賀曽利隆のSSTR(サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー)2018

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

毎年恒例「一人ぼっちのSSTR」

2018年5月26日、5月27日の両日、SSTRが開催された。

SSTRというのは「サンライズ・サンセット・ツーリング・ラリー」のことで、参加者は日の出とともに太平洋岸を出発し、日没までに能登半島の千里浜にゴールするというもの。その間に高速道路のSAやPA、道の駅のスタンプをラリー帳の「SSTR BOOK」にを押していく。スタンプラリー的なおもしろさもある。

風間深志さんの主催するSSTRは今や超人気。今年は何と北は北海道から南は沖縄県までの47都道府県のライダーが参戦し、その数は3,000人を超えた。ライダーの国民的な行事といっていい。

当日、みなさんを千里浜のゴールで出迎えるので、前日に「一人ぼっちのSSTR」をする。
2016年のテーマは「距離」で、「青森港→千里浜」の1,222kmを走った
2017年のテーマは「一宮」で、6ヶ国の一宮をめぐった
2018年のテーマは「峠」で、できるだけ多くの峠を越えてゴールの千里浜を目指すのだが、目標は20峠だ。

日の出とともにスタート。「箱根編」の峠越え

▲西湘バイパスの西湘PAから見る日の出(0km 4:33)

5月25日午前3時50分、神奈川県伊勢原市の自宅を出発。SSTRの相棒はVストローム250。二宮で西湘バイパスに入り、4時30分に西湘PAに到着。4時33分には相模湾を赤々と染めて朝日が昇った。ここでカソリナンバーのゼッケン100番をVストロームに貼り、トリップメーターを0kmにした。

4時45分、西湘PAを出発。西湘バイパスから箱根新道を走り、5時07分、第1番目の箱根峠に到達。

▲第1番目の箱根峠(24km 5:07)

天気は変わり峠は濃霧。箱根峠から有料の芦ノ湖スカイラインで湖尻峠まで走り、その間に杓子峠、山伏峠、三国峠の3峠を越えるつもりにしていた。ところが芦ノ湖スカイラインは通行止め。営業時間は7時から19時までだった。

▲芦ノ湖スカイラインは通行止め…

ここでモタモタしてはいられない。すぐに気をとりなおし、国道138号の乙女峠に向かう。その途中で第2番目の湖尻峠と第3番目の長尾峠まで行く。ともに「峠返し」で、峠で折り返した。

▲第2番目の湖尻峠

▲第3番目の長尾峠

▲第4番目の乙女峠

第4番目の乙女峠を越えて静岡県に入り御殿場へ。御殿場(70km)到着は6時15分。ここまでは「箱根編」の峠になる。

▲御殿場に到着(70km 6:15)

「富士山編」の峠越え

御殿場からは国道138号で第5番目の籠坂峠を越えて山梨県に入る。

▲第5番目の籠坂峠

天気は変わり、青空が広がっている。山中湖畔から第6番目の三国峠へ。峠道からの眺めは絶景だ。山中湖とセットの富士山がきれいに見える。三国峠は「峠返し」で、峠で折り返した。

▲三国峠の峠道から見る富士山。右手には山中湖

▲第6番目の三国峠

国道138号に合流すると富士吉田へ。富士吉田(114km)到着は7時26分。富士吉田の金鳥居から国道137号で御坂峠を越えたが、ここまでは「富士山編」の峠になる。

▲富士吉田に到着(114km 7:26)

▲第7番目の御坂峠

「信州編」の峠越え

▲一宮御坂ICから中央道に入る(144km 8:08)

御坂峠を下った一宮御坂ICで中央道に入る。双葉SAでVストローム250を止め、ラリー帳にスタンプを押し、須玉ICで降りた。

▲中央道の須玉ICに到着(181km 8:32)

須玉IC(181km)到着は8時32分。須玉IC前の「ローソン」で朝食の「レタスハムサンド」を食べ、国道141号を北上。道の駅「南きよさと」に寄ってラリー帳にスタンプを押し、第8番目の野辺山峠を越えて長野県に入った。ここからは「信州編」の峠になる。

▲第8番目の野辺山峠

信州に入ると、食べたくなるもの

▲第9番目の麦草峠

八千穂(佐久穂町)から国道299号で第9番目の麦草峠を越える。標高2,127メートルの麦草峠は、国道292号の渋峠(2,172m)に次ぐ日本の国道では第2位の高所峠。2,000m級の峠というのは別格だ。

麦草峠を下ると、国道152号に入り、第10番目の大門峠へ。大門峠(293km)到着は11時50分。峠上でビーナスラインと交差する。「峠は辻」とよくいわれるが、まさに交差点で、峠道と山上道(スカイライン)が交差する。

▲第10番目の大門峠(293km 11:50)

大門峠からは山上道のビーナスラインで霧ヶ峰を走り抜け、第11番目の和田峠へ。ここでは国道142号(中山道)と交差する。ビーナスライン沿いの「和田峠 農の家」で信州そばの「ざるそば」と「きのこ汁」を食べた。信州に入ると、どこかで「信州そば」を食べたくなるものだ。

