アドベンチャーモデルの方向性を物語るミシュラン・アナキーの進化

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

アドベンチャー系のキャラはタイヤの影響が大きい

バイクでは、タイヤのハンドリングへの影響度は、四輪車と比べ、大変に大きいものがあります。車体をリーンさせ、生じる舵角を利用して駆っていくだけに、そうした特性がタイヤによって決まってくるからです。

近年では、カテゴリーごとに設計手法が確立し、それぞれに適合するタイヤが完成しているだけに、選ぶタイヤが適正であれば、ハンドリングに問題がでることはありません。
でも、40年ぐらい前だと、タイヤとのマッチングによって、好ましくない症状が生じることがありました。裏を返せば、タイヤによってハンドリングの完成度を高めていたことになります。

そうした見方で昨今のアドベンチャー系のハンドリングに注目すると、改めてタイヤの影響に気付かされます。

アドベンチャーは、その旗艦的存在であるBMWのGSがそうであるように、パリダカレプリカとして生まれてきたオンオフツアラーです。絶大な人気を博しながらも、実際にはその汎用性や快適性ゆえ、オンロードツアラーとかコミューターとして使用されることが多く、オンオフ使用割合は90:10%程度になってきたことも事実です。

そこで、R1200GSは2013年型でオンの走行比率が引き上げられ、オンロードモデルとしての性格が強められました。そのことに大きく寄与していたのが、GSのOEタイヤとして多く採用されるミシュランのアナキーです。

IIからIIIへ、そして今回、Adventureへ

フルチェンジされた2013年型GSのハンドリングは、トータルマッチングによるものながら、オン指向のハンドリングにはアナキーIIIの特性が強く反映されています。

私は、2013年初頭にポルトガルで行われたミシュランの試乗会において、ジムカーナ場で新型GSにアナキーIIとIIIと履き比べて乗る機会に恵まれました。

▲Anakee-2

▲Anakee III-AR-34

▲Anakee III-AV-34

アナキーIIIは新しくなったGSのOEタイヤですから、オンロードスポーツの感覚でコーナーをこなせます。でも、IIだと、従来型と同様に、ビッグオフローダーのようでした。高重心の車体が倒れ込む感覚で、リーンアウト気味に身構え、タイトなコーナーでは足を出したくなるハンドリングだったのです。

アナキーIIIでは、タイヤが発生する横力が、バンク角増大に伴い、頭打ちになることなく、リニアに大きくなる特性を求め、幅広扁平化させるとともに、リーンに伴い接地面積が大きくなるものとしています。見た目にも、明らかにオンロードタイヤ的です。

▲Anakee Adventure

そして、2019年型GSにOE装着されるのが、IIIから発展したアナキーAdventureです。オンオフの走行比率を80/20%とし、トレッドパターンもブロック状で、溝面積が大きくされています。つまり、性格をオフ寄りに戻したことになります。

実際、オフロード性能が強化されていることは明らかで、アナキーAdventureを履いたアフリカツインには、トレッドが砂利を掴んでいる感触があります。

となると、オンロード性能が犠牲になっているとの先入観を抱いてしまいますが、全くそのようなことはありません。手応えはオンロードスポーツらしく、高い接地感を伴ち、狙い通りにインを目指すことができます。トラクション性能も高く、リヤがブロックパターンであることも感じさせません。

さらに、ウェット性能は、最新型ロードタイヤの水準にあります。写真のように、ドライ路面であるかのようなブレーキングも可能です。

アナキーの最新型Adventureは、オンもオフも高水準化されていたのです。

新しいアナキーに乗り、アドベンチャー系人気の存続を確信

アドベンチャー人気を支えるタイヤ

昨今、我が国においても、かつては考えられなかったほどに、アドベンチャー系に多くの人たちが注目するようになっています。

私が思うに、一台であらゆる用途に使用した昔のバイクの汎用性が、それらに今日的に高次元にパッケージングされているからではないでしょうか。とにかく、快適で使えるのです。

このようなオンオフタイヤの進化が、ますますアドベンチャー系の魅力を高めてくれるわけですから、その人気が衰えることはないと思えてくるのです。

和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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