賀曽利隆の「Vストローム1000と街道を行く!」羽州浜街道編(1)

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

前回:賀曽利隆の「Vストローム1000と街道を行く!」会津街道編(2)

日本橋も真っ青!?「日本海の十字路」を出発

夜明けの「日本海の十字路」に立った。「日本海の十字路」というのは「会津街道編」にも登場したが、新潟・古町の本町交差点のことである。

▲新潟・古町の本町交差点。ここが「日本海の十字路」

この本町交差点は国道7号と国道8号の起点であり、国道113号と国道289号、国道350号、国道403号、国道459号の起点にもなっている。さらに国道17号、国道49号、国道116号、国道402号の終点にもなっている。

何と11本もの国道が本町交差点に集まっている。このようなポイントは日本中を探しても、ほかにはどこにもない。日本橋も真っ青といったところだ。

▲新潟・古町の本町交差点の道路原標

ということで、新潟・古町の本町交差点を出発点にして羽州浜街道で秋田に向かう。街道旅の相棒はいつものスズキV-ストローム1000だ。「さー、行くぞ!」とひと声かけて走り出す。

「これぞ日本一!」大河を眺め日本海へ

▲萬代橋から見る信濃川

信濃川にかかる萬代橋を渡る。JR新潟駅の近くを通り、国道7号と分岐する栗ノ木橋交差点では直進し、県道3号を行く。日中は大渋滞の県道3号も、この時間帯だとスイスイ走れる。阿賀野川にかかる泰平橋を渡るが、川幅いっぱいに流れる阿賀野川には「おー、これぞ日本一!」と思わせるような大河の風格がある。

1時間ほど走って新発田に到着。JR新発田駅前から新発田城に行き、新発田城址を歩いた。

▲泰平橋から見る阿賀野川。日本一の大河の風格!

▲新発田城を歩く

新発田を過ぎると日本海へ。「紫雲寺記念公園」の駐車場にV-ストローム1000を止める。日本海の水平線上には左手に佐渡、右手に粟島が見える。ここからは国道113号で日本海の海岸線を行く。

▲新発田から日本海へ。越後の山並みが目に残る

▲「紫雲寺記念公園」から見る日本海

胎内市に入ったところには羽州浜街道の村松浜宿がある。国道113号から一歩、内陸側に入ったところが村松浜宿の集落だ。旧街道沿いに家並みがつづく。

▲羽州浜街道の村松浜宿を行く

▲村松浜宿の廃校。この風景は今の日本の縮図

村松浜宿を過ぎたところでは、国道113号沿いの西方温泉「西方の湯」(入浴料500円)に入った。塩分の濃い濁り湯。源泉掛け流しで湯が音をたてて湯船からあふれ出ている。「熱めの湯」と「温めの湯」、2つの湯船があるが、熱めの湯はかなり熱い。

▲西方温泉「西方の湯」

▲西方温泉「西方の湯」につかる

胎内川、荒川、稲荷山

▲胎内川の河口。いまにも砂に埋もれそう

国道113号で胎内川を渡る。河口を見ると、ギュッと狭まり、今にも砂に埋まりそう。胎内川を過ぎたところでは荒井浜宿に入っていく。国道113号よりも1本、内陸側に荒井浜宿の家並みがつづく。つづいて乙にある乙宝寺へ。本堂の大日堂を参拝。ここには見事な三重塔もある。

▲羽州浜街道の荒井浜宿を行く

▲乙にある乙宝寺の大日堂を参拝

本州横断の国道113号と分かれ、国道345号で荒川を渡り、荒川河口の塩谷宿に入っていく。ここは村松浜宿、荒井浜宿よりもはるかに大きな宿場。稲荷山(15.3m)の山頂には稲荷大明神がまつられている。

この稲荷山は新潟県内では一番低い山だという。番所山とも呼ばれているが、展望台からは塩谷宿を見下ろす。日本海の水平線上には粟島がはっきりと見えている。

▲荒川の河口の風景

▲稲荷山の展望台から塩谷宿を見下ろす

間口が狭く奥行きのある町屋が軒を連ねる宿場を歩き、宿場の中央に位置する塩竃神社を参拝した。

▲羽州浜街道の塩谷宿を行く

▲塩谷宿に残る旧家。風情のある建物だ

カソリおすすめの島へ渡れる漁港

塩谷宿を過ぎると国道345号から県道3号に入り、岩船宿へ。ここでは粟島へのフェリーが出る岩船港に行ってみる。残念ながらこのフェリーに旅行者のバイクは積めない。粟島に渡るときは、バイクは岩船港の駐車場に置いていくことになる。粟島は魅力的な島なので、それでも粟島に渡るのはカソリのおすすめだ。

