賀曽利隆の「東北ツーリングで行きたい温泉10選」

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

前回:賀曽利隆の「東北ツーリングで行きたい峠10選」

奥羽山脈周辺に集中する、東北の名湯たち

前回の峠編では「東北の中央分水嶺の峠越え」のおもしろさをみなさんにお伝えしたが、東北の中央分水嶺というのは東北の背骨の奥羽山脈になる。

その奥羽山脈の節目、節目には八甲田山や栗駒山、吾妻山、那須岳といった那須火山帯の火山が聳えたつ。八幡平や蔵王も火山だ。

奥羽山脈というのは、那須火山帯とぴったりと重なり合っているので、奥羽山脈のいたるところで温泉が湧き出ている。東北の名湯の大半は奥羽山脈の火山の周辺に集中している。

ぼくがとくに好きなのは、盛岡を拠点にしての「八幡平周遊コース」。八幡平アスピーテラインで岩手・秋田県境の見返峠を越え、国道341号を南下し、国道46号で盛岡に戻るというルート。その間では乳頭山麓の乳頭温泉郷や岩手山南麓の温泉群にも寄っていく。

この「八幡平周遊コース」で温泉をめぐると、その数は30湯を超えるが、その中には八幡平の蒸ノ湯温泉や後生掛温泉、松川温泉、乳頭温泉郷の孫六温泉や黒湯温泉など「東北の温泉10選」から落とすのが忍びないような名湯が何湯もある。

それら10選から落とした「八幡平周遊コース」の温泉の写真も最後に見てもらおう。

=東北の温泉10選=

01. 恐山温泉(青森)

▲恐山温泉の「花染の湯」。ヒバの湯船、ヒバの洗い場、ヒバの湯屋がすごくいい(撮影:巣山悟)

恐山は「日本三大霊場」のひとつ。500円の入山料を払って中に入ると、硫黄のにおいが漂う境内には4つの湯屋がある。4湯とも素朴感あふれる木造りの湯屋。これらの4湯には無料で入れる。

「古滝の湯」、「冷抜の湯」、「薬師の湯」、「花染の湯」の4湯だが、「冷抜の湯」と「薬師の湯」は男湯、「古滝の湯」は女湯、「花染の湯」は混浴だ。ヒバの湯屋、ヒバの洗い場、ヒバの湯船と、総ヒバ造り。白濁色の湯には酸味があり、強い硫黄臭がする。

02. 嶽温泉(青森)

▲嶽温泉「田沢旅館」の湯に入る。隣は「田沢食堂」(撮影:巣山悟)

「津軽富士」の岩木山の周辺には何湯もの温泉があるが、温泉ごとに湯の色が変わり、泉質が変わる。

岩木山神社門前の百沢温泉は草色っぽい湯の色。江戸時代からの湯治場、嶽温泉では「田沢旅館」の湯に入ったが、きれいな白濁色の湯。色の具合は時間によって刻一刻と変わるという。

この嶽温泉のすぐ近くが津軽岩木スカイラインの入口。東北の絶景ルート、津軽岩木スカイラインで岩木山の8合目まで行ける。

03. 藤七温泉(岩手)

▲藤七温泉「彩雲荘」の内風呂。何湯もの露天風呂もある

標高1400メートルの東北最高所温泉。岩手・秋田県境の見返峠から八幡平樹海ラインをわずかに下ったところに一軒宿の「彩雲荘」がある。内風呂も露天風呂もすごくいい。露天風呂の湯につかりながら夏でも近くに残雪を見る。

八幡平樹海ラインを下った松川温泉には3軒の温泉宿があるが、3軒ともに混浴の露天風呂がある。

04. 夏油温泉(岩手)

▲夏油温泉の「元湯夏油」。湯治棟での宿泊もおすすめだ

夏油川上流の標高700メートルの高地に湧く温泉。ブナの原生林に囲まれている。「元湯夏油」には大湯、滝の湯、疝気の湯、真湯、目(女)の湯と渓流沿いに5つの露天風呂がある。

ここでは最高にいい思いをした。混浴の「疝気の湯」に入っていたときのこと。浴衣姿の若い2人の女性がやってきた。ちょっと躊躇していたが、2人で相談すると、意を決したような表情で入ってくる。彼女たちの浴衣を脱ぐシーンがなんともなまめかしい。

