今では250ccも1000ccも乗り方は同じ?

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

昔のGPにはクラスごとにスペシャリストがいた

昔のGPは、50、125、250、350、500ccと排気量が細分化されていました。それが83年に350が廃止され、84年には50が80ccクラスとなり、それも89年で廃止、その後は125、250、500の3クラスとなって、今の4ストロークの250、600、1000ccで争われるモト3、モト2、モトGPへと引き継がれています。

昔は、それぞれのクラスにスペシャリストがいました。それぞれに異なったライディングスタイルが要求されるため、他クラスで通用するとは限らなかったのです。私自身、125、250、350、500、4スト1000のF1とレース経験があるのですが、小排気量から大排気量への移行は比較的簡単でも、その逆では苦労させられただけに、そのことを痛感しています。

ところが、現在はモト3やモト2がモトGPへの登竜門として扱われ、スペシャリストを生み出さないシステムになっているとは言え、若いライダー達のステップアップへの順応性の高さは、昔では考えられないものとなっています。

やはり、これはライディングスタイルが、同じ方向に向かっていることを意味していると思います。

最新型ZX-10RRの走り方は、かつてのスーパーバイクとは違っていた

EICMAで来期に向かって超高性能なスーパースポーツモデルが発表されましたが、その先陣を切るように、カワサキは9月に新しいZX-10Rを発表、その最上級のホモロゲマシンであるZX-10RRに試乗する機会を得ました。

それは目から鱗が落ちる経験でもありました。以前のリッターバイクだと、コーナーでマシンを起こしてから中高回転域を使って立ち上がり、全開にできるところで開け切るといった走りだったのですが、新しい10RRでは軽中量級車と同種の走り方が求められるのです。

それは、常にエンジンを上限まで回し切ってラインを繋ぎ、旋回速度を高めていく走りです。するとサスペンションにも自ずと荷重が掛かり、よく曲がります。マシン自体やタイヤの進歩に加え、電子制御技術によって、以前なら制御不能になる挙動も抑えられ、性能を目一杯発揮させる走りに変貌しているということです。

つまり、今はモトGPマシンとて、モト3や2の延長線上にあると考えられるわけです。

技術はライダーの幸福のため

今の技術は、昔には常識で考えられなかった超高性能を、人間が操れるものにしてくれています。私自身、そのことに対する感激を繰り返してきました。また、そうした技術が一般のライダーにとっての安全性を高めてきたことも確かです。

でも、そのことが、必ずしもライダーの幸福度を高めてきたとは言い切れないことも事実なのです。

和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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