賀曽利隆の「温泉めぐりの半島一周」房総半島編(2)

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

前回:賀曽利隆の「温泉めぐりの半島一周」房総半島編(1)

さー、「房総半島一周」の後半戦の開始だ。
太海温泉「こはら荘」の朝湯に入り、朝食を食べて出発。

「こはら荘」の朝食つきの宿泊料金は4,000円。今度は是非とも前もって宿泊をお願いし、1泊2食つきで泊まりたいものだと思った。

▲太海温泉「こはら荘」を出発

半島一周の相棒、スズキのビッグボーイを走らせ鴨川へ。
鴨川を拠点にして3湯をめぐったが、県道89号沿いの宮下温泉は廃業湯、曽呂温泉は休業湯、鴨川富士の近くにある粟斗温泉は10時からで、3湯ともに入れなかった。
こういうときは、結構ガックリくるものだ。

気を取り直して鴨川から国道128号を走り小湊へ。
誕生寺のある小湊からは海沿いの小道を行く。トンネルを抜けると太平洋を一望。突端の岬は入道ヶ岬で、このあたりが安房と上総の国境になる。

▲鯛の浦への船が出る小湊港

「房総半島一周」というのは千葉県の旧国、安房、上総、下総の3国を絶えず意識していると、余計におもしろく走れる。その先、断崖上から下った大沢漁港の岸壁でビッグボーイを止めたが、上総側になる。

▲大沢漁港でビッグボーイを止めて小休止

カソリ、つるんつるん温泉でツルンツルンに

国道128号に戻ると勝浦へ。朝市で知られる勝浦だが、ここでは勝浦温泉「ホテル三日月」に行った。残念ながら、日帰り入浴は10時からということでパス。

そのかわり、国道297号(大多喜街道)で内陸に入り、7キロほど行った松野の交差点を右折したところにある、勝浦つるんつるん温泉(入浴料800円)の黒湯に入った。ここはオススメだ。湯がすごくいい。肌に薄い膜が張ったような感触で、ほんとうにツルンツルンになる。

▲勝浦つるんつるん温泉に到着

▲勝浦つるんつるん温泉の黒湯

勝浦に戻ると国道128号で御宿へ。「月の沙漠」で知られる御宿には御宿温泉「元湯旅館」と「クアハウス」がある。「元湯」は閉まっていた。「クアハウス」は入浴時間が15時からなのでパス。

太海温泉を出てから全部で6湯(温泉地)に寄ったが、そのうち入れたのは1湯だけ・・。このように温泉というのは結構、入るのが難しい。

御宿では砂浜に立つ「月の沙漠」像を見る。ぼくはいままで13回、「サハラ砂漠縦断」を成しとげているが、サハラ砂漠に足を踏み入れると、「月の~ 沙漠を~ は~るばると~」を条件反射的に口ずさんでしまうのだ。

▲御宿の「月の沙漠」像

太東崎の灯台から一望できる、長い長い海岸線

御宿を出発。国道128号で大原へ。大原漁港でビッグボーイを止める。漁港の南側の岬は八幡岬。外房海岸には勝浦にも八幡岬がある。大原から太東崎へ。国道128号を右折し、2、3キロほど行った岬突端の高台上に、白い灯台が立っている。

岬の展望台から南側を見ると、夷隅川の河口がよく見える。その向こうには大原の八幡岬が見える。目の向きを変えて北側を見ると、九十九里浜の湾曲した長い海岸線を一望する。

刑部岬から「日本のホワイトクリフ(白い断崖)」の異名をとる屏風ヶ浦、さらには犬吠崎まで見える。これほど長い海岸線の見えるところはそうはない。

▲太東崎の灯台。ここを境に地形が変わる

太東崎を過ぎると国道128号から県道30号に入り、九十九里浜の海岸線を北上する。
この県道30号は海岸線のすぐ近くを通っているが、太平洋はほとんど見えない。それよりも海側の九十九里道路(有料)からだと太平洋を見ながら走れるのだが、現在はまだ通行止がつづいている。

九十九里浜では長生温泉「太陽の里」(入浴料1,400円)の湯に入った。大浴場は無色透明の湯、露天風呂は黒湯。つづいて白子温泉「ホテルニューカネイ」(入浴料600円)の湯に入った。琥珀色の湯で塩分を含んでいる。白子温泉には何軒もの温泉ホテルや温泉旅館がある。

