インディアンのFTR1200はオールマイティな新種だった

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

インディアンFTR1200 和歌山利宏 試乗インプレッション速報

爽快で衝撃的なコーナーでの身のこなし

インディアンから登場したFTR1200は、ワークスフラットトラックマシンFTR750のエッセンスが注入されたオンロードスポーツです。前後輪径は19/18インチ(レースマシンは前後19インチ)で、ホイールベース1524mmとピュアロードスポーツより100mm長いとなれば、決して良く曲がるとは思えないところです。

ところが実際には、動画を見て頂ければ明らかなように、実によく曲がります。それでいて、マシンから旋回性をひけらかすことがなく、あくまでも自分がマシンをリードする感覚で、伝統的な前後19/18インチのバランス感が印象的です。

その曲がり方はしなやかと言ってよく、クルっと曲がり、旋回中もアンダーっぽさがなく、ニュートラル性を維持。おまけに、大径のフロントにありがちな、大きくきっかけを与えて進入していくような鈍重さもなく、素直に曲がり始めます。

このことには一つに、剛性バランスの良さが大きく貢献していると思います。車体の剛性感は十分にして、全体がスムーズにしなり、そのことでよく曲がり、高速安定性を高めてくれているかのようです。ピボットシャフトがクランクケースで支持されるのは、ホイールベースを短縮するためとのことですが、これが剛性バランスにも好影響を与えているのでしょう。

しかも、前後サスのストロークは150mmと大きく、路面の不整もうまくいなしてくれます。そのことと大径フロントが相まって、荒れていたり砂が浮いていたりする現実的な路面のコーナリングでも、安心して攻め込むことができます。動画の走りからも、そのことを察してもらえると思います。

荒れたダート上で速さを競うフラットトラッカーのフィロソフィーが、サーキットではなく、現実的なワインディングでの走りを高次元化させているのです。

フラットトラッカー直系ゆえのオールマイティさ

そして、そうした特徴が日常性を高めています。上体が起きたライポジは快適で、取り回しやすく、前方視界も良好なので街乗りでのストレスも少なく、大径ホイールと長脚サスのおかげで、街中にある少々の段差も物ともしません。ハンドル切れ角も昨今のネイキッドモデルよりも大きく、取り回し性と機動性を高めてくれています。街乗りにも順応してくれるのです。

エンジンは、スポーツVツインとしては最大級となる1200ccの排気量が与えられるも、最高出力は120psに抑えられ、全域でトルクフルです。しかも、フィーリングがマイルドでスムーズなので、優しさに満ち溢れています。キビキビと走れる一方で、クルーザーのような味わいの中で、快適にクルージングできます。

ただ、唯一、身長161cmの私にとって残念だったのは、足着き性がアドベンチャー並みで、良くないことなのですが、そのネガをさほど深刻に感じなかったことも事実です。燃料タンクがシート下に配置され、低重心化とマスの集中化が図られたことで、足着き時の安定感が高かったからです。

このFTR1200はワークスFTR750をモチーフとしています。でも、決してフラットトラッカーというわけではありません。そのエッセンスを受け継ぐことで、オールマイティさと公道への順応力が高められているのです。その意味で、新種とするのが適当と感じたのでした。

【FTR1200】の新車・中古車を見る
【FTR1200S】の新車・中古車を見る

和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

この著者の最新の記事

関連記事

編集部おすすめ

  1. 2019年6月22~23日、FIMトライアル世界選手権の第3戦オランダGPにて、TrialE…
  2. もれなくもらえる最大3万円分のポイント! 新車・中古バイク検索サイト「ウェビックバイク選び…
  3. リラックスした乗車姿勢とロングホイールベースによる怒濤の直進安定性を誇り、悠々と旅ができる……
  4. リラックスした乗車姿勢とロングホイールベースによる怒濤の直進安定性を誇り、悠々と旅ができる……
ページ上部へ戻る