新型SuperSport(スーパースポーツ)が問いかける、「ドゥカティらしさ」とは

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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生粋のロードスポーツたるを現在に問う“スーパースポーツ”

ドゥカティから「SuperSport(スーパースポーツ)」というニューモデルが登場しました。「スーパースポーツ」というとレーシングマシン直系モデルを想像しがちですが、ドゥカティはSS、つまりスーパースポーツという呼称を、永らくロードスポーツの特性を持ったモデルと位置付けてきました。
普通のスポーツバイクよりもスポーツ性が秀でているという意味のネーミングです。

ドゥカティのSSのルーツを辿ると、1974年の「750SS」まで遡ります。大きく3度の変換期を経て発展しながら、2006年に「SS1000DS」の生産中止をもって幕を閉じます。
そして今回、10余年ぶりにSuperSportが復活したのです。

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創成期のSSは、レーシングマシン直系でした。レーシングマシンそのものがさほど先鋭化しておらず、ストリートバイクとの距離も近かった当時、レーシングレプリカはストリートバイクとしてのスタンスを崩すことなく、サーキット走行を楽しめるスポーツバイクとして魅力を高めてくれたのです。

ただ、ドゥカティによると、今回の新型はSuperSportの復活を目論んだものではないといいます。ロードスポーツの原点として、街乗りからツーリング、サーキット走行も楽しめる形を模索したとき、それはかつてのSSではないかとなり、「SuperSport(スーパースポーツ)」と名付けられたというのが真相のようです。

あらゆるシチュエーションで楽しめてこそ、ロードスポーツ

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そんなSuperSportは、狙い通り、オールラウンダーとしての魅力を放っていました。

ライポジはかつてのSSよりもアップライトで、足着き性も悪くありません。ハンドリングも素直で軽快で、街中でも苦になりません。フルカウルの風防効果もあって、長距離移動も快適にこなせます。

エンジンに過剰なパルスがなく、スムーズで扱いやすく、低速走行でストレスがありません。10,000rpmまで回るエンジンは、6,500rpmのトルクピークがあって、そこまでのトルクの立ち上がりを生かし、スポーティにワインディングをこなせます。

20170308_ssw08▲新型SuperSportのLツインエンジン

サーキット走行にも適応する「等身大で楽しめる」性能

もちろんサーキット走行も楽しめます。公道で中速型を思わせるエンジンは、トルクピークを過ぎても、ピーク値に近いトルクに覆われていて、ドゥカティらしい伸び感を生かすことができます。

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今回のサーキット試乗で乗った上級型の「SuperSport S」には、前後にオーリンズが採用されており、しなやかな上に、サーキット走行向きのセッティングもカバーしてくれていて、高水準な走りを提供してくれます。

それは、かつてのスーパーバイク916に乗っている気分でもありました。かつての916の最高出力は109psで、このSuperSportは113ps。サーキットでエキサイティングかつ、等身大に楽しめる動力性能なのです。

それでいて、アップダウン両方で有効なオートシフターは、今日的な走りを可能にしてくれます。

SuperSportから感じる「ドゥカティらしさ」

20170308_ssw05▲海外試乗会の会場ではパニアケース付きモデルや、アクラポビッチ製エキゾースト装着車も展示された

今回の試乗において私は、オールラウンダーとしての魅力と共に、放たれる「ドゥカティらしさ」を味わっていました。もっと言えば、ドゥカティの現行車で最もドゥカティらしさに溢れているのは、このSuperSportではないかと。

それには、私にとってSSが、ドゥカティのイメージリーダーであり続けたことが多分にあります。日常域にありながら、カウリング付きで、そこにパッションを感じる存在なのです。カウリングの隙間から漏れるメカノイズが、その印象を濃厚にしたとも思います。

トルクフルなLツインとトラスフレームが放つ「パッション」

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ドゥカティのLツインが、トルクフルで使い切れるも、性能を有機的に引き出せて、引き出すことの面白さを堪能できることも、ドゥカティらしさを感じさせます。国産の4気筒が回して高出力を引き出すのとは対照的な味わいなのです。

それに何より、トラスフレームの剛性感がドゥカティそのものです。
応力を各メンバーが圧縮または引っ張りで受けるトラスフレームからは、硬質的な手応えがパキパキと伝わり、それがドゥカティらしい情報源ともなってくれます。
他のドゥカティのモデルにもトラスフレームは採用されていますが、スポーツすることを楽しむバイクだけに、その特徴が明確に感じられるのです。

Lツインとトラスフレームから放たれるパッション。“スーパースポーツ”はドゥカティそのものを思わせてくれたというわけです。

【関連ニュース】
◆ドゥカティ、待望の新モデルシリーズ「SuperSport」を発表

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和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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