賀曽利隆の「ツーリングマップル・ツーリング」(第3回目)ツーリングマップル関東甲信越 P38 青梅編

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

前回:ツーリングマップル関東甲信越 P25 八王子編

みなさんが愛用されている『ツーリングマップル』(昭文社)を使っての「ツーリングマップル・ツーリング」は、開いたページにトコトンこだわり、そのページ内を走りつくすというもの。今回は『ツーリングマップル関東甲信越』のP38(青梅)を日帰りツーリングで走ってみた。

12月15日6時45分、神奈川県伊勢原市の自宅を出発。寒さも何のそので、相棒のVストローム250を走らせる。新東名の厚木南ICから圏央道に入り、厚木PAで朝食。「西伊豆しおかつおうどん」(580円)を食べた。塩味のきいた固めのうどんを食べて一息つくのと同時に、ここでは旅気分も味わった。厚木PAでは日本各地のB級グルメを食べられるのだ。

▲新東名の厚木南ICを出発。正面には大山が見えている

▲圏央道の厚木PAで朝食。B級グルメの「西伊豆しおかつおうどん」を食べる

「西伊豆しおかつおうどん」を食べ終わったところで、熱いお茶をすすりながら『ツーリングマップル関東甲信越』のP38(青梅編)を開いてプランニング。このページは関東の山並みが平野に落ち込む一帯。山裾には南から北へ、五日市、青梅、飯能などの町々がリング状につながっている。その東側を首都圏大環状の圏央道が通り、もう一本東側を同じく首都圏大環状の国道16号が通っている。

▲『ツーリングマップル関東甲信越』の38ページ(青梅)を開いてプランニング

8時45分、圏央道のあきる野ICに到着。ここからP38のエリアに入っていく。あきる野ICで降りると、五日市街道(都道7号)で五日市へ。JR五日市線の終着駅、武蔵五日市駅前でVストローム250を止めた。終着駅というのはもうそれだけで旅心をひきつけるものがある。

▲あきる野ICで圏央道を降りる。ここからP38(青梅)が始まる

▲あきる野ICから五日市街道(都道7号)で五日市へ

▲JR五日市線の終着駅、武蔵五日市駅前に到着

五日市駅前を出発。檜原街道(都道33号)を行く。秋川沿いに走り、一気に山中に入っていく。あきる野市から檜原村に入ると一段と山深い風景になる。東京にもこのような山国があるのだ。

▲五日市の町を走り抜けていく

▲五日市から檜原街道(都道33号)を行く

檜原村の中心、元宿の村役場前を過ぎたところが分岐点。ここで北秋川と南秋川が合流し、秋川になるが、この分岐点を左折して南秋川沿いの檜原街道を行く。 檜原街道は都道33号から都道206号になって数馬に通じているが、分岐する「上川乗」の交差点からはそのまま都道33号を行く。タイトなヘアピンカーブが連続する峠道を登りつめ、山梨県境の甲武トンネル入口に到達。ここで折り返したが、峠道に凍結箇所はなかった。

▲都道33号の甲武トンネル。ここは東京・山梨の都県境。トンネル入口で折り返す

上川乗の交差点に戻ると、さらに檜原街道(都道206号)を行く。難解地名の「人里(へんぼり)」を通り、最奥の集落、数馬へ。ここには「数馬の湯」がある。屋根が兜形をした兜造りの民家も残っている。

▲檜原街道(都道206号)を行く。ここは難解地名の「人里(へんぼり)」だ

数馬から山梨県境の西原峠を越えると、前回(P25八王子編)でふれた西原になるが、数馬と西原は昔から交流があった。このような兜造りの民家は西原でも見られるし、甲州の各地でも見られる。養蚕が盛んだったころは2階で蚕を飼っていた。

数馬は奥多摩有料道路が開通(1973年)するまでは、まさに行止りの集落で、そのころはよく「東京の秘境」といわれた。奥多摩有料道路は1990年に無料化され、それ以降は奥多摩周遊道路で知られている。

▲最奥の集落、数馬から奥多摩周遊道路(都道206号)を行く

数馬からは奥多摩周遊道路(都道206号)を行く。ライダーにも大人気のルート。快適なコーナリングが連続する。コーナーをクリアするごとに高度を上げ、標高1,140メートルの風張峠に到達。気温は氷点下2度だったが、路面に雪はなく、凍結箇所もなかった。峠からは奥多摩の山々を一望。風張峠を下ると、国道139号との分岐点に出た。

▲奥多摩周遊道路最高所の風張峠。標高1,140メートルの峠に雪はなかった

▲奥多摩周遊道路の風張峠からの眺め。奥多摩の山並みを一望する。ここは絶景峠!

国道139号で小河内ダムの奥多摩湖にかかる深山橋を渡り、青梅街道(国道411号)に出た。深山橋交差点を左折し、都県境を越えて山梨県の丹波山村に入る。ここまでがP38(青梅)のエリアになる。

▲奥多摩周遊道路の風張峠を下ると国道139号に出る

▲青梅街道(国道411号)の東京・山梨の都県境

▲山梨県側の丹波山村の集落を望む

丹波山村に入ったところで折り返し、青梅街道で青梅に向かう。都県境から1キロほど走ったところにある食堂「島勝」で昼食にする。ここで食べた「とろろめし定食」(900円)はおすすめだ。山里の家庭の味を楽しめた。

▲青梅街道(国道411号)で東京都に入る

▲青梅街道沿いの食堂「島勝」で昼食にする

▲食堂「島勝」の「とろろめし定食」。これはよかった!

