賀曽利隆の「70代編日本一周」(3)

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

前回:賀曽利隆の「70代編日本一周」(2)

9月17日(第17日目)さー、北海道一周だ!

青森駅前から青森ベイブリッジを渡り、青森港のフェリーターミナルへ。22時25分発の津軽海峡フェリー「ブルーハピネス」に乗船。函館港到着は2時5分。フェリー港近くの上磯漁港の片すみにテントを張って野宿。夜明けまで寝た。

4時30分に出発し、函館駅前へ。

▲「北海道一周」の出発点は函館駅前

朝市を歩き、駅前食堂の「たびじ」で朝食。「ホッケ定食」を食べた。大皿からはみ出すほどのホッケが北海道を感じさせた。

▲函館駅前の食堂「たびじ」の「ホッケ定食」を食べる

函館駅前から「北海道一周」を開始。相棒のスズキVストローム250に「さー、行くぞ!」とひと声かけて走り出す。函館山を見ながら走り、谷地頭温泉の朝湯に入ったあと、絶景岬の立待岬に立った。函館山が断崖となって津軽海峡に落ちている。

▲函館の立待岬。函館山の断崖が津軽海峡に落ち込んでいる

函館からは海沿いの国道278号を行く。日浦岬、恵山岬、銚子岬と岬をめぐり、鹿部温泉では「亀乃湯」に入った。猛烈に熱い湯。歯をくいしばって湯につかった。森に着くと、JR森駅前の「柴田商店」で名物駅弁の「いかめし」を買って食べた。

▲鹿部温泉の「亀乃湯」に入る。猛烈に熱い湯

▲森駅前の「柴田商店」で名物駅弁の「いかめし」を食べる

森から長万部までは国道5号を行く。長万部からは国道37号で室蘭へ。室蘭では白鳥大橋を渡って絵鞆岬に立った。

絵鞆岬からは絵鞆半島の名勝、ハルカラモイ、ローソク岩、マスイチと見てまわり、測量山の山頂から室蘭を見下ろした。中国人観光客も押し寄せる地球岬では名物の「あげいも」を食べ、展望台から灯台を見下ろした。

▲地球(チキウ)岬の展望台から灯台を見下ろす

さらに金屏風、トッカリショの海岸美を眺め、国道36号で苫小牧へ。苫小牧駅前の「東横イン」に泊まった。(本日の走行距離:389km)

9月18日(第18日目)台風の直撃。それでも行くぞ!

台風18号の直撃をくらった。土砂降りの雨の中、5時、苫小牧駅前の「東横イン」を出発。日高道で日高門別ICまで行き、そこからは国道235号。猛烈な風に向かってVストローム250を走らせる。

三石温泉に着いたときは心底、ほっとした。温泉に入り、「あんぱん&どら焼き」を食べて元気が出た。

浦河を過ぎると、さらに激しい風雨。様似から襟裳岬へ。通行止になっていないのがありがたかった。9時40分、襟裳岬に到着。風速35メートルの猛烈な風に立っていられないほど。Vストローム250を吹き飛ばされないように押さえているのが精一杯だった。

▲襟裳岬に到着。台風の直撃で猛烈な風が吹いている

黄金道路から広尾への道は通行止なので浦河まで戻り、「天馬街道」(国道236号)で野塚峠を越える。峠を貫く野塚トンネル(4,232m)を抜けて日高から十勝に入った。

▲天馬街道の野塚峠の野塚トンネル(全長4,232m)に突入!

十勝は大変なことになっていた。平原は一面の水びたし。まるで洪水のような光景だ。
幕別町のナウマン温泉の湯に入り、昼食の「豚丼」を食べる。その頃には一気に天気が変わる。台風は過ぎ去り、青空が広がってきた。ここではうれしい出会い。ヒョースンのRT125Dに乗る武田さんとの出会いだ。武田さんの夢は「ユーラシア大陸横断」。

▲ヒョースンのRT125Dに乗る武田さんとのうれしい出会い

中札内の出光のGSでオイル交換をしてもらい、人気スポットの旧幸福駅に寄り、帯広に到着。

▲廃線になった国鉄広尾線の旧幸福駅は人気のスポット

駅前の「ルートイン」に泊まった。駅前食堂の「ふじもり」で「かつ定食」を食べ、夜の帯広の町を歩くのだった。(本日の走行距離:379km)

9月19日(第19日目)道東の岬めぐり

▲帯広を出発。十勝の平原に昇る朝日に向かって突っ走る

5時、帯広駅前の「ルートイン」を出発。国道38号で釧路へ。十勝の平原に昇った朝日に向かってVストローム250を走らせる。

7時30分、釧路に到着。釧路駅近くの和商市場で朝食。「勝手丼」を食べる。ご飯が310円、カニ汁が160円、勝手丼のネタはトキシラズ(地元産鮭)、マグロ、カンパチ、サーモン、ハマチ、ホタテ、イクラ、甘エビで1,450円、合計すると1,920円になった。

▲釧路の和商市場で「勝手丼」を食べる

釧路から国道44号で厚岸へ。厚岸からは北太平洋の岬めぐりを開始する。愛冠岬、涙岬、霧多布岬、アゼチの岬、落石岬、花咲岬と絶景岬に次々に立った。

▲愛冠岬の展望台からの眺め。絶景だ!

