カーボンフレームのBMW「HP4レース」は、バイクの進化に一石を投じる存在だった

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

S1000RRから36kgも軽量化!衝撃的なHP4レースのスペック

今回、BMWからHP4レースというエポックメイキングなマシンが登場しました。

限定750台で、価格も未発表ながら1,000万円とも言われています。そんな高額希少車なのですが、驚くべきはそのスペックです。

BMWのHP(ハイ・パフォーマンス)シリーズとは、市販車をベースとしながら特別なチューンと装備が施された高性能バージョンという位置づけで以前より販売されていました。
今回発表されたHP4レース(4は4気筒を意味している)はS1000RRをベースとし、サーキット専用車とされています。

エンジンはワールドスーパーバイクのワークスマシンに準じたハンドメイドで、エンジン内の往復質量の重量バランスや高められた圧縮比の公差も厳しく管理され、最高出力は215馬力を発揮。それはBMWのワークスマシンにわずか5馬力と迫る高性能ぶりです。

また、車重はガソリン満タン時の「装備重量」が171.4kgで、S1000RRから36kgも軽量化され、ワークスマシンよりも8kgも軽いのだそうです。それは、モトGPマシンに4kgと迫る軽さです。

そして、その実現のために、フレームやホイールにCFRPカーボンファイバーが用いられていることが、大きな特徴となっています。

▲CFRPカーボンファイバーで制作されたメインフレーム

スペックだけではなかったHP4レースの素晴らしさ

私はこの度、ポルトガルのエストリルサーキットにおいて、このHP4レースに試乗する機会に恵まれました。

マシンの軽さによる扱いやすさ、高性能であっても扱いやすいエンジン、コントロール性を高めてくれる充実した電子制御装置群など、最先端のワークスマシンを思わせる走りがそこにはありました。

でも、それだけではありません。そのことだけで語りきれない魅力というか可能性を、HP4レースから見出すことができたのです。

このカーボンファイバー製フレームからはアルミ製フレームにはない特性が伝わり、将来のバイクの金属に代わる素材としての可能性を実感せずにはいられなかったのです。
そうした技術的なメリットを生み出せるよう、BMWはカーボンファイバーの技術を蓄積していたのです。

私のバイク試乗歴においてインパクトを残す一台に

そのことをいかにお伝えすればいいのか、未経験の領域だっただけに、私の頭の中ではまだイメージが逡巡を重ねています。
ただ、はっきりと言えるのは、私のテストライダー人生において、しっかりインパクトを残してくれる一台だったということです。

テストライダーとして43年、ジャーナリストとしても28年、今日まで続けてきた私ですが、試乗したバイクから、将来の方向性を確信させてくれたものがいくつかあります。
数にしてせいぜい一桁ぐらいのものですが、このHP4レースは、間違いなくその一つに加わる存在だったのです。

現状では、CFRPカーボンファイバーはまだまだ高コストで、生産性も良くはありません。
でも、もしその問題が解決されたとしたら、CFRPが金属に変わる素材として一般化していくであろうと確信してしまったのです。

【HP4:Webike車種別情報】
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和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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