バイクの醍醐味は排気量だ!でも大きければ良いというものでもない

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

バイクにはいろいろな楽しみ方がある。愛車を自分好みにカスタムする喜びもあるし、ピカピカに磨き上げるのが趣味という人もいる。気の合う仲間とロングツーリングに出かけたり、サーキットでスポーツライディングに打ち込んでみたり、と人それぞれだ。

でもやはり乗り物であるからには、乗ってなんぼという部分はあるだろう。いろいろなバイクに乗ってみて初めて気付くことも多い。
自分は幸運なことに仕事柄、新旧大小古今東西のいろいろなバイクに乗る機会があるが、最近よく思うのが排気量の面白さだ。

パワーで40倍、車重で5倍の差がある

バイクは排気量で区別されることが多い乗り物だ。50ccや125ccなどのいわゆる原付やミニモト、昔は中型と言われた250ccや400ccなどのスモールクラス、今や500ccから800cc程度は世界的にはミドルクラスとなり、1000cc前後のリッタークラスとそれ以上のオーバーリッタークラス、そして上は量産市販車でも2000ccクラスまで多様化している。

たとえば50ccと2000ccでは排気量にして40倍の違いがある。具体的にイメージしてみよう。ホンダの原付スクーター「ジョルノ」(排気量49cc/車重81kg)とホンダ・ゴールドウイング(排気量1833cc/車重380kg)は排気量で37倍、車重で4.7倍の差がある。
そして、最高出力では4.5psに対して126psと28倍の差だ。パワーだけで言うと、さらにスーパースポーツの「CBR1000RR」などは192psもあるから、42倍の開きがあることになる。
そして、加速性能やトップスピードではおそらく10倍近くの差になると思われる。

排気量が大きいほど難しい

同じバイクという乗り物ではあるが、これだけ差があるとなれば、もはや違う乗り物と言っていい。
身近な乗り物としてクルマがあるが、軽自動車と高級セダンでもスペック的にこれだけの差はないし、たとえ億単位のヴェイロン級スーパーカーでもどうか?といったところだろう。

そして重要なのはバイクの操縦特性だ。2輪はどんな排気量のマシンでもライダー自身が体重移動やステップ荷重、操舵などの直接的な入力を加えることで操っている。人車一体と言われる所以であり、そこが4輪とは大きく異なる部分だ。
何しろバイクはハンドルを切っても曲がらないし、下手にアクセルを開けてもブレーキをかけても転んでしまうというやっかいな乗り物だ。

一般的には排気量が大きくなるほど車重もパワーも大きくなるため、ライダーの仕事が多くなり操作が難しくなる。最近は電子制御でそれを補ってくれる部分もあるが、最終的にはライダーの判断力やスキルが求められる。
そういう難しい乗り物だから、免許区分も細分化されているし(といっても大まかに3段階だが)、乗れる人(乗りたいと思う人)もクルマに比べると圧倒的に少ないのは仕方ないことだろう。

排気量によって操縦特性も変わる

最近はオンシーズンということもあり試乗会やメディアの一気乗り企画もたけなわで、先週から今週にかけていろいろなバイクを50台以上は試乗した。同時に乗り比べて分かるのが排気量による操縦特性の違いだ。
もちろん、スーパースポーツやクルーザーなどのセグメントの違いや、2気筒と4気筒、V型と直4などのエンジンレイアウトの違いなども少なくはないが、やはり最も大きな差は排気量の大きさによって現れてくる。

バイクを交代しながらサーキットコースを周回していると、個々のマシンのエンジンやハンドリングの特性が見えてくる。大雑把に言って大排気量車は直線が速く、小排気量車はコーナーが速いのはご周知のとおり。
パワーと質量の関係だからここまでは容易に想像がつくと思うが、難しいのは大排気量車のパワーや小排気量車の軽さをどう生かすかだ。

大きければ速いとは限らない

「大」には加速力がありトップスピードも高いが、車重もあるためどうしても制動距離が必要になる。つまり早めにブレーキをかけないと止まれないのだ。

一方で「小」はなかなか加速せずトップスピードも伸びない代わりに、軽量コンパクトな車体を生かしてストレートエンドまで突っ込めるし、高い進入速度をキープしたままコーナーに飛び込んでいけるメリットがある。よく言われるように、「大」にはストレートでぶち抜かれるが、「小」はコーナーで刺し返せるというやつだ。

また、コーナーひとつとっても前半の減速している1次旋回は「小」が速く、後半の加速状態に変わる2次旋回では「大」が有利だったりもする。これはたとえば、プラットフォームを共有化した250と400の兄弟車でも微妙な差として現れたりするので興味深い。大排気量マシンが必ずしも速いとは限らないのだ。

考えながら走りを組み立てるのが楽しい

もちろん、ライダーのスキルやコースレイアウト、タイヤやサスペンションの性能、その他の外的要因もあるので何とも言えない部分はあるのだが一般的にはそんな感じだ。
だから、試乗するときは排気量や車重、パワーとトルク、ホイールベースやキャスター角、タイヤ銘柄などのデータを頭に叩き込んで、どう走れば最も効率的に安全かを考えながら走り方を組み立てる。無意識かもしれないがやっていると思う。

バイクはいろいろ考えながら走りを組み立てるのが楽しい乗り物だ。その中で外せない大事な要素が「排気量」なのだ、という今回の話である。

ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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