東京モーターショー関連コラム 第三弾 出展された自動自立バイクからその可能性が見えてきた

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

電動化し、可能性を広げたRiding Assist

すでにホンダは今年1月のCES2017で、NC750SをベースにしたHONDA Riding Assistを発表、停止時も倒れない様子をデモンストレーションし、インパクトを与えました。

▲Riding Assist

さらに今回の東京モーターショーでは、電動としたAssist-eに発展させ、身近な存在としての可能性を広げてくれました。私が現車を見るのは初めてだったのですが、八郷社長がスピーチする傍らで、ステアリングを左右に切ることで自立していたことが印象的でした。

▲八郷社長 | Riding Assist-e

MOTOROiDの挙動を見て結びついた、ある実験車

▲MOTOROiD

そして今回は、ヤマハもMOTOROiDという自立バイクを披露しました。ステージ上で大きく倒れそうになった方向に車体をよじらせるように傾け、バランス取りする様は、まるで生き物であるかのような異様さで、感激さえ覚えます。

と同時に、それが見たことのある挙動であることに気付きました。

ヤマハは5年前、前後輪操舵機構を持つTwisterという研究実験車を開発。私も試乗させて頂いたのですが、MOTOROiDの車体の挙動は、Twisterが後輪を操舵させる動きと同じだったのです。会場には、Twisterの開発者である辻井栄一郎さんも出席されており、頭の中で一気に両者が結びついたのでした。

▲MOTOROiD | 辻井栄一郎氏

研究実験車Twisterの自立機構

ここでTwisterについて説明しておきますと、それは、ステアリング操舵と連動して、ヘッドパイプを左右に回転させ、後輪を操舵させるというものです。

ヘッドパイプを基準にすると、フレームは左右に回転。後輪が傾くと同時に、後輪は外側を向くように操舵されるというわけです。

車体がステアリングが切れたのと同方向に傾き、後輪が前輪と逆に切れるのが逆位相、同じ向きに切れるのが同位相です。Twisterではそれを切り替えることができ、単純に言うなら、逆位相のほうが操縦性も安定性も向上するという結果でした。

▲Twister 逆位相

▲Twister 同位相

▲Twister 逆位相

▲Twister 同位相

これをいかに発展させるかという話題になり、最後にこんなことも可能と見せられたのが、MOTOROiDが身をよじらせバランス取りをするようなCG動画だったのです。倒れそうになった方向に車体を傾けて、重心位置をアウト側に移動させ、バランスを保つのです。

ということは、ヤマハは5年以上も前に、この自立機構であるAMCES(Active Mass CEnter control System)に着手していたことになります。技術開発が一朝一夕で成し得られるものでないことも実感させられます。

ホンダ方式とヤマハ方式。電動自立機構の可能性

これに対し、ホンダのHONDA Riding Assistでは、ヤマハのAMCESとは異なった方法でバランス取りをしています。

極低速域でヘッドパイプを寝かすようにヨーク角を設け、前輪の接地点を操舵軸の延長線上の前方に移動させることで、自立機能を得ています。操舵軸の延長線上の後方に接地点があるわけで、ネガティブトレールとしているのです。

これによって、倒れた方向にステアリングを切ってバランスを保つバイク本来の機能に加え、重心がアウト側に移動します。

ホンダ方式もヤマハ方式も、重心をアウト側に移動させてバランスを保つという点では共通していても、機構的には大きく違っていることが興味深くもあります。

こうした自立機構は、バイクがより多くの人が使えるコミューターとなる可能性を感じさせます。電動となることで、ますますその可能性が膨らんだように思います。

【東京モーターショー関連コラム】
第一弾 見事に開発が進行していたMOTOBOT
第二弾 新型ゴールドウィングは単なる正常進化を超越した刷新形だ
和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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