バイクにとって最も危険!「右直事故」に遭わないためには

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

先月28日(日)の夜9時頃、三重県松阪市の国道166号で伊勢市方面に向かっていた250ccバイクと反対車線から右折してきた乗用車が衝突。バイクに乗っていた男性(50)とその妻(49)の2人が全身を強く打ち死亡した事故が発生しました。乗用車を運転していた女性(43)は軽傷。現場は片側2車線の直線道路で、警察が事故の原因を調べているとのことです。

バイクが犠牲になる悲惨な右直事故が、また起きてしまいました。直進するバイクと右折しようとするクルマの間で起きる典型的な「右直事故」。バイク側のダメージが甚大になりがちで、2輪車の事故の中でも最も危険なパターンと言っていいでしょう。

見通しの良い直線道路で何故?

ニュース映像などを見ると事故現場は見通しの良い直線道路で、右折車は反対車線側にあるガソリンスタンドに入ろうとしていたようです。そこに2人乗りの直進するバイクが衝突したようです。

事故現場を見ていると、何故こんな場所で? と思ってしまいます。詳しい状況は分かりませんが、ひとつ考えられるのは夜だったことです。バイクはクルマに比べて車体が小さく目立たない存在で、特に正面から見ると小さく実際よりも遠くに見えることはよく知られています。とりわけ夜間では、ほぼヘッドライトの光しか見えず、距離感や速度感もつかみづらくなります。あるいは、他のクルマの眩しいヘッドライトに眩惑されて、直進してくるバイクに気付かなかったのかもしれませんし、ガソリンスタンドに入ることに必死でそもそもバイクを見ていなかった可能性もあります。

後を絶たないサンキュー事故

交差点での右直事故では、トラックなどの大型車が前にいて右折直前まで視界を遮られていることもあります。また、対向車の影からすり抜けしてくるバイクに気付かないまま、対向車に促されるまま焦って右折して事故になる「サンキュー事故」も後を絶ちません。

ただ、今回のケースは直線路で発生してて、状況を見る限りは右折しようとしたドライバーの不注意としか言いようがないと思われます。たった一瞬の判断ミスが尊い2人の命を奪ってしまうという事実に恐れおののくばかりです。

高齢ドライバーは特に薄暮が危ない

専門機関の研究データによると、右折事故の当事者車両で見ると大型車になるほど右折車側になる率が高く、また高齢者ほど右折車側になる率が高くなっています。時間帯別では年齢層を問わず、暗くなるほど右直事故が多く発生していますが、ただし65歳以上の高齢者だけは「薄暮時」における右折車側になる率が高くなる傾向があり、特に高齢者はその時間帯における視力低下などの影響が大きいようです。

つまり、バイクからみると自分が直進しているときに右直事故に遭いやすく、相手が大型車になるほど、また高齢者になるほど見落とさせやすいということを意味しています。

出典:『右直事故発生における人的要因の分析』(吉田伸一/交通事故総合分析センター)

大型車の陰に入ってはいけない

普段道を走っていると、トラックやバスなどの陰に隠れるようにして走っているバイクを見かけることがあります。それは右折車からはバイクが見えず、バイクからも右折車は確認しづらくなるということ。大型車の陰にいると安心という気持ちも分からないわけではありませんが、中には直進車をかすめるようにギリギリのタイミングで右折してくるクルマもいます。

自分の存在をアピールする

自分の場合、前に右折車が待機しているのを見たら、一時的にあえて車線のセンター寄りのラインを走るなど、大型車などの死角に入らないよう注意しつつ、なるべく自分の姿を相手に見せるようにしています。その意味では、やはり目立つ服装が大事です。

また「自分は直進しているのだから」などと優先意識を持たず、ちょっとでも危険な香りを感じたら速度を極端に落として相手の様子をうかがうなど、常にアンテナを高くして緊張感を持って走ることが大事だと思います。

夏場は解放的な気分になって気が緩みやすい時期です。あらためて、自分の安全意識やライディングについて見つめ直してみていただければと思います。

ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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