【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

今年もいろいろなトピックスがあったバイク業界ですが、いよいよ年の瀬が近づいてきました。ということで、2017年を締めくくる意味で本年度に発売されたニューモデルについて、Webikeニュース編集長のケニー佐川が独断で勝手にランキングしてみました。

話題性や注目度、社会に与えたインパクトやユーザビリティなどを総合的に評価したものですが、あくまでも感覚的なものですので、楽しみながらご参考にしていただければ幸いです。前回の輸入車編に続いて今回は国産車編です。

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第1位「HONDA CBR250RR」

すべてが別格のスーパークォーター

CBR250RRは”RR”シリーズ共通のコンセプト「トータルコントロール」を受け継ぎつつ、同クラスとして最も進化した「走りの質」や「操る楽しさ」を追及した250ccスーパースポーツとして開発された。

ホンダならではの先端技術が注ぎ込まれた水冷4スト並列2気筒エンジンはクラス最強38psの動力性能を実現。高剛性トラスフレームやクラス唯一の倒立フォークとアルミ製スイングアーム、ライディングモードなど上級モデル並みの装備が与えられている。

ホンダによると開発メンバー全員が「自分が本当に欲しいか!?」を突き詰めたのだとか。そして国内仕様はホンダのメインファクトリーである熊本工場で組み立てられるなど、いわば特別仕様という力の入れようだ。

ディテールまで作り込まれた隙のないデザインとそこに散りばめられた高品質なパーツの数々。ライバルを圧倒する走りのパフォーマンスと上質な乗り味。そして、その対価として設定された高価なプライスなど、そのすべてが別格と言っても過言ではない。

圧倒的な販売台数とリセールバリューが裏付ける人気の高さも含め、2017年のMVPに相応しいモデルと言えそうだ。

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第2位「KAWASAKI Z900RS」

40年の時を超えて現代に蘇ったZ1

「東京モーターショー2017」でも注目を集めたZ900RSはかつての名車、Z1が持っていた「操る悦び」を最新技術で再現したものだ。開発のベースとなったのは欧州向けストリートファイターのZ900で、ネオレトロな外見に反して最新装備が与えられているのが特徴だ。

エンジンは水冷並列4気筒でフレームも最速マシンのH2を思わせるトラス構造を採用、足まわりも倒立フォークにリンク式モノショック、ラジアルブレーキキャリパーなど現代的だ。

乗り味は軽快かつ俊敏でハンドリングは鋭く、その走りのクオリティはスーパースポーツ並み。それでいて集合マフラーが奏でる胸のすくような高周波サウンドはどこかレトロな味わいもあり、まるで80年代のスーパーバイク乗りになったような気分を楽しませてくれる。

Z1の雰囲気を最大限に演出しつつ中身はまったくの別物に仕上げた現代のマシンだが、”操る楽しさ”や“豪快な乗り味”といったZ1のスピリットを宿しているのがZ900RSの魅力。

バイク乗りの永遠のアイコンであるZ1を現代風に料理したカワサキのしたたかさも大したものだが、その期待に十分応える完成度の高さにも脱帽である。

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第3位「HONDA スーパーカブ50/110」

ホンダの良心を感じる世界一売れたバイク

▲スーパーカブ110

世界累計生産台数1億台突破のニュースが日本を駆け巡ったのは記憶に新しいところだ。誕生60周年に向けて原点に立ち返りさらなる進化を図るため、スーパーカブは今年フルモデルチェンジした。

初期型をイメージした曲線を生かしつつもLEDヘッドライトを採用するなど現代的に洗練されたデザインが特徴。また、ビジネス車としての信頼性をさらに高めるためにエンジンも改良され耐久性も高められている。

▲スーパーカブ50/110

新型カブは美しく、走りはスムーズで扱いやすい。従来モデルと同時に乗り比べたわけではないが、エンジンは低速での粘りが出てシフトフィールも滑らかになった。働くバイクのイメージが強かったが、新しくなったデザインと乗り味も含めて、ファンバイクとしても魅力的になった。

