賀曽利隆の「東北ツーリングで行きたい絶景ルート10選」

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

東北には何本もの「絶景ルート」があるが、その中から”カソリの10本”を選んでみた。
東北の絶景ルートはレベルが高く、八幡平アスピーテラインや磐梯吾妻スカイラインは日本でも随一。なにしろ自然の豊かな東北なので、10本にしぼるのがきわめて難しかった。

そのほかにも日本海沿いの国道101号(青森・秋田)や陸中海岸の県道44号(岩手)、月山越えの国道112号(山形)、笹谷峠越えの国道286号(山形・宮城)、六十里越の国道252号(福島・新潟)など何本もある。

1. 龍泊ライン(青森)

▲龍泊ラインの展望ポイントから津軽半島西岸の海岸線を見下ろす(撮影:巣山悟)

津軽半島の三厩から弘前までの国道339号のうち、津軽半島最北端の龍飛崎から小泊までの25キロあまりが絶景ルートの龍泊ライン。展望台の眺瞰台からは津軽海峡の向こうに横たわる北海道の山並みを見る。

眺瞰台を過ぎると一気に日本海に下っていく。海岸に降りる手前には絶好の見晴らしポイント。そこからは写真のように日本海の海岸線を一望し、小泊半島突端の権現崎を望む。小泊の手前には道の駅「こどまり」。全線2車線の快走路だ。

▲龍泊ラインの展望台、眺瞰台から小泊半島を望む(撮影:巣山悟)

▲龍泊ラインで日本海に下っていく(撮影:巣山悟)

2. 津軽岩木山スカイライン(青森)

▲津軽岩木山スカイラインの入口から見る津軽富士の岩木山(撮影:巣山悟)

「津軽富士」の岩木山一周ルートの県道3号から入っていく。入口近くには名湯の嶽温泉。料金所を過ぎたあたりでは、写真のようにきれいな岩木山の山容を見ることができる。

やがてブナ林の中を縫って高度を上げ、森林限界を突き抜けると、バイクを走らせながら津軽平野を一望する。はるか遠くには日本海が見える。岩木山の8合目が終点で、そこにはビジターセンター。夏でもまだかなりの雪が残っている。


▲津軽岩木山スカイラインを登っていく(撮影:巣山悟)

▲津軽岩木山スカイラインの終点は夏でもかなりの残雪(撮影:巣山悟)

8合目からはリフトで鳥ノ海噴火口まで登り、そこから標高1,624メートルの山頂までは徒歩30分ほどで行ける。津軽岩木山スカイラインは青森県では初の有料道路で全長9.8キロ。料金は1,000円。125cc以下は通行不可。タンデムも通行不可。

3. 八甲田・十和田ゴールドライン(青森・秋田)

▲八甲田・十和田ゴールドラインの傘松峠

青森と秋田県の大館を結ぶ国道103号のうち、青森から十和田湖を一望する発荷峠までの70キロほどは「八甲田・十和田ゴールドライン」と呼ばれている。

「八甲田」、「奥入瀬渓流」、「十和田湖」と見所満載の絶景ルート。青森の中心街から南下すると17キロほどで萱野高原に着く。そこからは八甲田の山々を一望。名湯の酸ヶ湯温泉の前を通り、北八甲田と南八甲田を分ける傘松峠を越える。峠を下ったところには睡蓮沼。そこからも八甲田の山々を一望できる。

焼山で国道102号と合流し、奥入瀬渓流沿いに走る。バイクに乗りながら奥入瀬川の渓流美を存分に楽しめる。一番の見所は銚子大滝。国道沿いの駐車スペースにバイクを止め、2、3分も歩けば写真のような銚子大滝を見られる。

▲八甲田・十和田ゴールドラインの奥入瀬渓流の銚子大滝

子ノ口で十和田湖畔に出ると十和田神社や乙女の像のある休屋を通り、秋田県に入り、発荷峠へ。峠の展望台からは十和田湖を一望。対岸の御鼻部山がよく見える。

▲八甲田・十和田ゴールドラインの発荷峠(撮影:巣山悟)

発荷峠を下ると、大湯温泉を通り、東北道の十和田ICに出る。大湯温泉近くの縄文遺跡「大湯環状列石」もおすすめのポイントだ。

4. 八幡平アスピーテライン(秋田・岩手)

▲八幡平アスピーテラインの秋田県側を行く

カソリにとっての「日本一の絶景ルート」の八幡平アスピーテラインは、鹿角市の中心の花輪から行った。東北道の鹿角八幡平IC入口を通り、国道282号から国道341号へ。

山間の小盆地から八幡平の山中に入り、花輪から24キロほど行くと、八幡平アスピーテラインの入口に到着。そこには北緯40度線のモニュメント。国道341号を左折し、八幡平アスピーテライン(県道23号)に入っていく。

