バイクが移動手段として普及しないと、市場の活性化は期待できない

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

インドネシアでは40万人がバイクを走らせてメシを食っていた

あるライダーイベントの講師として、インドネシアに行ってきました。私にとってインドネシアは初めてだったのですが、首都ジャカルタに到着した翌朝、市内を散策し始めるや、異様な光景が目に飛び込んできました。

バイクの多さは知っていましたが、かなりのライダーがGO-JekまたはGrabと書かれた緑のジャケットとヘルメットを身に付けていて、所々で彼らが大挙して集まっているのです。ツーリングクラブかと思いましたが、平日のことだけに、それは違うと考え、彼らに声を掛けてみました。

彼らはバイク便のライダーだったのです。それも、単なる運び屋ではなく、タクシーとしても、また買い物などの便利屋として活動しているといいます。しかも、スマホの専用アプリを使えば、彼らの位置が地図上に表わされ、センターを通して彼らを呼び付けることができるのです。

特にジャカルタは人口密度が高く、市内は常に混雑。地下鉄があるわけでなく、四輪タクシーだと見つからないばかりか時間も読めないため、現実的な移動手段はバイクタクシーとならざるを得ないのです。

インドネシアでは40万人がそうしたバイク便として登録されているそうです。人口2億5000万人に対し、保有台数は8000万台ですから、200台に1台がバイク便であることにも納得です。

この地ではバイク市場の衰退なんか考えられない

このような環境では、一般市民にとってバイクは大切な交通手段です。クルマも増えているらしいですが、低中所得者にとってはまだまだ負担は大きいはずで、一家4人乗りも見かけます。何より、混雑した街での移動にバイクは欠かせません。

この地でバイクがなくなったら、生活は成り立たないことになります。ですから、バイク市場の衰退など考えられません。

これが交通環境が悪くなく、所得も増大しているマレーシアですと、私が始めて訪れた30年近く前には凄まじい台数のバイクが走っていたのに、20年前には減り始めていて、現在は日本の現状に近いまでになっています。

やはり、バイクは移動手段として使われてこそ、ピラミッド構造の上部にあるスポーツバイクの市場も存在するのでしょう。

そう考えると、都内でバイクが移動手段に使えないという、異常なほどの駐車取り締まりが行われたことが残念でなりません。

技量が高いインドネシアライダー

はっきり言うと、一般ライダーのライディング技量は、日本人よりも高いと感じました。
前後ブレーキングの使い分けができていないライダーも多いのですが、アドバイスをするとすぐに良くなります。体幹を柔軟に使うことができなくても、これも飲み込みが早いことに驚かされます。

きっと、混雑した交通環境の中で鍛えられているのでしょう。110~150ccクラスが主体だけに、真にバイクを乗りこなすことを覚えやすいこともあるのでしょう。

バイク便ライダーよりも、バイクを道具としても遊びの道具として使っていそうなヤングライダーのほうが技量が高かったことはともかく、モータースポーツとしてのライディングテクニックも、移動手段としてのバイクの存在が土台にあるのかもしれません。

和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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