のめり込むほどに熱いバイクライフを!(上)~ 柏秀樹のバイクライフ論

【柏秀樹:モータージャーナリスト】

どんなバイクに乗るか

どんなバイクに乗るか。バイクが好きであればあるほど、それって大事なテーマになる。人生の大事なひと時、あるいは惚れたバイクとズーッと一緒にいる、と思うだけでワクワクしてくる。人と出会うことときっと同じで、どんなドラマがこれから始まるのだろうか、と期待がどんどん膨らんで行く。

私のバイク選びは年式の新旧、排気量の大小、オンロードやオフロード、国産車や外車という洋の東西を問わない。機械としての優劣や良悪は長いこと乗ってきたので微細にわかるようになったけれど、ポイントはそこじゃない。

乗らず嫌いは喰わず嫌い

自分にとってカッコいい、乗ってみたい、楽しい、気持ち良い、欲しい、など自分とそのバイクの走りのイメージが浮かんできて、ちょっとでもキラリと心が動きさえすれば理屈は不要。惚れたら一直線。それでいいんじゃないだろうか。否、それが正しいんじゃないだろうか。

例えば、ネットで評価されているわけでもない普通のラーメン屋に入ったら、思いのほか美味だった!ってことがある。これと同じでベストセラー以外のバイクでも、乗って思わず惚れることがある。乗らず嫌いは喰わず嫌いと同じというべきか。

その昔、友人が50ccのバイクを私に買ってくれないか、と持ちかけてきた。1ミリも興味がなかった私だったが、走り出した瞬間にビビッときて、速攻で買った。2ストローク空冷50ccの、スズキ・マメタンというバイクだ。前輪が浮いてくるほどシャープな吹き上がりが、最高に気持ちよかった。50ccってこんなに楽しいのか、と感動した。

トライアンフ・タイガーとの出会い

次に想定外の行動に出たのはトライアンフ・タイガー995iというバイクだった。南フランスで行われた2003年のワールドプレスローンチ・試乗会で乗ったら、これが大当たり。前後サスは柔らかくて「なんじゃこれ?」というフワフワの乗り心地だが、ペースを上げるほどにシャキッと安定してくるわ、ロングホイールベースなのに、タイトコーナーでは嘘のようにグイッと曲がってくれるわ、3気筒の回転フィールもサウンドも、これまでに経験していなかった味。

▲タイガー955i溺愛時代。ビッグタンクが好きでビッグオフにはまりタイガーへ。それ以前はアフリカツインのスペシャルタンク装備のオブジェクトダカール仕様にも乗っていた

一瞬でハマって、帰国して日本一小さなバイクショップかも、という知人の店でさっそくタイガーを購入。非常にレアな存在だったこのバイクは、24Lのビッグタンクと、しなやかすぎる猫足サス。その流れで後継モデルにいろいろと乗り継ぎ、現在のタイガー1200に至る。

どんなバイクにも今なお興味がつきない

始まったばかりの世界一過酷なパリ・ダカールラリーに憧れ、5年後の1984年に24L容量のXL600Rファラオのタンクを、XLX 250Rに搭載してエジプトのラリーに参戦。大型タンクのオフロードバイクで、砂漠を駆け抜ける楽しさを知った私の標準形、といえば「ビッグタンクのオフロードバイク」。

▲当時、ヤマハモーターフランスのマネージャーだったA・コワルスキー(左)。現在はダカール・ラリーチームの監督

190214_08▲1984年。オフ車にビッグタンクをつけた人生最初のラリー。エジプト:メナ王・クフ王のピラミッドを背景にジャンプ

▲レース規則350km以上の航続距離だった1996年のダカール・ラリーで使ったヤマハモーターフランス製XTZ850TRXのタンクは4分割52Lという巨大なものだった

と言っても、同時期に乗っていたCB450や、XS650などスリムなツイン系が好きだったし、ハーレーの鼓動感強すぎのクルーザーも、BMWやモトグッチのツイン・テイストも、今なお興味が尽きない。フュージョンとベスパなどで、累計15万km近く走ってきた小径ホイールのスクーターにも、今なお熱い目を注いでしまう。さらにサーキットでこそピュアに楽しめる、4気筒スーパースポーツ車も欲しい!というのが本音。

何を諦めるか?

でも人生は短い。バイクに乗れる時間は有限だ。片っ端から欲しいバイクを手に入れて、トコトン楽しむ、というわけにはいかない。何かを諦めるからこそ、選んだバイクをとことん大事にして愛していける。その時間は短いかもしれないけど、濃密なひと時をきっと誰でも過ごしたい、と願っていることだろう。

現在市販されているバイクは、どれも煮詰め方がうまく、良い悪いが簡単に言えないし、前回のコラムで述べたようにバイクは「直感的に!」選べばいい。デザインでも色でもサウンドでも好きなことに理由・理屈は不要だ。乗りこなせるか、維持できるか、という問題も極端にいえば後でいい。選択理由が単純でも、動機が本気なら、そのバイクを簡単に諦めたりするはずはないから。

柏秀樹

柏秀樹 モータージャーナリスト

投稿者プロフィール

1954年2月24日、山口県岩国市生まれ。大学院生時代に作家片岡義男と出会い、バイクサウンドを収録したLPレコード『W1ツーリング」を制作して以来、クルマのサウンドを含めた数多くのLPやCDを手がけ、世界で最も厳しいダカールラリーなどに参戦しながらバイク専門誌・一般雑誌・新聞・単行本執筆のほか各地各企業向けに講演・実技指導を行なっている。
自身のライフワークであるライディングスクールKRSを2007年に開校。開催数1000回を超え、受講生数は延2万人以上を数える。65台に及ぶバイク遍歴とバイクで走った距離120万km以上も含めて国内外オンロードやオフロードで経験してきた膨大な知識やノウハウを次世代へ伝えることに腐心。
ベストセラーのライテクDVD「ビッグマシンを自在に操る」シリーズ5本。近著、モーターマガジン社刊「IQライディング」を含めて著書30冊に及ぶ。

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