ライテク都市伝説を斬る その12 [基本はリーンウィズで頭はセンター]

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

間違った認識を植え付けがちなリーンアウト、リーンイン

ライディングフォームの基本は、身体をバイクと同じ角度に傾けるリーンウィズで、頭の位置はステアリングヘッドの延長線上にあること。確かにその通りかもしれません。

リーンインでもリーンアウトでもなく、それらの中庸にあるリーンウィズは最も自然体であると言えますし、ステアリングヘッドの延長線上に頭の中の三半規管があれば、バランス能力を発揮させるにも有利との見方もできます。

でも、オフロードで小回りをするときは、リーンアウトでないと、スリップダウンすることなく向きを変えることはできません。逆に、最近のレースシーンでは肘を擦るようなリーンインが主流ですし、白バイの安全運転競技会での走りもそれと本質的に変わらないリーンインを見ることができます。また、どれも頭がセンターにあるわけではありません。

つまり、リーンウィズが基本であると拘ること自体がナンセンスなのではないでしょうか。それに何より、リーンアウトとかリーンインという考え方が、コーナリングに間違った認識を植え付けがちなのです。

私がこの連載で何度が書いているように、コーナリングでの身体操作は他のスポーツと同じで、テイクバック(バックスイング)、トップ後のダウンスイング、インパクト後のフォロースイングという3つのステップで成り立っています。そのことは、リーンアウトであれリーンインであれ、変わりません。

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テイクバックに相当するアプローチの段階では、上体をイン側に移動させながらも、骨盤をアウト側に残します。そして、ダウンスイングに相当する倒し込みで、一気に骨盤をイン側に移動させます。

そうして、二次旋回ではフォロースイングに相当する動きとなり、フルバンクに向かっての上体をイン側に捻りこんでいくことになります。

荷重線上に接地点を

ところが、リーンアウトの場合では、その段で上体をアウト側に残していく、いや、逃がしていくものと捉えている人が多いように思います。見掛けはリーンアウトであっても、体重移動を持続することには変わりがないのです。

実は、リーンアウトかインか、自分がどのように乗るかは、アプローチの段階のタイミングで決まるものであって、コーナーに入ってどんなフォームを取るかを意識した結果ではないのです。

滑りやすいオフロードでは、体重移動の前にマシンを寝かして舵角を入れることが大切になります。必然的に身体はアウト側に大きく残り、リーンアウトスタイルになります。Uターンなどの小回りでも、舵角を入れることが先決となり、リーンアウトとなります。

でも、グリップ状態が良くて、高い旋回Gが可能となる場合は、倒しこみでの骨盤の移動量、その後の上体の入れ方も大きくなります。またレースでは、予め腰をイン側に移動させています。

いずれにしても、センターに乗っている感覚であることに変わりはありません。リーンアウトでは生じる旋回Gが大きくはなく、上体がアウトにあっても、真っ直ぐタイヤの接地点に向かって荷重している感覚だし、旋回Gが大きいリーンインでも、荷重線上に接地点がないといけないのです。

その意味では、見掛けのフォームに関わらず、リーンウィズのバランスでないといけないし、動的に体重移動を持続させるという意味で、感覚的にリーンインであると言えます。

ですから、センターに乗る感覚が維持できていれば、頭の位置はあまり関係ないと考えます。

床の上で片足立ちしたとき、頭が荷重線上、つまり垂線上にあれば安定しますが、頭をずらすとグラグラするはずです。それと同じで、要は重力と旋回Gとの合力の荷重線が、頭から接地点に向かっていればいいのです。

腰がイン側に落ちながらも上体がリーンアウト気味の、80年代に主流となったハングオフスタイルについて付け加えておきましょう。これは私にとって現役時代に身に染みこんだ形でもあるのですが、現在のバイクへの進化と照らし合わせて考えると、過渡期のものと思えてきます。

タイヤの幅が大きくなって、倒し込みでの体重移動量が要求され、腰が大きくずれても、旋回性そのものはさほど高まっておらず、上体はリーンアウトのまま残っていたというわけです。

現在のレーシングライダーのスタイルは、むしろ基本に戻っていると言えましょう。

“型”として、アウト、ウィズ、インといったリーンスタイルに言及するライテクは無意味だと思います。動的にアプローチにおけるリズムとして考えなければいけないのです。

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和歌山利宏

和歌山利宏 モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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