賀曽利隆の「東京→青森林道走破行 2017」(2)

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

前回:賀曽利隆の「東京→青森林道走破行 2017」(1)

3日目、第9本目となる二口林道をスタート

8月2日、仙台の茂庭温泉「茂庭荘」の朝湯に入り、朝食を食べて出発。スズキのニューモデル、Vストローム250を走らせ、国道286号→県道62号を行く。
目指すは第9本目の二口林道。

▲仙台の茂庭温泉「茂庭荘」を出発

「奥州三名湯」のひとつ、秋保温泉を通り過ぎ、国道457号が分岐する秋保の町を走り過ぎ、秋保大滝不動を参拝。その裏手にある東北を代表する名瀑、秋保大滝を見る。名取川にかかる高さ55メートルの大滝だ。

▲秋保大滝不動尊を参拝
▲秋保大滝を見る

茂庭温泉は東北道の仙台南ICのすぐ近くだが、そこから20キロほど走って二口林道入口の二口に到着。ここにあった一軒宿の二口温泉は廃業湯。今、日本中でこうした温泉宿がなくなっている。何とも残念なことだ。

▲二口林道のダートに突入

二口林道は林道入口から0.9キロ地点でダートに突入。二口渓谷の渓谷美を見ながら走る。林道入口から3.5キロ地点で橋を渡るが、そこには名水が湧き出ている。右手には磐司岩がそそり立っている。高さ100メートルの大岸壁。

奥羽山脈の二口峠を越える二口林道は林道入口から5.2キロ地点のゲートで通行止。全線を舗装林道にするとのことだが、とにかくやることが遅い。もう何年も通行止がつづいている。舗装化されるのは仕方ないことだけど、一日も早く通れるようにしてほしいものだ。

▲二口林道を行く
▲林道入口から5.2キロ地点にゲート

宮城県を縦貫する、お気に入りのルートへ突入

二口から秋保に戻ると国道457号を北へ。この国道457号は国道4号の西側を通っているが、宮城県の白石から岩手県の一関まで通じている。仙台周辺は交通量が多いが、それ以外のエリアは交通量も少なく、ローカル色満点のルート。
宮城県を縦貫するぼくの好きなルートなのだ。

国道457号から国道48号に合流し、分岐すると、JR仙山線の「愛子駅」の駅前を通る。「愛子」で「あやし」。日本の難解地名だ。

▲仙台の愛子駅前。「愛子」で「あやし」

愛子から国道457号をさらに行き、仙台近郊の名山、泉ヶ岳(1172m)に通じる県道223号に入っていく。

登るにつれて正面の泉ヶ岳が大きく見えてくる。泉ヶ岳温泉「スパ泉ヶ岳」の前を通り、泉ヶ岳スキー場を前を通り過ぎ、泉ヶ岳スキー場から1.5キロ地点で第10本目の大平桑沼林道のダートに突入。
泉ヶ岳の周辺には何本もの林道がある。我ら「林道派ライダー」にはうれしい限りのエリアだ。

▲大平桑沼林道に入る

大平桑沼林道のダート2.6キロを走り切ると、林道三差路に出る。ここが大平桑沼林道の終点で、右折が種沢林道(ダート5.4キロ)、直進が升沢林道になる。

▲ここが大平桑沼林道の終点の林道三差路

大平桑沼林道終点の林道三差路では直進して升沢林道を行く。ストレート区間の多いフラットダート。路面が整備されていて以前よりも走りやすくなっている。深い森の中を走り抜けていく。林道三差路から4.5キロ地点の分岐は右へ。この分岐の周辺は若干、ラフ。7.2キロのダートを走り切ると旗坂キャンプ場前にでる。

大平桑沼林道→升沢林道の連続ダートは9.8キロ。あともうすこしでロングダートの仲間入り。ぼくはダート10キロ以上をロングダートにしている。

▲升沢林道を行く

▲升沢林道でのVストローム250
▲旗坂キャンプ場。ここが升沢林道の終点

20キロ超のロングダートを進む!

旗坂キャンプ場から舗装路を0.8キロ走ったところが、第12本目の小荒沢林道の入口だ。20キロ超のロングダート。

▲ロングダートの小荒沢岳山林道に入っていく

林道入口からダートが始まる。3.3キロ地点で峠に到達するが、そこからは稜線上を行く。6.6キロ地点で一気に下る。6.9キロ地点の分岐は直進。左に入っていく道は舗装路で、船形山(1500m)の登山口の大滝キャンプ場に通じている。

▲小荒沢岳山林道の峠に到達

この分岐を過ぎるとかなりラフになり、石がゴロゴロしている。砂利を敷いている区間もあるが、深砂利はバイクにとってはハンドルをとられるのでかえって走りにくい。

12.6キロ地点では写真の庭園風の沢を渡る。14.5キロ地点では舗装路になるが、すぐにまたダートになる。16.5キロ地点の分岐は直進。この分岐を過ぎるとグッと走りやすくなる。17.6キロ地点の分岐は直進。最後は快適走行のストレート区間。

▲小荒沢岳山林道のストレート区間

20.0キロ地点には湧水。そのすぐ先で舗装路になる。小荒沢岳山林道のダート区間は20.5キロ。20キロ超のロングダートというのは走り応えも十分。20.7キロ地点で林道出口の桑畑。そこから7.2キロ走ると県道156号のT字路。右折すれば国道457号、左折すれば347号に出られる。

