【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

いよいよ年末、今年最後のコラムということで、2017年のバイク動向を振り返ってみたいと思います。

排ガス規制で消えゆく名車と復活の兆し

今年一番のトピックスは新排出ガス規制の導入でしょう。9月1日から施行された「平成28年規制」は現在ヨーロッパで施行されている「ユーロ4」との整合性を図ろうというものです。
その基準値が相当シビアで、従来の約半分レベルまで排出ガスを減らすことが求められているため現行モデルではほとんど対応できなくなりました。

各メーカーとしては生産終了かあるいは新たに新型を作り直すかの選択を迫られる中で、結果として数多くの歴史的名車が数を消すことに。一例を挙げると、ホンダのVFR1200シリーズやVTR、ヤマハのSR400やセロー、カワサキのW800やエストレヤ、スズキのバンディット1250なども生産終了となっています。

17BJ250LHF_BU1_sltl▲エストレヤ

ただ、メーカーも手をこまねいていた訳ではなく、ホンダはすぐに東京モーターショー2017で新型ゴールドウイングやモンキー125などを発表。世界生産台数1億台を突破したスーパーカブ50/110の新型デビューも記憶に新しいところです。

▲スーパーカブ50/110

また、ヤマハもSRとセローの新型を開発中であることをアナウンスするなど、時代に合わせたニューモデルとして復活させることで対応を急いでいます。今後は国際基準に合わせた魅力的なグローバルモデルの誕生に期待したいところです。

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国産スーパースポーツの復権

今年も様々なニューモデルが登場しましたが、その中でも注目したいのは国産スーパースポーツ勢の盛り返しでしょう。
ここ数年、究極の走りを求めるスーパースポーツモデルのジャンルでは、BMWやドゥカティなどの海外メーカーが送り出す最新鋭マシンに後れを取っている感がありました。

元々このジャンルはレースで培われた先端技術が注ぎ込まれたフラッグシップモデルであり、メーカーのブランドイメージを決定づける重要なプロダクトです。生産台数こそ多くはないもの、レース活動と同様、メーカーとしては絶対に譲れない分野なのです。
その意味で、ここ数十年にわたってレースでも公道モデルでも圧倒的な強さを誇ってきた国産直4スーパースポーツの凋落は一大事だったわけです。

2017年、その潮目が一気に変わりました。ホンダから8年ぶりのフルチェンジとなる新型CBR1000RR/SPが登場し、スズキも完全新設計のGSX-R1000/Rをリリース。
カワサキも進化したZX-10RRによる圧倒的な速さで3年連続スーパーバイク世界選手権王座を獲得しました。ヤマハもYZF-R1が鈴鹿8耐で2連覇を達成するなど盤石の強さを見せつけてくれました。

▲CBR1000RR

▲GSX-R1000

これらの最新マシンにはMotoGPやWSBで培われた先進技術が直接フィードバックされていますが、とりわけ目を見張るのが電子制御技術テクノロジーです。紙幅の関係でここでは多くを語ることはできませんが、電子制御と解析技術により、ひと昔前のGPマシン並みの性能を安全に引き出して走れる時代になりました。

国産スーパースポーツの復権は日本のバイク業界にとっても明るいニュースでした。

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250スポーツの台頭

今年はまた250ccクラスのフルカウルスポーツモデルの躍進が目立ちました。
ここでもホンダが単気筒モデルのCBR250Rに代わるスーパークォーターとして、並列2気筒エンジン搭載のCBR250RRを投入。クラス最強38psの動力性能に加え、倒立フォークやライディングモードなど上級モデル並みの装備でライバル勢を突き放しにかかりました。

そこにスズキがスタイルの美学と日常で楽しめるスポーツ心を追求したGSX250Rで参入。このブームの火付け役となったNinja250も三代目が東京モーターショーでお披露目され、国内仕様が来春に発売されることが決定するなど、250スポーツ戦線もいよいよ過激さを増してきました。

▲Ninja250

YZF-R25の次期モデルの噂もチラホラ聞こえてくるなど、と来年もレースや販売の面でも各メーカーの熾烈な戦いが展開されることでしょう。

そして、250ccクラスと言えば忘れてならないのが、アドベンチャーモデルの台頭です。年初からダカールラリーマシンをイメージしたCRF250ラリーを筆頭に、V-Strom250、VERSYS-X 250などの冒険をテーマとした250モデルが一気に花開きました。

従来このジャンルは乗り手を選ぶ巨大マシンの独壇場でしたが、価格や性能、車格などを含めて現実的なレベルで普通のライダーがちょっとした非日常を楽しめるモデルの登場は喜ばしいことです。やや排気量は大きめですが、BMWのG310GSなども含めて今後が期待されるカテゴリーになっています。

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ネオレトロがますます熱い

▲Z900RS

昨年に続き2017年も「ネオレトロ」ブーム真っ盛りでした。ネオレトロとは過去に流行ったバイクのデザインやカスタム趣向を現代流に解釈し、今の技術で作り直したモデルのことで、乗り手の美意識やライフスタイルとも密接に関係しているのが特徴であり、魅力にもなっています。

1960年代に世界的カフェレーサーブームを巻き起こした、本家本元のトライアンフでは「ボンネビル」シリーズに新たに加わった「ボンネビルボバー」が若者を中心に大ヒット。国産・輸入車を含め、余分なものを削ぎ取ったシンプルかつ金属の素材感を生かしたボバースタイルが今のクルーザーの主流になっています。
また、スクランブラ―系の人気も高く、トライアンフの「ストリートスクランブラー」、ドゥカティ・スクランブラーから派生した「カフェレーサー」や「デザートスレッド」などもネオレトロの一派と考えていいでしょう。

国産でもホンダから「CB1100RS/EX」、ヤマハからは「XSR900」に続き「XSR700」などデザインだけでなく素材の質感にもこだわったモデルが登場。
他にもBMWの空油冷フラットツイン搭載のRnintTシリーズに新たに「Pure」「Racer」「Urban G/S」が加わるなど、この勢いは止まるところを知りません。

そして、今年の最後を飾るに相応しい真打として登場したのがカワサキの「Z900RS」でしょう。“Z1の操る悦びを現代に再現した”とカワサキ自身が過去のモデルを振り返って、デザインだけでなくそのスピリットまでも含めて熱く語るのは珍しいことであり、裏を返せばそれは自信の表れとも取れます。

Z900RSの成功いかんによっては、ネオレトロブームがさらなる広がりを見せていくかもしれません。

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来年のバイク業界がどうなるのか、まだ具体的なトピックスはあまり聞こえてきませんが、個人的には東京モーターショーでホンダやヤマハが提示した近未来のモビリティである「自立・自律型バイク」や3輪スポーツモデルの動向についても大変興味があるところです。
まずは各メーカーから発表される新春のリリース、そして3月末に開催される東京・大阪モーターサイクルショーの情報に注目です。

今年一年、Webikeバイクニュースをご愛読いただきまして、誠にありがとうございました。
2018年もよろしくお願いいたします!

Webikeニュース編集長 ケニー佐川

ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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