EICMAで最も注目されたパニガーレV4は、ドゥカティの伝統の発展形

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

今年のEICMAの入場者数は24%も増加、その人たちへのアンケートでは、61%もの人が最も美しいバイクにパニガーレV4ストラダーレを選出したそうだ。

今年のEICMAの総見については既にお伝えした通りだが、入場者にとってもパニガーレV4が最も注目を引く存在であったのは確かだ。

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デスモセディッチGP直系エンジンを搭載

さて、このパニガーレV4、注目されるのも道理というものだ。それにはイタリアンらしいスタイリングの美しさもさることながら、いくつかの理由が考えられる。

ドゥカティ初の量産V4エンジンを搭載すること、BMWや国産4メーカーのマシンと同じ4気筒の土俵の競合車となること、そして何より、モトGPマシンのデスモセディッチGP直系であることが挙げられると思う。

実際、エンジンはモトGPマシンから、多くが踏襲されている。写真手前のパニガーレV4は前方から、向こう側の削り出し部品も多いGPエンジンは後方からのショットなのだが、共に90度のV4で、基本レイアウトも同一であることが見て取れる。

しかも、昨今のGPマシンのトレンドに倣いクランクは逆回転で、GPエンジン同様、左右の90度Vは位相角70°で連結されている。また、ボア値もφ81mmを受け継ぎ、それはモトGPのレギュレーションの上限値でもある。

となると、ドゥカティらしいVツインの鼓動感とトルクフルさは期待できないのではないかとも思われるが、そんなことはなさそうだ。

ドゥカティが培ってきた技術が投入された独自性

まず、ストロークアップによって、排気量が1,103ccに引き上げられ、トルクアップが図られている。ボアφ81mmの超ショートストロークでは、公道向きの特性を得にくいからだ。これにより、ボア・ストローク比に注目しても、1,000ccのボアφ78mmの場合相当となっている。

実際、124Nmという強大なトルクを10,000rpmで発揮しながら、120Nm以上のトルクを8,750rpm~12,250rpmで発揮するというワイドレンジぶりである。この台形型トルクカーブは、高性能エンジンの一つの理想形でもある。

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さらに、70°クランクであることにも注目できる。位相角だけでなく、V4として爆発順序が独特で、ドゥカティはこれをツインパルスと呼んでいる。

一般的な90°V4(V2も)では、片側のVツインが交互に270-450°毎の爆発になるが、パニガーレV4では90-630°となり、もう片方のVツインは290°遅れての燃焼行程となる。そのため、爆発間隔は90-200-90-340°となっている。

一般的な90°V4(RC213Vも)だと90-270-90-270°であり(YZF-M1やYZF-R1のクロスプレーンも爆発間隔は同じ)、90°の近接箇所が2つあることは同じでも、それが不等間隔で、近接箇所におけるトルクが1つのクランクピンに作用するため、ビッグバン効果が強くなっていると解釈できる。ドゥカティらしいビート感も期待できるわけだ。

そして、フレームに注目すると、モトGPマシンがツインスパータイプとなっているのに対し、このV4は一件、V2のパニガーレと同様のモノコックタイプのようにも思われる。

しかし、大きく異なるのは、V2のパニガーレではエアボックスを兼ねたモノコックだったのに対し、新しいV4ではツインスパータイプと同様の形態で(そのため、ドゥカティはこれをフロントフレームと呼ぶ)、剛性バランスを最適化しやすく、ライダーへのフィードバック性にも富むと思われる。

ドゥカティがフレームをこのタイプとしたのは、V4化による重量増を抑えるためとしている。

つまり、パニガーレV4の独自性は、ドゥカティが培ってきた技術によるもので、その意味でも大いに期待できるというわけだ。

和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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