▲小荒沢岳山林道の沢渡り。豊かな自然に癒される
▲ここが小荒沢岳山林道の出口

加美町の宮崎は林道天国

大平桑沼林道、升沢林道、小荒沢岳山林道の3本の林道で30.3キロのダートを走ったあとは大水田地帯を走り抜け、加美町の宮崎へ。宮崎は「林道走破行」(東北中部編)でも紹介したように、林道密集地帯の入口だ。ここからは山形県に通じる県道262号を行く。

▲加美町の大水田地帯を行く
▲加美町の宮崎の町並み

4.8キロ地点の旭で右折し、6.1キロ地点にある切込温泉「ゆ~らんど」の湯に入る。湯から上がると昼食の「カルビー丼」を食べた。

▲切込温泉「ゆ~らんど」の湯に入る
▲切込温泉「ゆ~らんど」で昼食の「カルビー丼」を食べる

「ゆ~らんど」から2.2キロ地点で第13本目の県道262号のダート区間に入る。東北には各地にこのようなダート県道があるのがうれしいところだ。県道262号のダート区間は小刻みなカーブがつづく。
路面はよく整備されているので走りやすい。さすが県道、5.3キロのダートを走ると田代キャンプ場のある田代十字路に出る。


田代十字路には何本もの林道が集まってくるが、そのうちの1本、第14本目の築沢林道を行く。田代十字路で右折して入る林道だ。
林道入口からダート。2.5キロ地点の分岐は左折する。直進するのは宇土沼林道で、この林道を下っていくと「ゆ~らんど」の近くに出る。

築沢林道は林道入口から5.8キロ地点で加美町と大崎市の境の峠を越え、一気に下っていく。8.1キロ地点の分岐は左へ。直進するのは沼井林道。11.6キロ地点で舗装路になり、鳴子温泉へと下っていく。

▲築沢林道を走り終え、鳴子温泉の鳴子駅前に出た

加美町の宮崎を出発点にしての林道は今回は県道262号と築沢林道の2本だけだったが、このエリアはまさに「林道天国」なので、何本もの林道をつないで走れる。

鳥海山を越えるぞ!しかし…

鳴子温泉からは舞台を日本海に移し、国道47号で酒田へ。ここから鳥海山の東側を越える奥山手代林道を目指す。

一晩、鳥海山中腹の湯ノ台温泉「鳥海山荘」に泊まり、鳥海山の名瀑、玉簾の滝を見たあと、第15本目のロングダート奥山手代林道に突入。

▲夜明けの湯ノ台温泉を出発
▲水田の向こうに鳥海山を見る

▲鳥海山麓の名瀑、玉簾の滝

だが林道入口から6.9キロ地点で通行止。「さー、鳥海山を越えるぞ!」と気負っていたので、これは痛かった。

▲大荒れの奥山手代林道。この先で通行止

鳥海ブルーラインで秋田県に入ると、日本海ルートで青森県へ。第16本目の東北最長ダート、白神ラインも通行止。ガックリ肩を落とすカソリ…。

それでも気を取り直し、津軽半島に入っていく。小泊から第17本目のロングダート、津軽半島横断の増泊林道に入っていく。

▲津軽半島の増泊林道に入っていく
▲ここが増泊林道の峠

国道339号の入口から1.1キロ地点に小泊ダムがあるが、そこからダートが始まる。5.5キロ地点の分岐は直進、5.6キロ地点の分岐は左、9.9キロ地点が中泊町.外ヶ浜町境の峠。18.0キロのダートを走り切って三厩に出る。
「終わりよければすべてよし」だとばかりに意気揚々とした気分で、17時45分、東北道の青森料金所にゴール!

「東京→青森.林道走破行2017」の全走行距離は1582キロ。その間の17本の林道のうち、全線を走りきれたのは9本。9本のダート距離の合計は136.9キロになった。ダート率は8.6パーセントで10パーセントを割った。通行止の林道が多かったので仕方ない。

さ~、次は「東京→青森.林道走破行2018」だと、気持ちを切り替え、青森料金所で新たな林道走破計画を立ち上げるカソリだった。

一気に東京へ。相棒よご苦労さん!

18時00分、東北道の青森料金所を出発。東京まで一気に走る。

▲東北道の青森料金所に到着。さ~、東京へ!

19時20分、岩手山SAで夕食。「かき揚げうどん」を食べる。1杯のうどんで元気が出た。

▲東北道の岩手山SAで食べた「かき揚げうどん」

21時40分、長者原SAで給油。Vストローム250での東北道の高速走行は110キロ前後での巡航速度だったが、燃費はリッター27.4キロ。

23時55分、安達太良SAで夜食。「カレーライス」を食べた。

24時55分、那須高原SAに到着。猛烈な睡魔にたまらず、1時間のゴロ寝。目がさめたところでアイスコーヒーを飲んで出発。

2時05分、佐野SAに到着。ここでも15分寝た。

3時15分、東北道の浦和料金所に到着。

▲東北道の浦和料金所に到着。青森料金所から686キロ

Vストローム250のメーターでは青森料金所から686キロ。1万1100円の高速代が痛い。「東京→青森」とか「東京→北九州」とか、高速道で長距離を走るたびにいつも思うことは「日本の高速代は高すぎるよ」ということだ。
少なくとも、バイクはもう少し安くならないだろうか。

さらに東京を横断して神奈川県伊勢原市の自宅まで走る。途中で夜が明け、伊勢原に到着したのは4時45分。湯ノ台温泉から24時間で1260キロを走った。
「Vストローム250よ、ご苦労さん!」

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賀曽利隆

賀曽利隆冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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