▲落石岬への木道を歩く。岬の突端は断崖

最後に日本最東端駅の東根室駅に寄り、18時、根室駅に到着。函館から1,094km。根室駅前の「ホテル三洋館」に泊まった。

▲JR根室本線の終着駅-根室駅に到着!

根室の町を歩いて夕食にするつもりにしていたが、そのまま眠ってしまった。まあ、いいか…。(本日の走行距離:326km)

9月20日(第20日目)北海道の鮭食文化を味わう

根室駅前の「ホテル三洋」の朝食を食べ、7時30分に出発。道道35号で根室半島を一周する。歯舞(はぼまい)では歯舞漁港に、珸瑶瑁(ごようまい)では日本最東端の郵便局、「珸瑶瑁郵便局」に立ち寄った。

そして日本本土最東端の納沙布岬に到着。目の前の珸瑶瑁海峡に浮かぶ歯舞諸島の島々がはっきりと見える。一番手前の貝殻島の傾きかけた灯台もよく見える。北方領土の島々のあまりの近さに驚かされる。

▲日本本土最東端の納沙布岬。水平線上には北方領土の島々が見えている

納沙布岬から根室への帰路は根室半島の北側、根室湾岸の道を行く。北方原生花園を過ぎたところがノッカマップ岬の入口。小さく見える白黒の灯台が目印だ。

岬までは500メートルほど。その間はダートでツルツルヌタヌタ。Vストローム250を泥まみれにして走り、岬の突端から根室湾の向こうに北方領土の国後島を見た。

▲根室半島のノッカマップ岬の灯台。その向こうに国後島が見えている

「根室半島一周」を終えて根室駅前に戻ると、国道44号で厚床へ。厚床からは国道243号→国道244号を行く。交通量の少ない快走路。標津に近づくと、海越しに知床半島の連山を見る。右手には国後島が大きく見えてくる。

標津は鮭の本場。ここでは「サーモンパーク」にあるレストラン「サーモン亭」で「標津鮭定食」を食べた。サケの塩焼き、サケの刺身(ルイベ)、サケの氷頭なます、サケの三平汁、イクラ丼と、鮭三昧の食事。北海道の食文化をひとことで言い切ってしまうと「鮭食文化」になると思うが、それを実感できる「標津鮭定食」だった。

▲標津の「サーモンパーク」の「標津鮭定食」を食べる

標津から国道335号で知床半島に入っていく。右手には長々と横たわる国後島。羅臼を通り、相泊まで行く。ここが知床半島の行止り地点。

▲知床半島の相泊漁港。ここで知床半島の道は尽きる

羅臼に戻ると、今度は知床半島横断道路の国道334号で知床峠を越える。峠からは目の前に羅臼岳(1,660m)、はるか下の方に国後島を見る。

▲知床半島横断の国道334号で知床峠に到達。目の前には羅臼岳

知床峠を下るとウトロ、ウトロから斜里に出た。斜里からは国道244号で網走へ。網走駅前の「ルートイン」に泊まった。(本日の走行距離:367km)

9月21日(第21日目)絶景峠の美幌峠を越える

▲網走駅前を出発。道東の峠越えの開始だ

「ルートイン」の朝食を食べ、7時30分、網走駅前を出発。今日は道東の峠越えだ。まずは国道39号で美幌へ。美幌からは国道240号で北見と釧路国境の釧北峠へ向かっていく。

津別を過ぎた道の駅「あいおい」では人気の「クマヤキ」を食べ、「相生鉄道公園」を歩いた。ここは廃線になった国鉄相生線の終点。北見相生駅の駅舎が残り、相生線を走った列車や貨車、除雪車がレール上に展示されている。

▲ここは釧北峠下の「相生鉄道公園」

樹林の中を貫く峠道を走り、国道240号の釧北峠を越える。

▲国道240号の釧北峠を越える

つづいて国道241号で足寄峠まで行く。ここは釧路・十勝国境の峠。本来ならば「釧勝峠」になるのだが、釧勝峠は南の国道274号についている峠名なので足寄峠になったのだろう。

