人とモビリティの関わり方を変える ヤマハのAI搭載ロボットバイクが凄い!

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

本日から一般公開が始まる「第45回 東京モーターショー2017」。出展している国産4メーカーの中でも、一歩先を行く先端技術で注目されているのがヤマハだ。

LMWについに大型スポーツモデルが登場

ヤマハのテーマは「YAMAHA FUTURE GARAGE 響きあう未来へ」。世界初披露のワールドプレミア6モデル、日本初披露のジャパンプレミア4モデルを含むコンセプトモデルと市販車、合わせて20モデルを出展するなど華やかなブース展開が目を惹く。

来年の市販化がアナウンスされた水冷直列3気筒エンジン搭載の大型LMW(リーニング・マルチ・ホイール)「NIKEN」や、”ハーフサイズモビリティ”のコンセプトを掲げた4輪LMWの「MWC-4」、フロント2輪の小型電動立ち乗りモビリティ「TRITOWN」など、多種多様なLMWを揃えて攻勢に出ている。

LMWとはヤマハが提唱する、車体を傾けてコーナリングする3輪以上の乗り物のこと。
現行モデルとして既に3輪スクーターのトリシティシリーズがあり、通常のモーターサイクルのような爽快でダイナミックな乗り味とフロント2輪による安定感が魅力となっている。

▲NIKEN

▲MWC-4

▲TRITOWN

▲トリシティ155(現行モデル)

さらに今回、2輪業界に大きなインパクトを与えそうなのが自律型モーターサイクルロボットとも言える2体のモビリティだ。

ペットのような関係を目指す自律型電動バイク

▲MOTOROiD

世界初披露となった「MOTOROiD(モトロイド)は、知能化技術というインテリジェンスを用いて、「人とマシンが共響するパーソナルモビリティ」を目指す概念検証実験機である。

「UNLEASHED PROTOTYPE(常識からの解放)」の開発コンセプトの元、オーナーの存在を認識するなど、まるで生きているようなインタラクション(相互作用)機能を持っているのが特徴だ。

ステージ上ではモトロイドのデモが行われていたが、驚いたのはコンセプトモデルにありがちなモックアップではなく実際に稼働していたこと。

AI(人工知能)によってライダー役のモデルの顔を認識して起動すると、車体センターを貫くスイングアームと一体となった構造部分をロール方向にスイングさせてバランスを取り、自分でサイドスタンドを払って起き上がる。

ライダーの手招きに反応してそろそろと近づいてくる動きは、まるでよく訓練された犬のようである。SF映画のような光景に会場では一瞬どよめきも。

その場に静止することもバックで進むこともできるし、デモでは行われなかったが人が乗って移動する場面もモニターで紹介された。

動力についてリチウムイオンバッテリーから供給される電気によって、後輪に組み込まれたインホイールモーターが駆動する仕組みだ。車体下側に3本並んだ筒状のユニットがバッテリーで、重心移動によってバランスをとるための重りを兼ねている。

シート後部にはライダーの体をホールドするようなパーツが備えられているが、これは振動などによってコーナリングするきっかけや前方の危険などをライダーに知らせるデバイスとしても機能する設計になっている。

車重は213kgということで一般的なモーターサイクル並みに抑えられている。試作機ということで、3Dプリンターで作られたカーボン素材のホイールなど一品ものが多く使われているが、技術的には十分製品化が可能と思える完成度だった。

開発者の話では「人とモビリティの関わり方を変えたかった」とのこと。つまり、コミュニケーションがとれるペットを愛しみながら共に暮らすような関係だ。

ヤマハでは新しい感動体験の創出を目的に、こうしたチャレンジに取り組みながら新しい価値を生み出す技術の獲得を目指していると言う。

ロッシとの差を縮めたMOTOBOT

もうひとつはMOTOBOT Ver.2(モトボットバージョン2)だ。モーターサイクル技術とロボティクス技術を融合により未知の領域を開拓する自律ライディングロボットで、前回2015年のモーターショーで初披露されたVer.1の進化型である。

車両そのものには手を入れず、人と同じようにアクセルやブレーキなどを操作しながら、高速でのサーキット走行が可能となっている。今回のテーマは「200km/h以上でのサーキット走行」とMotoGP現役トップライダー、バレンティーノ・ロッシとのバトルである。

MOTOBOTは、基本的には操舵機能をコンピュータで制御することで直進や旋回を行う仕組み。人間がバイクを操る場合は操舵に加えて重心移動や身体による入力を行うが、MOTOBOTは操舵つまりハンドルを切る操作だけで200km/hを超える速度でのサーキット走行をこなしている。

YZF-R1をベース車両として使っているが、開発者の話では最大バンク角で50度を超えるコーナリングも可能という。

気になるロッシとの対戦結果は、残念ながらMOTOBOTの惨敗に終わったが、それでもタイムは着実に詰まっているようだ。そして、まるで人間のようにアクセルを開けたり、ブレーキレバーを引いたり、シフトチェンジしながら果敢にタイムアタックする姿は見るものの感動を呼ぶ。

会場のモニターではテスト走行中での激しいクラッシュシーンも映し出されていたが、開発者によると「人間ではテストできない限界域でのマシンの挙動なども数値化できる」そうだ。つまり、「彼」の果敢な挑戦は、我々が普段乗っている市販モデルの安全性を高めることにも役立てられている。

そして、MOTOBOTの開発で得た技術や知見は、既存ビジネスの新たな価値創造や新規ビジネスの開拓に活かされるとのことだ。

こうして俯瞰してみると、LMWやモトロイド、MOTOBOTも含めてヤマハが目指しているのは、すべて2輪の弱点を補うための「転びにくい技術」であり、モビリティを通じた新たな感動や発見であることが分かる。そして、未来を予感させる自律型ロボットパイクの著しい進化には目を見張るものがあった。

2年後となる次の東京モーターショーでは何を見せてくれるのか楽しみである。

【関連ニュース】
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ヤマハ、第45回東京モーターショー2017 ヤマハブース概要を発表
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<東京モーターショー2017 まとめ>
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ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

国産・外車を問わずミニモトからビッグバイクまで、どんなバイクでも乗りこなすモータージャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。
16歳から乗り継いだバイク30台、テストライド経験300台以上。装備や用品、カスタムパーツのテストも数多くこなしてきた。
MFJ公認インストラクター。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。

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