降、10年ごとの「年代編日本一周」を繰り返し、2018年12月31日には1年4ヵ月に及ぶ「70代編日本一周」を終えた。
「年代編日本一周」とは別に、「島めぐり日本一周」、「温泉めぐり日本一周」、「林道日本一周」の「テーマ編日本一周」もおこなっている。2006年~2007年の「温泉めぐり日本一周」では1年間で3,063湯の温泉(温泉地)に入り、ギネスの世界記録に認定されている。『ツーリングマップル』の「東北」担当で、東北の道という道を精力的に走りまわっている。モットーは「生涯旅人!」

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