ホンダが新型カブに託した「安心と信頼をお客様に」という思いは初代から変わらぬ一貫したものであり、それが今や世界中で庶民の日常を支える足になっている。

半世紀以上の間、世界で最も売れた2輪という圧倒的な実績や、リッター100kmを超える驚異の燃費や「壊れない」性能も含め、まさにオールタイムベストと呼べる逸品だ。

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第4位「HONDA CBR1000RR/SP」

絶対王者復活への狼煙を上げた新世代スポーツ

▲CBR1000RR SP

ホンダを代表するスーパースポーツ、CBR1000RRが実に8年ぶりのフルチェンジを果たした。国内外のライバルが次々と新世代マシンへと進化していく中、ひとり取り残されたような状況にホンダファンは忸怩たる思いだったはずだが、その鬱憤を晴らすスマッシュヒットが今年デビューした新型CBRだった。

開発テーマは「ネクストステージ・トータルコントロール」。その実現のために車体パッケージを全面的に見直し、RC213V-Sの開発で得られた知見をフィードバックすることで性能を飛躍的に向上。クラス最軽量の車重とマス集中化による軽快性、CBR史上最強となる192馬力のパワーユニットにこれをサポートする電子制御などが進化点として与えられた。

▲CBR1000RR/CBR1000RR SP

モード設定によって出力特性やトラコン介入レベル、エンジンブレーキ、さらにはサスペンションの減衰力も自動的に最適化される仕組みは、まるでホンダが長年のレース経験で培ってきた”献立“がすでにマシンの中に用意されている様。先端テクノロジーよってすべてのライダーを受け入れる懐の広さを持ったモデルへと正常進化した。

絶対王者復活への期待を込めてこのランクとした。

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第5位「SUZUKI GSX-R1000R」

凄さを感じさせないという凄さ

GSX-Rシリーズとしては33年ぶりの国内仕様となるGSX-R1000Rの登場は、それだけでも十分なトピックである。

従来モデルよりスリムかつコンパクトな車体と低めのシート高、しなやかな前後サスペンションのおかげで足着きも良好、クラッチをつなごうとすると自動的に回転数を上げてくれる「ローRPMアシスト」が付くなど、そのアグレッシブな走りとは裏腹にどこか優しさを宿しているのが新型の魅力だ。

エンジンは低中速トルクに厚みがあって回転数を上げなくても十分速く、パワーモードや可変バルブ機構「SR-VVT」や姿勢変化をミリ秒単位で制御する「モーショントラックシステム」が投入されるなど電子制御も大きく進化した。

そのおかけで、理論上はフルバンク時でもフルブレーキをかけられたり、スロットル全開にできたりといった、従来の2輪の常識では考えられなかった走り方も可能にしている。

新型GSX-Rは凄いポテンシャルを持ちながらも、それを乗り手に感じさせないところが凄い。技術革新によってライダーの安全と安心感が高められることをスーパースポーツで証明した意義は大きいと思う。

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第6位「YAMAHA TRICITY155」

「転ぶ恐怖」からの解放という功績

トリシティ155は数年前に発売された125に続くLMWの第二弾である。通常のバイクと同じように車体を傾けて曲がっていくが、違うのはフロント2輪であること。バイクに乗ったことがある人なら分かると思うが、クルマと決定的に異なるのは「いつか転ぶかもしれない」という不安があることだ。

トリシティに実際に乗ってみると、そうしたバイクに特有の「転倒恐怖症」をかなり軽減できると感じる。やはり特筆すべきはコーナリングでの安心感だろう。フロント2輪で踏ん張ってくれるため、まず破綻する気がしない。カチッとした剛性感を伴ったその圧倒的な接地感は、どんなハイグリップタイヤと高性能サスペンションを持ったモーターサイクルをも凌駕するものだ。

そして、155になって排気量が増えたことで高速道路を利用して一気に距離を稼げるようになった。世の中にはバイクに乗ってみたいけれど、ちょっと怖い感じがしてなかなか一歩を踏み出せない人たちが多くいるはずだ。その意味で、多くの潜在的ユーザーをバイクから遠ざけていた”転ぶ恐怖”をだいぶ取り去ったことが、トリシティの最大の功績ではないかと思う。

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第7位「SUZUKI V-Strom 250」

お手軽な冒険バイクという新たな価値観

V-Strom250-1

2017年は250アドベンチャーモデルの当たり年だった。その中でもセールス、注目度ともに好評だったのがV-Strom兄弟の末弟として登場したV-Strom250だ。

アウトドアテイストの大径ヘッドライトと大型スクリーン、パリダカマシン「DR800S」のDNAを継承したビーク(クチバシ)を備え、フルタンクで500kmを走破できる17リットルタンクにフルパニア仕様にできる純正ケースも用意されるなど、上級モデルにも負けない本格的なアドベンチャー装備が魅力となっている。