足寄峠は峠返しで折り返し、国道240号に合流すると阿寒湖へ。ここでは阿寒湖畔のアイヌコタンを歩いた。

▲阿寒湖畔のアイヌコタン

何軒もの土産物店や食堂が並ぶアイヌコタンで目立つのは大きな梟の彫物だ。アイヌ文化の結晶、知里幸恵の『アイヌ神謡集』(岩波文庫版)は、アイヌの神、梟が自ら歌った「銀の滴降る降るまわりに、金の滴降る降るまわりに」で始まっている。

▲アイヌコタンの梟。梟はアイヌの神

弟子屈に着くと道の駅「摩周湖温泉」で小休止。そのあと摩周湖、屈斜路湖とまわり、国道243号で美幌峠を越えた。

▲弟子屈に到着。道の駅「摩周湖温泉」でひと休み

弟子屈町と美幌町の境の美幌峠は標高493メートル。屈斜路湖カルデラの外輪山の峠。峠からの展望は抜群だ。北海道一の絶景峠といっていい。

▲国道243号の美幌峠からの眺め。眼下に屈斜路湖を見下ろす

とくに弟子屈町側の眺めは見事。左手に斜里岳を望み、正面の山並みの間には、摩周岳が顔をのぞかせている。真下には屈斜路湖が広がり、その中にはぽっかりと中島が浮かんでいる。和琴半島が湖に突き出ている。その右手にはうっすらと噴煙をあげる硫黄岳。峠を覆いつくすクマザサが風に揺れてカサカサ鳴っている。

美幌峠を下ると、美幌の町から網走に戻った。網走の町中を走り抜けて能取岬へ。広い駐車場にVストローム250を止めると、北へと延びる海岸線を眺めた。さらに白黒2色の灯台の先まで歩き、断崖上から海の向こうに連なる知床の山々を一望した。

▲網走の能取岬の灯台。その先は断崖

能取岬から国道238号に出ると、能取湖畔からサロマ湖畔を走る。波ひとつないサロマ湖は海のような広さ。佐呂間の食堂「ほんだ屋」で5段重ねの「割子そば」を食べ、道の駅「サロマ湖」の上にある「悠林館」に泊まった。(本日の走行距離:402km)

9月22日(第22日目)オホーツク国道を行く

▲サロマ湖の「悠林館」を出発

「悠林館」の朝食を食べ、8時に出発。「オホーツク国道」の国道238号を行く。
紋別では紋別港の人気かまぼこ店「出塚水産」で3種の「揚げたてかまぼこ」を食べた。興部では中心街にある「味来館」で「ドライカレー」を食べた。雄武では日の出岬温泉の湯に入った。

▲紋別の人気かまぼこ店「出塚水産」で

▲興部の「味来館」の「ドライカレー」

オホーツク国道をさらに北上。北へ、北へとひたすらVストローム250を走らせる。
枝幸を過ぎると、カムイ岬公園でV-ストローム250を止め、北見神威岬を眺めた。以前、国道238号は岬をグルリと回り込むようなルートだったが、今では全長1,205mの北オホーツクトンネルで抜けている。日本各地で峠のトンネル化が進んでいるが、それと同じように、岬のトンネル化も進んでいる。

浜頓別では町中を走り抜け、クッチャロ湖畔に行った。クッチャロ湖はラムサール条約の登録地で北海道でも屈指の野鳥の宝庫。冬になれば白鳥がやってくる。猿払村に入ると、猿払原野を走り抜け、道の駅「さるふつ公園」の猿払温泉「憩いの湯」につかった。

▲広大な猿払原野を行く

日本最北端の宗谷岬に到着。旧海軍の望楼の展望台からサハリンを眺め、ゆるやかなワインディングルートの宗谷丘陵を走った。

夕暮れの宗谷岬に戻ると、民宿「宗谷岬」に泊まった。ここの夕食はよかった。メインのタコシャブのほか刺身、青ツブ、モズク、ホタテの子、貝汁…と、北海の幸を存分に味わうのだった。(本日の走行距離:282km)

▲宗谷岬に到着。民宿「宗谷岬」にひと晩泊まる

▲民宿「宗谷岬」の夕食。存分に北海の幸を味わった

「70代編日本一周」(4)へ続く

賀曽利隆

賀曽利隆 冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

この著者の最新の記事

関連記事

編集部おすすめ

  1. Team KAGAYAMAは、全日本ロードレース選手権シリーズ最高峰であるJSB1000クラ…
  2. トリックスターは「Webike Tati Team TRICK STAR」で『2018-19…
  3. ※記事内画像は日本仕様と異なる場合があります。 V7 III Stoneをベースとした…
  4. ホンダの軽バン「N-VAN(エヌバン)」が、第28回(2019年次)RJCカーオブザイヤー特…
ページ上部へ戻る