【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

2017年のEICMAを振り返って、端的に言い切ってしまうなら、インパクトがある花形モデルは、ドゥカティのパニガーレV4の1台だけであったとの印象も拭いきれない。
となると、人々はその展示に集中し、他はそれほど人が集まらないということになりかねないところである。

▲ドゥカティ PANIGALE V4

人だかりは普通に使えるバイクにも

ところが、全くそんなことはなかった。確かに、華のあるパニガーレV4が注目を浴びていたことは確かである。でも、それはかなり限られたマニアたちで、展示されていたモデルやカットエンジンに近付く余地がなかったわけではない。
むしろ多くの人々が群がり、跨ってライポジなどをチェックしようとしていたのはもっと普通に使えるバイクが中心であった気がする。

また、インパクトのあるモデルが少なければ、会場に集まる人が少なくなっても不思議ではないのに、全くそんなことはない。身近なモデルに人々が集まっていたこともあって、会場の混雑ぶりは昨年までを上回っていたかのような印象すらある。

私の場合、ジャーナリストとして出展モデルの写真を撮影するという仕事もこなすだけに、モデルへの注目度が良く分かるという面もある。写真撮影にとっては人々が群がらないほうが好都合だからだ。

アドベンチャーモデルへの注目度

その意味で苦労させられたのは、ドゥカティのムルティストラーダ、BMWのF750GSとF850GS、トライアンフのタイガー800と1200のXCとXR、ホンダのアフリカツイン・スポーツアドベンチャー、ヤマハのスーパーテネレ・レイドエディションといったあたりであった。つまり、アドベンチャー系が最も注目されていると感じられたのだ。

▲ドゥカティ Multistrada

▲BMW F750 GS
▲BMW F850 GS
▲トライアンフ TIGER 800 XC
▲トライアンフ TIGER 800 XR
▲トライアンフ TIGER 1200 XC
▲トライアンフ TIGER 1200 XR

▲ホンダ Africa Twin Adventure Sports

▲ヤマハ XT1200ZE Super Ténéré Raid Edition(スーパーテネレ・レイドエディション)

こうしたアドベンチャーモデルは、たまたまモデルチェンジの時期が重なったという見方もできるが、ワイドレンジに使えるバイクに多くの人からの要求があることの証しなのかもしれない。

予想外の人気モデル

華よりも実を採る風潮は、BMWのミドルスクーターC400X、ホンダのCB300R、カワサキのニンジャ400への注目度からも察することができる。以前なら大型の高性能バイクの陰に隠れてしまいそうなのに、周囲の混雑度はなかなかの高さであった。

▲BMW C400X

▲ホンダ CB300R

▲カワサキ Ninja400

その一方で、ちょっと意外なのは、ホンダのゴールドウィング、BMWのK1600 Grand Americaが人気を集めていたことである。

▲ホンダ GOLWWING

▲BMW K1600 Grand America

現実的に使えて、それでいてラグジュアリーに楽しめるというわけで、そこにはヨーロッパの交通がかつてのような高速指向でなくなり、さらにユーザーの高年齢化していることも背景にあると思われた。

和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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