足着きが不安なライダーに朗報の技術発見

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

たかが30mm、されど30mm

身長161cmの私にとって、足着き性は由々しき問題です。足着き性に関して許容できるか否かは、体格だけでなく技量、いやそれ以上にバイクへの習熟度の問題が大きいのでしょうが、ともかく、シート高30mmの差が意外なほど大きいことは確かです。

私の場合、シート高820mmであればホッとさせられます。が、850mmというと乗る以前に気分がブルーになってしまいます。足着き性には、シート高だけでなく、シート形状や車体幅も影響しますが、ともかく私の足着き写真を見比べてください。

▲ブルターレ800
▲ツーリスモ・ヴェローチェ

830mmのブルターレ800だと、辛うじて両爪先が着くので大丈夫です。でも、850mmのツーリスモ・ヴェローチェだと、ご覧のように、もう大変です。

そんなわけで、シート高があと30mm低ければ‥‥と思うのは、私だけではないはずです。アドヴェンチャー系のモデルには、ローシート装着に加えサスストロークを短縮することで、30mmほどシート高を低くした低車高仕様車が設定されているものがありますが、これはそうした要求に応えたものと言えます。

じゃあ、足着き時に車高が30mm下がれば?

では、停止時だけ30mm車高が下がってくれれば、どうでしょう。それなら、厚めのシートの快適性や、ロングストロークサスの吸収性が犠牲になることはありません。

実は、そんな嬉しい技術が、SHOWAからEICMAで発表されたのです。

EERA HEIGHTFLEX(イーラ・ハイトフレックス)と名付けられたそれは、走行中は油圧ジャッキでプリロードを大きくして車高を最適値に保ちながらも、停止が近づくとプリロードが小さくなり車高が30mm下がるというものです。

実際のメカニズム図は未発表なので、言葉で説明するしかないのですが、油圧ジャッキには、モーターでなく、ストロークに伴なうオイルの流れが利用されます。

ダンパー内ではオイルがダンパー本体とリザーバータンク内で行き来きしています。そのオイル流路がソレノイドバルブで変えられ、停止が近づくと油圧ジャッキ内のオイルがリザーバータンク内に送り込まれ、車高が下がります。また、走り始めると、サスが縮むときにリザーバータンクに流れるはずのオイルがジャッキ内に送り込まれ、プリロードを高めるというのです。

SHOWAのブースにあったアフリカツインで体験

つまり、サスがストロークすることによって、車高が元の状態に戻るわけです。EICMAのブースではSHOWAのスタッフがサスを押して、それを体験させてくれます。

数回もストロークさせれば車高は高くなります。(写真:左)きれいな舗装路面でも数100mも必要になることはないそうです。
そして、車速が低くなると、車高が下がります。(写真:右)デモ車のアフリカツインではスイッチでの作動ですが、実際には速度センサーが用いられ、減速度からも下げるタイミングを最適化させるのだそうです。

このデモ車は、リヤのみのフレックスハイトですが、実際はフロントにもこれを展開予定とのことで、効果はますます確実になります。

また、走行中の車高は、車輛の積載量モードや走行モードとリンクさせて最適化させることもできるといいますから、何とも現実的なメカニズムではありませんか。


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和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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