奥多摩湖を見ながら青梅街道を走る。小河内ダムの脇を通り、多摩川の渓谷を行く。
JR青梅線の終着駅、奥多摩駅に寄り、12時30分、青梅に到着。JR青梅線の青梅駅前でVストローム250を止めた。ここからは奥武蔵の峠を目指すのだ。

▲JR青梅線の終着駅、奥多摩駅前。終着駅には心をひかれる

▲JR青梅線の青梅駅前を出発。さー、峠越えの開始だ!

青梅駅前を出発。都道53号で都県境の小沢峠を越えて埼玉県に入り、名栗川沿いの県道53号で上名栗へ。この一帯は林業の盛んなところで、「西川材」と呼ばれる杉や檜の昔からの産地だった。江戸の西の方から送られてくるので西川材と呼ばれたようだ。

▲小沢峠のトンネルを抜けて埼玉県に入る

上名栗から山伏峠を登っていく。つづら折りの峠道を登るにつれて名栗川の谷間を見下ろす。滑り落ちそうなほどの急傾斜の畑も見る。標高610メートルの山伏峠に到達。峠上で折り返した。

▲県道53号の山伏峠に到達。ここは「峠返し」で折り返す

来た道を戻る。山伏峠を下った上名栗からは県道395号で天目指峠を越え、高麗川沿いの国道299号に出た。ここでは正丸峠まで行って折り返した。

▲上名栗から県道395号で天目指峠を越える。名栗川から高麗川へ

▲国道299号の正丸峠のトンネル。トンネルの入口で折り返す

正丸峠から飯能へ。その途中では高麗神社に寄り、高麗峠を越えた。

▲高麗神社の「天下大将軍」と「地下女将軍」の石塔。ここの祭神は高句麗の皇子

飯能の町に入ると、西武線の飯能駅前でVストローム250を止めた。じつはこの高麗峠こそが、「峠越えのカソリ」の原点なのだ。

▲国道299号の高麗峠。ここは記念すべきカソリの第一番目の峠なのだ!

今から45年前の1975年3月28日、ぼくは初めてバイクでの「峠越え」をした。 そのときカソリ、27歳。峠を越えながら日本という国を見ていこう、日本中の峠を制覇してやろうという意気込みで飯能駅前を出発点にして、奥武蔵の峠を越えたのだ。

20代の大半を費やしてバイクで世界中を駆けまわったが、その反動とでもいおうか、20代の後半になると無性に日本を見てまわりたくなった。その時、日本をまわる切り口として峠を選んだ。

「さー、これからは、日本中の峠を越えてやるぞ!」

という熱い気持ちで始めた「峠越え」だったが、期待感とともに「ほんとうにやれるだろうか…、これから先、峠をおもしろく越えていけるのだろうか…」といった不安感の入り交じった気持ちで飯能を出発したのだった。

この時に越えた高麗峠がカソリの第1番目の峠になる。それ以来45年で1,700余の峠を越えた。今でも「日本中の峠を越えるぞ!」という気持ちは強く持っている。

▲西武線の飯能駅前に到着。ここから青梅経由で出発点の五日市に向かう

飯能を出発。「P38(青梅)」の最後の行程を行く。県道28号→都道28号→都道53号で青梅へ。青梅からは都道31号で二ツ塚峠を越え、JR青梅線の武蔵五日市駅前に戻った。そして来た時と同じようにあきる野ICから圏央道経由で伊勢原へ。全行程349キロの『ツーリングマップル関東甲信越』の「P38青梅編」であった。

賀曽利隆

賀曽利隆 冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、アジア、ヨーロッパ、オーストラリア、北アメリカ、南アメリカと、バイクで世界の6大陸を駆けめぐる。
1975年の結婚後も旅をつづけ、赤ん坊連れでの「シベリア横断→サハラ砂漠縦断」を成しとげる。
1980年、鈴木忠男さん、風間深志さんとバイクでキリマンジャロ挑戦。1982年には風間深志さんと「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦を果たす。
1987年~1988年には「サハラ砂漠往復縦断」を成しとげる。
「30年代編日本一周」以降、10年ごとの「年代編日本一周」を繰り返し、2018年12月31日には1年4ヵ月に及ぶ「70代編日本一周」を終えた。
「年代編日本一周」とは別に、「島めぐり日本一周」、「温泉めぐり日本一周」、「林道日本一周」の「テーマ編日本一周」もおこなっている。2006年~2007年の「温泉めぐり日本一周」では1年間で3,063湯の温泉(温泉地)に入り、ギネスの世界記録に認定されている。『ツーリングマップル』の「東北」担当で、東北の道という道を精力的に走りまわっている。モットーは「生涯旅人!」

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