バイクの未来はどうなっていくのか!?「CASE」について考えてみた

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

自動車産業の新たなキーワードにCASEというものがあるそうだ。「コネクテッド(つながる)」、「オートノマス(自動運転)」、「シェアリング(共同所有)」、「エレクトリシティ(電動化)」の頭文字をとったものだ。

来年にもドライバーの監視付きながらもシステムが運転するレベル3の自動運転が実用化され、数年後にはハンドルもないレベル4の完全自動運転車が導入される見通しになっている。
そして、2030年には世界の新車販売の約7割がEV(電気自動車)になるという予測もある。4輪の世界は猛烈なスピードで進化しているのだ。

新しい時代のモビリティにおける2輪の存在

クルマだけではない。2027年には東京・名古屋間を40分で結ぶリニア新完成が開業予定になっていて、海外ではそれを上回る音速に近い速度で真空のチューブ内を移動するハイパー・チューブなるものも計画されているという。
ドローン技術を応用した「空飛ぶクルマ」も夢ではなくなってきている。それがクルマと呼べるかどうかは別にして……。

かように移動体としてのモビリティには今、大変革が起ころうとしている。その中で2輪はというと、一般社会の中で話題になることは少ない。少なくとも主役ではない。

ただ、渋滞を避けるために空へ、という構想があるのであれば、その前に地上の有効活用をもっと突き詰めて考えることも必要だろう。また、環境問題からEV化が進むのであれば、エネルギー効率が高く省スペースを実現できる2輪にもっと目が向いても良さそうなものだ。

未来志向の新たな2輪

先頃開催された東京モーターショー2017とミラノショー(EICMA)では、多彩なニューモデルに混じり未来志向の2輪もいくつか登場していた。その代表格はホンダの「Honda Riding Assist」とヤマハの「MOTOROiD(モトロイド)」だろう。

【関連ニュース】
東京モーターショー2017
ミラノショー2017

「Honda Riding Assist-e」は。2足歩行ロボット「ASIMO」などで培った技術を応用して停止時や低速域でもふらつかずに自立できるバイクを目指したものだ。

ステアリング部分のモーターによって操舵することでバランスを保つ仕組みになっていて、ちょうど渋滞時などにライダーがハンドルを左右に小刻みに切ってバランスをとる動作と似ている。
ただ、巨大なジャイロを搭載しているわけではないので、大きな外力を受ければ転倒するらしい。あくまでも、低速時や停止する際の不安定さの解消や、転倒リスクを低減するのが目的とのことだ。

一方、ヤマハの「MOTOROiD」は、知能化技術を用いて「人とマシンが共響するパーソナルモビリティ」を目指すものだ。

こちらは車体そのもの、つまりセンターを貫くスイングアームと一体となった構造部分をロールさせることでバランスを調整して自律する仕組みで、AIによるライダーの顔認識や追尾機能なども搭載されるなど、まるでペットと付き合うようなインタラクション機能を持っているのが特徴だ。

双方とも実験機であって製品化についてのアナウンスはないが、EVであることや自律型であることを考えると冒頭に挙げたCASEの概念に当てはまるモビリティであり、2輪の新たな未来の方向性を示したモデルとして興味深い。

移動手段だけじゃない、楽しむためのバイク

ただ、東京とミラノのショーを見回してみてもすぐにEVや自動運転のバイクが登場してくる気配はない。そこがクルマとは違うところだ。

そこには、自律(自立)させることが難しいという2輪ならではの特性と、趣味性の高さも関係していると思う。バイクは移動手段であるとともに、「操ること」そのものを楽しむ乗り物でもあるからだ。

そう考えると、モーターで走るスムーズすぎる静寂さや自分で操る必要がないほどの自動化はむしろ、モビリティの楽しみを奪うものになってしまうかもしれない。

CASEには大きな期待とともに複雑な思いも入り混じる。可能性の未来である。そこにいろいろな選択肢はあっていいだろう。
ただ、モーターサイクルが100年以上の歴史を積み上げて開発してきた内燃機関の味わいや、人間の持てる五感を駆使して乗りこなすライディングの醍醐味はけっして廃れるものではないと思う。

もしかすると、自立型EVが普及した未来では、自分で運転するガソリンエンジン車は高級で手が出せないクラシックカーやビンテージバイクになっていくかもしれない。そうなる前に、今のバイクライフを存分に満喫しておきたいと思う今日この頃である。

ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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