V-Strom250-2

V-Strom250-3

そして、感心するのは、同じく今年発売されたフルカウルスポーツモデルのGSX250Rの車体と並列2気筒エンジンなどを共有化しつつ、これだけ異なる独自の個性を打ち出している点。最近は4輪だけでなく2輪の世界でもプラットフォームの共有化が進んでいるが、V-Strom250はその成功例と言えるだろう。

これまでアドベンチャーモデルというと非日常的な巨大マシンが中心だったが、50万円台のリーズナブルな価格も含めて「お手軽な冒険バイク」という新たな価値観を示した意義は大きい。

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第8位「HONDA REBEL250/500」

「ちょうどいい」を狙った若者向けクルーザー

▲REBEL 250

レブルは主に北米において「ジェネレーションY」世代に向けて開発した新型クルーザーモデルである。「Y」は米国において80年代~90年代に生まれたエコブーマーとも呼ばれる若い世代のことで、彼らが求めるクールなスタイリングと気軽に楽しめるサイズ感で「ちょうどいい」を目指したという。

▲REBEL 250

また、グローバルモデルとして世界各地のニーズに対応できるよう、共通のプラットフォームに異なる排気量のエンジンを用意。国内では単気筒250cc並列2気筒500ccの2つのラインがリリースされた。

デザインコンセプトは「SIMPLE」&「RAW」(未加工の素材)とし、自由な発想でカスタムして楽しめるスタイルが完成した。

▲REBEL 250

▲REBEL 500

米国ではハーレーの独壇場と思いきや、ストップ&ゴーの多い混雑した都市部ではむしろ軽快なレブルのようなモデルが好まれるそうだ。そうした潮流も見越した31年ぶりのフルモデルチェンジにも時代の変化を感じる。

手軽に乗り回せる250とロングツーリングも視野に入れた500という、排気量によるキャラの作り分けも見事な戦略だ。

▲REBEL 500

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第9位「YAMAHA MT-10/SP」

意のままに操れるストリート最強性能

▲MT-10 SP

「MT-10」はスーパースポーツ「YZF-R1」をベースに開発されたスポーツネイキッドモデルである。開発コンセプトは”意のままに操れるストリート最強のスポーツ性能”として、サーキット性能を追い求めたR1に対し、普段使うことの多い常用域に合わせてチューニングされているのが特徴だ。

電子制御もフル投入されトラコンやクルーズコントロール、エンジンモード選択、クイックシフターなどを標準装備。デザインコンセプトに掲げた”The King of MT”にふさわしい迫力ある独自のスタイリングとMTシリーズの最高峰としてのハイグレードな装備が与えられている。ちなみに上級版のSPにオーリンズ製電子制御サスとフルカラーTFTメーターも装備される。

厳つい雰囲気からは意外なほど穏やかで、前後サスもソフトで乗り心地も良いなど上質な走りが印象的だ。

▲MT-10

▲MT-10 SP

▲MT-10 SP

MT-10は大まかなジャンルとしてはストリートファイターに属するモデルである。今までそこは輸入車の独壇場だったが、ようやくBMWやドゥカティと互角以上に張り合える国産ストファイが登場した。しかも抜群に扱いやすいという点で乗り手を選ばない。ヤマハの繊細な調律が光る一台と言えるだろう。

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第10位「HONDA X-ADV」

都会と冒険、オンとオフを自在に行き来する

「X-ADV」はアドベンチャーの力強さとコミューターの利便性を高次元で融合させたスタイリングが特徴で、「平日は都会をスマートに移動し、休日は日常を離れて冒険へ」という遊び心のあるモーターサイクルライフを提案している。

エンジンはNCリーズで実績のある水冷並列2気筒745ccにホンダ十八番のDCT(有段式自動変速機構)の組み合わせ。ユニークなのは足まわりで、フロントに倒立フォークとリヤには軽量アルミ製スイングアームと作動性に優れたプロリンクサスを採用。また、前後スポークホイールとフロントに17インチ、リヤに15インチのブロックタイヤを採用するなど、雰囲気だけでなく実際の走破性もなかなかのものだ。

さらにフルフェイス1個を収納可能なラゲッジスペースをシート下に設けるなどコミューターとしての利便性も高められている。普段着のまま気楽に冒険旅行に出かけて、オンとオフの生活リズムを軽やかに切り換える。そんなライト感覚が時代の空気にもフィットした、新ジャンルのモデルとして期待が膨らむ。

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ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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