2人とも温泉が大好きで、石巻からやってきた。「私たち、ひなびた系の温泉が大好きなんです」というと、ぼくはすかさず東北のひなびた系の温泉をいくつかあげて「湯の中談義」をするのだった。

05. 玉川温泉(秋田)

▲玉川温泉の露天風呂。すぐ近くに100度近い熱湯が噴き出る「大噴」がある

焼山(1366m)の西麓にある一軒宿の温泉。強酸性の湯で膨大な湯量。ここでのおすすめは自然研究路歩き。湯の花をとる湯畑や100度近い熱湯が音をたてて噴き出ている大噴と見てまわれる。

その奥には無料湯の混浴露天風呂。そのまわりでは大勢の人たちが岩盤浴をしている。高温の蒸気が岩孔から噴き出ているが、これがすごく効くという。

06. 鶴ノ湯温泉(秋田)

▲鶴ノ湯温泉の混浴大露天風呂。あまりの湯の白さに驚かされる

寛永15年(1638年)に秋田藩主の佐竹義隆が湯治に来たという乳頭温泉郷最古の温泉。混浴露天風呂の湯の白さは強烈。白湯、黒湯、中の湯、滝の湯と泉質の違う4つの湯があるが、黒湯にしても白っぽい湯。

傷ついた鶴がこの湯で傷を癒したところからこの名がある。乳頭温泉郷にはそのほか妙乃湯温泉、大釜温泉、蟹場温泉、孫六温泉、黒湯温泉があるが、どこもいい。

07. 遠刈田温泉(宮城)

▲遠刈田温泉の共同浴場「神の湯」。ライダーにも人気だ

蔵王山麓の遠刈田温泉は開湯400年の歴史を誇る。昔からの湯治宿が多く、その効能には定評がある。新しくできた共同浴場の「神の湯」はすごくいい。「熱めの湯」と「ぬるめの湯」の2つの湯船。「ぬるめの湯」でも十分に熱い。

湯は濁り湯。ここにはもう1軒の共同浴場「寿の湯」がある。遠刈田温泉は蔵王エコーラインの入口。「神の湯」の裏手に蔵王遠刈田嶺神社があるが、蔵王の刈田岳(1758m)山頂には蔵王遠刈田嶺神社の奥宮がある。

08. 姥湯温泉(山形)

▲姥湯温泉の混浴大露天風呂の湯につかる。おー、これぞ秘湯といった気分

滑川大滝のある滑川温泉からさらに4キロほど山奥に行ったところにある一軒宿の温泉。吾妻連峰周辺では一番の秘湯だ。途中の道はスイッチバックがあるほどの急坂。

「桝形屋」の混浴の大露天風呂はじつにすばらしい。周囲をとりまく断崖絶壁を見上げながら湯につかっていると、急崖を駆けるニホンカモシカを見ることもある。ここには女性専用の露天風呂もある。

09. 幕川温泉(福島)

▲幕川温泉「水戸屋旅館」の混浴露天風呂。この風情のある湯船がいい

土湯峠近くから山道を3キロほど行ったところにある。この道はバイクで走れる。

幕川温泉は土湯峠周辺の温泉群の中では一番の秘湯。「元湯・水戸屋旅館」と「元祖・吉倉屋旅館」の2軒の温泉宿がある。どちらも名湯で、露天風呂がある。とくに「水戸屋旅館」の瓢箪型の混浴露天風呂はいい。女性タイムあり。

10. 木賊温泉(福島)

▲木賊温泉の混浴露天風呂「岩風呂」に入る。目の前を渓流が流れている(撮影:巣山悟)

国道352号から数キロ南に入ったところにある奥会津の秘湯。西根川の渓流沿いに混浴露天風呂の「岩風呂」がある。

入口の料金箱に200円を入れて入る岩風呂の大岩の間からは湯がブクブクと湧き出している。ここでのおすすめの宿は、岩風呂前の民宿「若松屋」。春は山菜料理、秋はきのこ料理をふんだんに食べられる。

=八幡平周遊コースの温泉=

蒸ノ湯温泉

御生掛温泉

松川温泉

孫六温泉

黒湯温泉

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賀曽利隆

賀曽利隆冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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