2018シーズン注目のニューモデルを斬る!その(5)原点回帰という魅力「モンスター797」

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

2018オンシーズンということで各メーカーから新型モデルが目白押しだが、その中で個人的に注目しているモデルについて何回かに分けて語りたいと思う。今回のモデルはドゥカティの中でも最も身近なモデルのひとつ、モンスター797である。

初期型へのオマージュ

モンスター797は2016年のEICMAでデビューした新時代のミドルモンスターである。昨年から国内でもデリバリーされているので最新モデルというわけではないが、いくつかの理由で気になるモデルである。

ひとつは92年に登場した初期型モンスターをオマージュしたデザイン。丸型ヘッドライトやボリューム感のあるタンクは93年に登場した初代モンスター900を思わせる形だ。フレームも最近の水冷モンスターはパニガーレのようなエンジンを剛性メンバーとして活用するコンポジットタイプであるのに対し、伝統的なシングルピースのトラスフレームを採用している。

ステアリングヘッドからエンジン懸架までヤグラ状に組まれたスチール製フレームを車体センター辺りで一旦絞り、後半のシートレールセクションにつなげるフレーム構造も初代とそっくりだ。

マフラーも従来型の696や796などがアップタイプたったのに対しオーソドックスなダウンタイプとなり、スイングアームも両持ちタイプが採用されるなど、90年代モンスターの香り漂う懐かしいデザインでまとめられているのが特徴だ。

Vツインらしい鼓動感

エンジンも魅力的だ。現行モンスターシリーズでは唯一の空冷Lツインで、従来型モンスター796がベースの空冷Lツイン803ccデスモデュエと呼ばれるエンジンを搭載している。排気量を聞いてピンとくる人もいると思うが、実は現行のスクランブラーシリーズにも採用されているユニットだ。最高出力73ps / 8,250rpm、最大トルク6.8kgm / 5,750rpmと控えめだが、そこが逆に扱いやすさにもつながっている。

ちなみに水冷エンジンのモンスター821の最高出力109psと比べるとかなり見劣りする感じだが、ピーク値はパワーで1,000rpm、トルクでは2,000rpmも低い回転数で発生させるため、その分急かされずに乗ることができる。

スロットルレスポンスも最新水冷モデルに比べると穏やかで、Vツインらしいドコドコした鼓動感を味わいつつ、まったりと街を流すのも楽しい。

「走り」には手抜きをしない

それでいて、足まわりは前後にKYB製倒立フォークとザックス製シングルショックが与えられ、ブレーキユニットもブレンボ製を採用するなど“走り”に手抜きをしないのはドゥカティの美点。また、ボッシュ製ABSユニットやAPTCスリッパークラッチを装備するなど安全性も確保され、外観パーツにもフル液晶メーターやLEDライトを採用するなど、現代的なリファインが施されている。

手軽でカッコいいという原点回帰

モンスター797は水冷化や電子制御化が進む最新モデルの中で、あえて装備のシンプル化によって扱いやすさや手頃なプライスを実現している点でも好感が持てる。最近のドゥカティはますます高性能かつプレミアム化が進むが、スクランブラーシリーズは別として、ドゥカティ純血種としてこうしたお手軽でお手頃なモーターサイクルを作り続けてほしいと望む。

V4パニガーレももちろん素晴らしいが、庶民からすれば高根の花であることは事実。ドゥカティというプレミアムブランドを象徴するアイコンとしての存在はそれとして、一般的なサラリーマン家庭のお父さんが趣味で買えるカッコいい外車であってほしいのだ。

そういった意味でも、モンスター797は初代モンスターが目指した「スーパーバイクで活躍するドゥカティを手軽に楽しめる」という意思を受け継いだ原点回帰的モデルなのだ。

※編集部注:記事内の車両画像は海外仕様のものが含まれています。
ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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