ヴィットピレン701に乗り、シングルの良さを再認識

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

久々に堪能したシングルの魅力

もう20年前のことになりましょうか。シングルエンジン搭載車は、バイク選択の一つとして注目されていました。マルチにはないトルクフルな鼓動感やスリムな車体による運動性が魅力とされたのです。

ところが、近年はシングルが注目されなくなっていました。動力性能や快適性が追求され、パッケージングなどの技術向上によって大型車も扱いやすくなっていく中で、シングルの魅力が忘れ去られていったのです。

シングルの振動、燃焼間隔が大きいことによる扱い辛さ、厳しくなる排ガス、騒音規制に対処しにくいことも、それを遠ざける一因だったのでしょう。

でも、そうしたシングルのハンディが技術的に克服されたことで、今回乗ったハスクバーナのヴィットピレン701からは、現在の大型車にはない魅力が鮮烈に伝わってきたのです。

そもそもバイクはもっと人間に近い乗り物なのだ

やはり、車体は軽量でスリムです。そのことが、ここまでバイクとの一体感を高め、操っている気にさせてくれるものかと、意外なほどです。

私にそのことを最も強く実感させてくれたのは、跨って、停止した時のことでした。小柄な私にとって足着き性は決して良くないのですが、身体をうねらせることでバランスが取りしやすく、不安がありません。

また、跨ったままでのサイドスタンドの畳み込みも楽ではないのですが、一瞬、両足を地面から離し、そのタイミングでサイドスタンドも操作できます。これが重くて幅広のマシンだとこうはいきません。

そもそもバイクは、こんな具合に扱えるものだったのではないでしょうか。もちろんコーナリングでも、体幹をうねらせることによる荷重コントロールに如実に反応してくれますから、一体感も高まり楽しくなってきます。

バイクはトルクで走るのが最高

最高出力75psは欧州の交通環境でも不足を感じません。

ベースとなったKTMの690デュークよりも、やや高回転高出力化され、4000rpm以下ではスムーズさに欠けるのですが、それだけにエンジンを回すのが楽しくなってきます。

とは言え、エンジンを回してトルク×回転数であるパワーの勢いで速く走るパワー型ではなく、あくまでも、トルク、つまり駆動力でマシンを押し出していくトルク型であることに変わりはありません。

これこそが、公道を走るスポーツバイクにとって求められることではないでしょうか。

そう考えると、ヴィットピレンは、現在の大型高性能バイクに対するアンチテーゼであるかのように思えてきたのでした。

HUSQVARNA ヴィットピレン701「トルクで走るのが最高」
和歌山利宏 試乗インプレッション

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和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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