新しいカタナはあくまでも今日的ストリートスポーツだった

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

新しいカタナの国際試乗会が京都で開催されました。世界からやって来たジャーナリスト達は、日本のクラフトマンシップの原点とも言える刀鍛冶を見学するなど、日本の文化も堪能したに違いありません。

肝心の試乗会は、京都の嵐山・高尾パークウェイを貸し切って行われました。それはもう壮大な試乗会でした。

まずは、その様子と私の走りを、動画でご覧ください。

基本素性をGSX-S1000から受け継ぐ

カタナの走りは、今日的なストリートスポーツそのものです。エンジンも車体も車両のベースはGSX-S1000だからです。一言で表現すると、スムーズでしなやかといったところでしょうか。

ただ、ライポジは、初代カタナのカフェレーサースタイルとは大きく異なり、ベースのS1000よりもアップライトで、昔の普通のビッグバイクかのようです。

だから、快適にワイドレンジに使えるのですが、快適さに甘えてしまうと、体重移動がおろそかになり、リヤを固く感じるかもしれません。昔のネイキッドスーパーバイクみたいに積極的に体重移動したほうが、スポーティなポテンシャルを引き出しやすいようです。

もちろん、着座位置が80mm前方に移動し、上体も起きていて、リヤに荷重しにくいことに対処して、リヤサスのバネが1ランク柔らかくされ、わずかにフロントフォークの油面を下げて、姿勢変化させやすいようにされていて、最適化が図られています。

さらに体重が56kgの私の場合は、リヤサスのプリロードを1段か2段(最弱)にしたほうが姿勢変化させやすく、コーナリングしやすかったこともお伝えしておきましょう。

標準装着のダンロップタイヤも、S1000の舵角を入れて曲げる面白さを感じさせたスポーツマックスD214に対し、カタナではリーンに伴い素直に曲がっていくロードスポーツ2とされ、幅広いライダーに受け入れられやすくなっています。

好敵手のZ900RSと比べると、フレームの特質が分かりやすい

好敵手となろうZ900RSと比べて走りがどうなのか。多くの方はそのことに興味があるのではないかと思います。

Z900はやや排気量が小さく(実質的に5%)、最高出力も110psに抑えられ、特性も中速型で、取り回しもしやすくストリート寄りです。対して、150psを発揮するカタナは、高性能スポーツ指向と言えます。

でも、そのこと以上に、マシンから受けるフィーリングが異質です。そのことには、Z900RSがトラスっぽい鋼管フレームであるのに対し、カタナはツインスパータイプのアルミフレームであることの影響が大きいと感じます。

Z900RSの鉄フレームだと、車体がしなりやすく、また元に戻りやすくて、フィードバックが緻密なことで、マシンからはキャピキャピ感が伝わってきます。

対して、カタナのアルミフレームは、ゆっくりしなって、ゆっくり元に戻ってくる感じで、剛性そのものは高いはずであっても、むしろしなやかさがあって、そのことがマシンの表情を豊かにしています。でも、大きい荷重に生き生きとしてくる面では、高荷重指向と言えます。

フレームの材質とデザインの違いが、両車のキャラをより明確にしていると感じたのでした。

和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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