2017鈴鹿8耐を総括 極限バトルの中で新型マシンの特性が見えてきた

【ケニー佐川:Webikeニュース編集長】

幅広い層を取り込む新たな試みが光った今年の8耐

「2017コカ・コーラ鈴鹿8時間耐久ロードレース」が30日に閉幕。

今年は第40回記念大会ということもあり、トータル来場者数は昨年を上回る12万8000人を記録するなど例年以上の盛り上がりを見せた。

筆者も3日間を通じて会場入りしていたが、肌感覚としても若者層や女性の来場者が目立っていて、レースだけでなく会場内のあちこちで行われる催しを楽しんでいる様子が見て取れた。

GPスクエアのメインステージではケニー・ロバーツやケビン・シュワンツなどかつて鈴鹿8耐を賑わせた往年のレジェンドライダーによるトークショーや、「BASE8耐」では今年初の試みとなる若者向け音楽イベント「8フェス」が同時開催されるなど、広い世代がレース観戦とともにライブ体験を楽しめる演出が光った大会でもあった。


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全力アタックで見えてきたマシン特性の違い

今大会では2015年・2016年に続く初の鈴鹿8耐3連覇がかかったヤマハと、これにストップをかけるべく新型マシンを投入してきたホンダ、スズキ、カワサキとの全面対決が予想されていたが、やはりレース本番でも4メーカーの実力が拮抗した目の離せない展開となった。

結果としては、序盤から盤石のレース運びで216周を走り切ったヤマハファクトリーが3連勝を飾り、エース中須賀の8耐史上2人目となる3連覇で幕を閉じることになったが、各メーカーのマシンの戦闘力が近年になく拮抗している印象を受けた。

特に注目したのは、決勝前日に行われたトップ10トライアルである。予選タイム順によるトップ10チームで競われる一発勝負のタイムアタックで、これにより最終グリッドが決定するというもの。

10チーム合計20名のトップライダーが1台ずつコースを占有して行う文字通りの限界アタックということで、ある意味で本番レース以上にエキサイティングで面白い。

メインストレートを全開で走り抜ける8耐マシンの甲高いエキゾーストノートを聞きながら、目では会場内の大型スクリーンに鮮明に映し出されるライブ映像を追っていたが、そこで見えてきたのが各マシンのキャラクターの違いだ。

トップ5がコンマ秒にひしめく混戦ぶり

1位はヤマハファクトリーのYZF-R1+中須賀が、2015年大会でポル・エスパルガロが出した2分6秒フラットに迫る2分6秒03秒で堂々のポール獲得。

2位はヨシムラスズキのGSX-R1000R+津田、3位はチームグリーンのZX-10RR+ハスラムが僅差で続いた。

CBR1000RR勢は4位がTSR、5位がハルクプロということでやや苦戦している模様だったが、それでもトップ5までが0.7秒以内にひしめく混戦ぶりだった。

コーナーはGSX-R、直線のCBR、トータルではR1

興味深いのは、各マシンで速い場所が異なること。

コース前半のS字が連なるセクター1はGSX-Rが速く、ヨシムラがたびたびトップを奪うなど持ち前の軽快な運動性能を発揮していた。

一方、後半のスプーンカーブから裏ストレートへと続くセクター3はCBR勢が強く、パワーを生かしたトップスピードで挽回してくるが、1周のトータルタイムではR1が他を圧倒するという展開。

やはり新型投入から3年目と熟成が進むR1には一日の長があったように見える。

全体を通じてマシンの挙動が安定していて、たとえばシケインの切り返しなどでも明らかに他のマシンより動きが軽快でラインを外さない。

操るライダーの技量が優れていることももちろんだが、レース終盤までムリなく楽にペースを刻んでいる様子だった。

10Rは高速コーナーで本領発揮

ちなみにカワサキの10Rは高速コーナーの速さが際立っていて、決勝序盤でもスプーンカーブ手前の高速200Rでチームグリーンのハスラムが、ハルクプロのCBRの懐に飛び込んだかと思うと、ホームストレートでCBRが逆転するなど各マシンの長所短所が透けて見える気がした。

あくまでも私見だが、新型が投入されたばかりのCBRはチームによってマシンの挙動に差があったように思える。

初年度ということで、電子制御サスペンションを含むセッティングの詰めにもう少し時間が必要なのかもしれない。

ライディングスタイルにも変化が

また、電子制御とスリックタイヤの進化によって近年のライディングスタイルが変化してきていることも興味深かった。

強大なグリップ力を生かすためコーナリング中に外足がステップから外れる、かつての“マモラ乗り”が復活し、最終シケイン手前での突っ込みではイン側の足を大きく出してバランスをとるMotoGP的なライディングスタイルが一般化した。

電制によるエンジンブレーキ特性やリヤリフトの適正なコントロールの他、最終シケイン手前では右足を外すことから、もしかしたらリヤブレーキを左手で操作するサムブレーキシステムが装備されているのかもしれない等々、見どころ満載の今年の鈴鹿8耐だった。

果たして来年はどんなドラマが展開されるのか、2018鈴鹿8耐が今から楽しみだ。

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ケニー佐川

ケニー佐川Webikeニュース編集長

投稿者プロフィール

国産・外車を問わずミニモトからビッグバイクまで、どんなバイクでも乗りこなすモータージャーナリストとして2輪専門誌等で活躍中。
16歳から乗り継いだバイク30台、テストライド経験300台以上。装備や用品、カスタムパーツのテストも数多くこなしてきた。
MFJ公認インストラクター。米国ケビン・シュワンツ・スクール修了。

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