▲岩船港にやってきた。ここは粟島へのフェリーの出る岸壁

岩船港から岩船宿を走り抜け、岩船の地名の由来ともなった石船神社を参拝する。

▲羽州浜街道の岩船宿を行く

▲岩船の地名の由来ともなった石船神社

岩船宿からはそのまま県道3号を走り、日本海の名湯、瀬波温泉の温泉街に入っていく。泉質自慢の瀬波温泉では日帰り湯「龍泉」の露天風呂にどっぷりつかった。

▲瀬波温泉の日帰り湯「龍泉」

日本最北の茶の栽培地、村上を巡る

村上に到着。ここは村上藩15万石の城下町。JR羽越本線の村上駅前から村上の町をぐるりとひとまわりする。日本最北の茶の栽培地だけあって老舗の茶屋が目につく。

▲JR羽越本線の村上駅前に到着。ここから村上の町をまわる

村上といえば三面川の鮭。三面川の河畔にある鮭の博物館「イヨボヤ会館」を見学。「イヨボヤ」は「魚の中の魚」で、村上では鮭を意味する。ここでは三面川を登ってくる鮭をガラス越しに見ることができる。三面川の鮭漁の漁具や漁法が展示されている。

村上の鮭料理の展示は圧巻だ。川煮、なわた汁、焼き漬け、卵皮煮、塩焼き、塩ころがし、飯ずし、がじ煮、昆布巻き、氷頭なます、はらこの味噌漬け、はらこの醤油漬けと多彩。この地に根付いている「鮭食文化」を見るのだった。

▲村上の「イヨボヤ会館」。ここは鮭の博物館

▲「イヨボヤ会館」に隣接する「はらこ茶屋」

「イヨボヤ会館」の見学を終えると、隣接する「はらこ茶屋」で「焼塩引鮭とハラコの定食」を食べた。村上名産の「塩引鮭」は塩漬けした鮭の塩を落とし、水洗いして干したもの。村上の正月料理には欠かせない。

さらにカチンカチンになるまで干し、薄切りにして酒をふりかける「酒びたし」にもする。これは最高の酒の肴になるという。「ハラコ」はイクラのことで、ハラコ飯にして食べた。ここにはそのほか「はらこ丼」や「鮭の親子丼」、「鮭のコロッケ定食」、「鮭のカツカレー」といった「鮭メニュー」がある。

▲「はらこ茶屋」の「焼塩引鮭とハラコの定食」。塩引鮭とハラコは村上名物!

青い空と海。V-ストロームで駆けぬける

▲村上からは日本海沿いの国道345号を北上

村上を出発。三面川を渡り、日本海沿いの国道345号を北上する。雲ひとつない抜けるような青空で、空の色を映した日本海はそれ以上の青さ。V-ストローム1000での走りは最高の気持ちよさ。

やがて日本海有数の海岸美の笹川流れに入っていく。10キロほどの海岸線で、シンボルの眼鏡岩あたりからは粟島がよく見える。国道7号に合流し、さらに日本海に沿って走ると新潟・山形の県境に到着だ。

▲笹川流れのシンボルの眼鏡岩

新潟・山形の県境にまたがって、国道7号の旧道沿いには鼠ヶ関宿の集落が延びている。旧道と新道が合流する交差点には「念珠関址」の碑。ここには慶長年間(1596~1615年)から明治5年(1872年)まで近世の関所が置かれていた。

▲羽州浜街道の鼠ヶ関宿を行く

▲鼠ヶ関宿の新潟・山形の県境

▲鼠ヶ関宿の「念珠関址」の碑

「奥州三関」の鼠ヶ関はここよりも南に1キロほどの地点にあり、平安時代中期から鎌倉時代初期にかけての関所で、軍事施設と生産施設を合わせ持っていたという。

▲鼠ヶ関宿の鼠ヶ関漁港

夕暮れの宿場巡り。今夜は海鮮三昧!

▲羽州浜街道の三瀬宿。街道の雰囲気が漂う旅館

▲羽州浜街道から夕暮れの由良を見下ろす

鼠ヶ関宿を後にすると夕暮れの国道7号を走り、温海宿、三瀬宿、大山宿と羽州浜街道の宿場を通り、国道112号で日本海に面した湯野浜温泉の民宿「浜泉」でひと晩泊った。遅い時間の到着にもかかわらず、夕食を用意して待ってくれていたのがうれしい。

湯から上がると、刺身の盛り合わせ、クチボソカレイの焼き魚、メバルの煮魚、海鮮鍋といった日本海の海の幸を食べるのだった。

▲湯野浜温泉の民宿「浜泉」の夕食。海鮮三昧だ!

「Vストローム1000と街道を行く!」羽州浜街道編(2)へ続く

賀曽利隆

賀曽利隆 冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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