秋田・岩手県境の見返峠に向かって高度を上げていくと、八幡平アスピーテライン沿いには後生掛温泉、大深温泉、蒸ノ湯温泉があるが、どこもおすすめの温泉だ。

蒸ノ湯温泉を過ぎると見晴らしがよくなる。超快適な山岳ツーリング。「大深沢展望台」からは正面の奥には鳥海山が見える。月山も見える。右手には秋田の名山の太平山、左手には「岩手富士」の岩手山が見える。

▲八幡平アスピーテラインの岩手県側からは岩手富士の岩手山がよく見える

見返峠ではぜひとも駐車場にバイクを止め、標高1,614メートルの八幡平の山頂まで登ってみたらいい。簡単に登れる。遊歩道を30分ほど歩けばもう山頂だ。

その間の遊歩道沿いにはガマ沼や八幡沼、鏡沼などの火山湖が点在し、季節によってはイワカガミやヒナザクラといった高山植物の花々も見られる。野鳥も多く生息している。八幡平山頂の展望台からは360度の大展望を楽しめる。

八幡平の周辺にはいろいろなタイプの火山があるが、八幡平は盾状火山、岩手山は成層火山、焼山は釣鐘状火山…と、まるで火山のデパートのような一帯だ。

見返峠から右に下っていく道は八幡平樹海ライン(県道318号)。東北最高所の藤七温泉があるし、下り切ったところには松川温泉がある。八幡平アスピーテラインは直進。岩手山をたえず見ながら岩手県側のワインンディングロードを下り、かつては有料道路だった八幡平アスピーテラインの30キロを走り切ると御在所沼の近くに出る。

さらに下り、左折して県道45号を行くと、東北道の松尾八幡平に出る。ここで高速に入り、盛岡方向に行けばすぐに岩手山SAになる。県道23号をそのまま行けば大更に出るが、その手前を右に折れて、岩手山の焼走り溶岩流まで行くのはおすすめだ。

▲岩手山の「焼走り溶岩流」の遊歩道

「焼走り」の名前がすごいではないか。ドロドロに溶けた真っ赤な溶岩の流れが目に浮かんでくる。焼走りは享保4年(1719年)の大噴火で流れ出した溶岩地帯。長さ2.8キロ、幅1.0キロの溶岩流の中に遊歩道(写真)がある。その入口には宮沢賢治の詩碑。

「喪神のしろいかがみが薬師火口のいただきにかかり 日かげになった火山礫堆の中腹から畏るべきかなしむべき…」で始まる溶岩流の詩は、焼走りのおどろおどろしさ、すさまじさを見事に描き出している。大更から282号を南下すれば、すぐに東北道の西根ICだ。

5. 鳥海ブルーライン(秋田・山形)

▲鳥海ブルーラインの秋田県側の入口から見る出羽富士の鳥海山(撮影:巣山悟)

▲鳥海ブルーラインの鉾立展望台の近くを走り抜けていく(撮影:巣山悟)

「出羽富士」で知られる鳥海山は標高2,236メートル。東北では2番目の高山になっている。東北の最高峰というと尾瀬の燧岳(2,356メートル)だが、この山は東北と関東の境で、東北人にとっては東北の山というよりも関東の山といった意識が強い。ということで、東北の実質的な最高峰は鳥海山といっていい。

日本海の海岸線からスーッとそそり立つ山なので、2,236メートルよりもはるかに高く見える。そんな鳥海山の中腹を縫って走る鳥海ブルーラインには秋田県側から入った。芭蕉の「奥の細道」で知られる象潟が出発点。鳥海ブルーラインの入口にある「奈曽の白滝」には立ち寄りたい。鳥海山の周辺には名瀑が数多く点在している。

鳥海ブルーラインの1合目の表示を過ぎ、グングン高度を上げ、2合目、3合目、4合目と通り、5合目の鉾立展望台に到着。鳥海ブルーラインの最高地点の鉾立展望台には大駐車場。ビジターセンターもある。ここからは日本海の海岸線を一望。鳥海山の登山口にもなっている。

秋田県から山形県に入り、連続するヘアピンカーブを下っていくと、眼下に広がる庄内平野を見渡す。はるか遠くには日本海に浮かぶ飛島を見る。かつての有料道路、鳥海ブルーラインの34.9キロを走り切ると、国道7号のバイパスに出る。

▲冬期閉鎖解除直後の鳥海ブルーライン

6. 蔵王エコーライン(山形・宮城)

▲蔵王エコーラインの山形県側を行く

上山の国道13号のバイパスから、蔵王エコーライン(県道12号)で蔵王に向かっていく。「奥羽三高湯」のひとつ蔵王温泉への道との分岐を過ぎ、キャンプ場のある蔵王高原坊平を通り、上山から25キロほど走ると山形・宮城県境の刈田峠に到達。

▲蔵王エコーラインの刈田峠

標高1,570メートルの刈田峠は東北の最高所峠。峠の駐車場にバイクを止め、リフトで蔵王の山上へ。刈田岳(1,758メートル)の山頂までは簡単に登れる。そこから見下ろす蔵王の御釜(写真)は絶景だ。