▲第11番目の和田峠。「和田峠 農の家」で昼食

▲「和田峠 農の家」の「ざるそば」

”道の駅銀座”と”日本列島の背骨”

▲第12番目の塩尻峠

和田峠から国道142号で岡谷に下り、岡谷からは国道20号で第12番目の塩尻峠を越えた。塩尻(344km)到着は13時15分。ここで給油し、国道19号を行く。

▲塩尻に到着(344km 13:15)

塩尻から木曽福島までの40km間は道の駅銀座といったところで、その間には「木曽ならかわ」「奈良井木曽の大橋」「きそむら」「日義木曽駒高原」と4ヶ所の道の駅がある。奈良井木曽の大橋にはスタンプはないが、それ以外の3ヶ所で次々にラリー帳にスタンプを押した。

道の駅「奈良井木曽の大橋」と道の駅「きそむら」の間で第13番目の鳥居峠を越えた。

▲第13番目の鳥居峠

木曽駒ケ岳(2,956m)山麓の道の駅「日義木曽駒高原」では、名産の「御岳百草丸」を買った。ぼくは胃腸は丈夫で痛くなることはまずないが、妻は胃痛に悩まされている。その痛みに「御岳百草丸」はよく効くというので、頼まれていたのだ。我が家では妻の頼みは絶対なのである。

木曽福島(390km)到着は14時30分。ここから国道361号を行く。まずは第14番目の地蔵峠を越える。昨年は旧道で地蔵峠を越えたが、今年は時間の関係で、新道の新地蔵トンネルを抜けていく。

▲第14番目の地蔵峠

つづいて第15番目の九蔵峠を越える。ここから見る御岳(3,067m)はじつにすばらしい。展望台から見る御岳よりも、その先のルート表示で「九蔵峠」となっているあたりからの眺めの方がもっといい。残雪の御岳は強烈に目に焼きついた。そして第16番目の長峰峠を越えて岐阜県に入った。

▲第15番目の九蔵峠から見る御岳

▲第16番目の長峰峠

第8番目の野辺山峠から第16番目の長峰峠までが、「信州編」の峠。これら9峠のうち、地蔵峠と九蔵峠を除く7峠が中央分水嶺の峠になる。中央分水嶺というのは日本列島の背骨で、日本列島を太平洋側と日本海側に分ける分水嶺のことである。

信州は北信、南信、東信、中信に分けられるが、そのうちの南信はほぼ中央分水嶺の南側になる。この中央分水嶺の線を地図上に引いていつも持ち歩くと、バイク旅はよりおもしろいものになる。

残り時間は…?

▲第17番目の美女峠

岐阜県に入ると、国道361号で第17番目の美女峠を越える。旧道での峠越え。この美女峠も中央分水嶺の峠になる。美女峠を下って国道158号に合流し、高山へ。高山の町中で国道41号との交差点に出た。高山(468km)到着は16時20分。

▲高山に到着(468km 16:20)

ここでカソリ、おおいに迷った。出発前のプランニングでは高山からさらに国道158号を行き、小鳥峠、松ノ木峠、軽岡峠の3峠を越えて荘川から国道156号を北上し、白川郷ICで東海北陸道に入るつもりにしていた。

しかし高山から国道158号を行くと、タイムアウトしてしまう危険性が大きい。「どうしよう、どうしよう」とさんざん迷った末に、時間を取ることにして、3峠をあきらめた。

高山の国道158号と国道41号の交差点を右折し、国道41号の高山ICで中部縦貫道に入る。中部縦貫道は国道158号に沿っているので小鳥峠をトンネルで抜けたが、高速道での峠越えはカウントしない。飛騨清見ICから東海北陸道を北上し、富山県に入った。小矢部砺波JCTを直進し、能越道の福岡ICで高速を降りた。

▲福岡ICで能越道を降りる

ビクトリーラン!

福岡ICから国道8号を行き、第18番目の天田峠を越えて石川県に入った。天田峠は国道8号の旧道。

▲第18番目の天田峠

天田峠を下ると、津幡バイパス経由で海沿いの「のと里山道路」を行く。
今浜ICで降りると、なぎさドライブウェイのビクトリーラン。もう最高の気分。「パリ・ダカ」気分だ。SSTRの特設ステージ前に到着したのは18時28分。スタート地点の西湘バイパスの西湘PAから611km。20峠に達しなかったことが、残念でならなかった。

人一人いないSSTRの特設ステージ前で、日本海に落ちていく夕日を見る。

▲千里浜にゴール!(611km 18:28)

18時45分までは水平線に近づくきれいな夕日が見られた。だが18時46分になると、夕日は水平線上の靄の中に隠れてしまう。

日没は19時02分とのことで、あらためて「おしかったなぁ」と思った。最後に34分の余裕があった。34分あれば高山から3峠を越えられたかもしれない。チャレンジすればよかったかな。まあ、それはおいて、これだけ楽しませてくれたSSTRには感謝、感謝だった。

賀曽利隆

賀曽利隆 冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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