▲長生温泉「太陽の里」。大規模な温泉施設

▲長生温泉「太陽の里」の露天風呂

片貝でイワシ料理を堪能。さらに温泉をハシゴする

九十九里浜は、太東崎から刑部岬までつづく長い砂浜で、その距離は約60キロ。ほぼ中間点の片貝で昼食にする。片貝といえばイワシだ。

海辺の「やなぎや」という店で「イワシの刺身定食」(1,150円)を食べた。半分が刺身、半分は炙りだ。「やなぎや」のメニューには「イワシのごま漬け」、「イワシの団子汁」、「イワシの甘辛煮」、「イワシの卯の花漬け」、「イワシの輪切り汁」…と、さまざまなイワシ料理がある。

「イワシの刺身」を食べ終わったときは、「今度はぜひともイワシ三昧の食事をしたい!」と思うのだった。

▲片貝の「やなぎや」で食べた「イワシの刺身定食」

片貝を出発。引き続き、県道30号を北上したが、片貝を境にして地名が変わった。
南の海岸地帯には栗生納屋とか西野納屋といった「納屋」のつく地名が多かったが、北の海岸地帯になると西浜や長谷浜のような「浜」のつく地名が多くなる。
「納屋」と「浜」の地名の違いを知りたいところだ。

栗山川にかかる屋形橋を渡って上総から下総に入り、まずは旭九十九里温泉「かんぽの宿」(入浴料700円)の湯に入る。大浴場と露天風呂。若干の色つき湯で、塩分を含んでいる。

続いて、矢指ヶ浦温泉「矢指ヶ原温泉館」(入浴料650円)の湯に入る。ここは千葉県認定の温泉第1号。浴室には時代を感じさせる温泉の分析表が掲げられている。それは昭和28年の国立衛生試験所による分析表。最後に飯岡温泉「いいおか潮騒の湯」(入浴料800円)の湯に入った。

▲矢指ヶ浦温泉「矢指ヶ原温泉館」。渋い一軒宿の温泉

▲飯岡温泉「いいおか潮騒ホテル」。目の前が海

「日本のドーバー」屏風ヶ浦と千葉の山々

九十九里浜の温泉めぐりを終えると、刑部岬の展望台に立った。真下に飯岡漁港を見下ろし、その向こうには太東崎へと続く九十九里浜を一望する。

刑部岬から東に延びる海岸線が高さ4、50mの断崖のつづく屏風ヶ浦。「日本のドーバー」とよくいわれるが、ドーバーのホワイトクリフ(白い崖)とほんとうによく似ている。

▲刑部岬から飯岡漁港を見下ろす。長く延びる九十九里浜も見える

刑部岬からは屏風ヶ浦に沿った道を走り、銚子半島に入っていく。
ここでは愛宕山の山上にある「地球の丸く見える展望館」に寄っていく。標高73.6メートルの愛宕山は下総の最高峰。山というよりも丘といったほうがぴったりする。下総の最高峰の愛宕山は、日本の旧国68ヶ国の最高峰の中では一番低い。

ところで、千葉県は旧国でいうと安房、上総、下総の3国になるといったが、安房の最高峰は房総丘陵の愛宕山(408m)で、上総の最高峰は鹿野山の白鳥峰(379m)。

安房の愛宕山が千葉県の最高峰になるが、日本の全都道府県の最高峰の中では一番低い山。安房の愛宕山といい、下総の愛宕山といい、山の低い千葉県を象徴しているかのようだ。

犬吠埼とロカ岬。蘇る感動

犬吠埼に到着。灯台の前には「犬吠埼ロカ岬友好記念」碑が建っている。それには「海終わり 陸始まる」と書かれている。ロカ岬はユーラシア大陸最西端の岬。そこには有名なポルトガルの詩人カモンエスの「ここに地尽き 海始まる」の言葉が記されている。それに対してのものなのだろう。

ぼくは2002年、ロシアのウラジオストックを出発点にして、スズキのDR-Z400Sで「ユーラシア大陸横断1万4000キロ」を走った。北緯38度47分、西経9度30分のロカ岬に立ったときは大感動。犬吠埼で「海終わり 陸始まる」の碑を見ると、あの時の感動が蘇ってくるかのようだった。


▲犬吠埼に到着

犬吠埼から銚子へ。利根川河口の銚子漁港の岸壁にビッグボーイを止め、そこを「房総半島一周」のゴールにした。大きな夕日が銚子の町並みの向こうに沈んでいく。木更津南ICからここまで438キロ。房総半島は大きな半島だ。

▲銚子漁港の岸壁から見る銚子の夕景

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賀曽利隆

賀曽利隆冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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