▲刈田岳の山頂から御釜を見下ろす

刈田峠から宮城県側に入ると、有料の蔵王ハイライン(380円)が分岐しているが、蔵王ハイラインで蔵王の山上に登るのもいい。

蔵王エコーラインを下っていくと不動の滝と三階の滝の滝見台がある。これらの2滝はぜひとも見ていこう。蔵王エコーラインを下ったところが遠刈田温泉。ここには共同浴場の「神の湯」がある。県道12号をさらに行くと国道4号に出るが、そこからは東北道の白石ICが近い。

7. 西吾妻スカイバレー(山形・福島)

▲西吾妻スカイバレーの白布峠を越える(撮影:巣山悟)

米沢から県道2号を南下し、「奥羽三高湯」のひとつの白布温泉を過ぎると、西吾妻スカイバレーに入っていく。吾妻連峰の絶景ルートで、滝見台からは最上川源流の赤滝、黒滝を見る。

山形・福島県境の白布峠(1,410メートル)を越える。蔵王エコーラインの刈田峠が東北最高所峠といったが、白布峠はそれに次ぐ東北の高所にある峠だ。白布峠からは裏磐梯へと一気に下っていく。磐梯山が下るにつれて大きくなり、はるか下の方には桧原湖が見える。別のコーナーからは飯豊連峰の山々が見える。

白布峠を下り切ったところが桧原湖北端の早稲沢。かつての有料道路の西吾妻スカイバレーは白布温泉から早稲沢までの17.8キロ。その間ではワインディングのコーナーを存分に楽しめる。


▲西吾妻スカイバレーの福島県側を走る(撮影巣山悟)

8. 磐梯吾妻スカイライン(福島)

▲磐梯吾妻スカイラインの浄土平の近くで

磐梯吾妻スカイライン、レークライン、磐梯山ゴールドラインの絶景ルート3本は「福島三大絶景ライン」といっていい。3本とも有料道路だったが、通行料金が高かったので、無料化はじつにありがたい。

「奥羽三高湯」のひとつ、高湯温泉の共同浴場「あったか湯」に入り、磐梯吾妻スカイラインに入っていく。きれいな樹林帯の中に連続するカーブを走り抜け、つばくろ谷の駐車場でバイクを止める。ここからの眺めは抜群。谷をまたぐ橋の向こうに福島の市街地を見る。その向こうには阿武隈山地の山並み。霊山の岩峰群もはっきりと見える。

さらにコーナーを攻め、高度を上げると、樹林帯は途切れ、荒涼とした風景が広がる。浄土平だ。目の前には吾妻小富士(1,704メートル)。浄土平からさらに登ったところが磐梯吾妻スカイラインの最高点(1,622メートル)。

▲磐梯吾妻スカイラインの最高所地点

最高点を過ぎると一気の下り。「双竜辻」からはタイトなヘアピンカーブが連続する。「湖見峠」では磐梯山のまわりの秋元湖、小野川湖、桧原湖、猪苗代湖の4湖を見る。

「国見台」からは磐梯山を一望すると、磐梯吾妻スカイラインの終点、国道115号旧道の土湯峠(1,240m)に到着。全長28.8キロの磐梯吾妻スカイラインだ。

9. レークライン(福島)

▲レークラインの入口から秋元湖を見る(撮影:巣山悟)

国道115号の土湯峠から会津側に下ったところで右へ、県道70号に入っていく。この道がレークラインにつながっている。

樹林地帯を走り抜け、秋元湖の東端からレークラインに入る。その途中には絶好の休憩ポイントの「中津川渓谷レストハウス」がある。ここでは食事もできる。

レークラインの最高点(997メートル)を過ぎた「三湖パラダイス」からは秋元湖、桧原湖、小野川湖の3湖を見る。道路の正面には磐梯山が大きく見えている。三湖パラダイスから下っていくと、涼しげな名前の涼風峠を通り、裏磐梯の中心地へと下っていく。


▲レークラインの最高所地点を通過する(撮影:巣山悟)

10. 磐梯山ゴールドライン(福島)


▲磐梯山ゴールドラインの北側では磐梯山の爆裂火口を見る(撮影:巣山悟)

裏磐梯の国道459号から入っていく。料金所の跡を過ぎると、磐梯山(1,816メートル)の爆裂火口が正面に見えてくる。1888年に大爆発し、すさまじいばかりの被害をもたらした磐梯山の爆裂火口が荒々しい風景で迫ってくる。

磐梯山ゴールドラインの最高点(1,194メートル)は八方台。ここは磐梯山散策の拠点になっている。八方台を過ぎると、裏磐梯から表磐梯へと下っていく。猪苗代湖に向かって長い下り。「山湖台」でバイクを止めると、磐梯山と猪苗代湖の両方が眺められる。表磐梯は裏磐梯とはまったく違う顔。

山湖台を下ると写真のようなヘアピンカーブを走り抜け、磐梯山麓の県道7号に出る。そこからは磐越道の磐梯河東ICが近い。全長17.6キロの磐梯山ゴールドラインだ。

▲磐梯山ゴールドラインのヘアピンカーブを走り抜けていく(撮影:巣山悟)

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賀曽利隆

賀曽利隆冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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