トライアンフ製「Moto2」エンジンを初公開 市販車の3気筒765ccベースに大幅性能アップ

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

今週、富士スピードウェイで開催されたトライアンフの新型「ストリートトリプル」シリーズ試乗会において、2019年より決定している、「Moto2」チャンピオンシップへのエンジン供給について発表があったので報告したい。

Moto2エンジンのレプリカを初公開

今年6月、トライアンフがFIM Moto2クラスチャンピオンシップにおける、2019年シーズン以降の独占的エンジンサプライヤーとなることが発表され話題を呼んだが、今回の発表では、英国本社よりMoto2エンジン開発の責任者であるスティーブ・サージェント氏を招き、現状での進捗状況について説明が行われた。

会場には「Moto2」エンジンのレプリカも展示され、テストの様子が映像で紹介されるなど臨場感のあるプレゼンテーションだった。

新型ストリートトリプルの3気筒765ccがベース

トライアンフは、MotoGPの商業権を保有するドルナと契約を締結しており、新開発したエンジンを3年に渡り「Moto2」に供給することになっている。

新エンジンは、マン島TT、デイトナ200、ブリティッシュ・スーパースポーツ選手権などにおいて、数々の勝利をもたらしたDaytona 675Rエンジンの大幅な発展型。2017年新型ストリートトリプルの3気筒765ccエンジンをベースに、レース専用チューンを施し、パワーとトルクの大幅な向上を目指して開発されたものだ。

ストリートモデルに搭載される新型765ccエンジンは、最上級モデルのストリートトリプルRS用で、123ps/11,700rpmの最高出力と77Nm/10,800rpmの最大トルクを発生している。

これに対し、レース仕様にチューンナップされたトライアンフ765cc「Moto2」エンジンは、市販車よりもエンジンの吸気効率を高めつつ、高回転化により全体のパフォーマンスを向上。さらにレース用として適合させるための特別な変更も施されている。

最高出力133psオーバー

具体的には、
・最適化された吸排気ポートを備えた改良型シリンダーヘッド
・高回転を実現するチタン製バルブおよび強化バルブスプリング
・慣性力を軽減する低出力レース用オルタネータ
・よりギア比の高い1速ギア
・レース専用調整式スリッパークラッチ
・Magneti Marelliとの共同開発によるレース専用ECU
・改良型エンジンカバーによるエンジン全幅の低減
・ヘッドへのオイル流量確保のための新型サンプシステム
などである。

つまりは馬力とトルクと回転数の向上、および抵抗と重量の低減など、オーソドックスな手法によって、すでにストリート用として実績のあるエンジンの潜在力をさらに引き出す方向だ。

現状でも最高出力133psオーバー、最大トルク80Nmオーバーと大幅にポテンシャルを上げてきているそうなので、今後が楽しみである。

3気筒の強みを生かし初回テストも上々

アラゴンでのエンジン開発テストに携わったジュリア・シモン氏によると、「エンジンは力強く、特にミッドレンジは非常に印象的だ。スロットルと後輪との感触は、非常にリニアでかつ制御しやすい。感触はとても良く、エンジンはすでに大きな可能性を秘めている」とのこと。

シモン氏は、2009年125ccワールドチャンピオンで「Moto2」準優勝経験もあるテストライダーである。

今回のために来日したスティーブ・サージェント氏も、「アラゴンでシェイクダウンを行ったが、最初の走行テストとしてはまずまずの結果に満足している。これから時間をかけてさらに性能と信頼性に磨きをかけていきたい」と自信あり気だ。

ラップタイムは公表しておらず、現行のホンダ製4気筒600ccエンジンとの比較についても多くは語らなかったが、トライアンフ製3気筒ならではの低中速域からの豊かなトルク特性を生かした、アグレッシブな走りに期待してほしいとのこと。

2019年シーズンのサーキットに轟く、トライアンフ3気筒の咆哮が今から楽しみである。

ケニー佐川

ケニー佐川 Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

早稲田大学教育学部卒業後、情報メディア企業グループ、マーケティング・コンサルタント会社などを経て独立。趣味で始めたロードレースを通じてモータージャーナルの世界へ。
雑誌編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。
株式会社モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。
日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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