賀曽利隆の大雪信州ツーリング

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

4739_秋和鉱泉を出発。「風魔プラス1」の冬用ジャケットで完全装備のカソリ

最強寒波襲来の中・・大雪の信州へ!

「冬もツーリングの季節ですよ~!」といわんばかりにカソリ、今冬一番の最強寒波襲来の1月14日~1月16日の3日間で、大雪の信州を走ってきました。信州への雪中ツーリングもこの時期に冒険家として行く恒例のツーリングイベント。
また、冒険家仲間の風間深志氏が主宰する「風魔プラス1」の新作冬用ジャケット「ランドクルーザー ジャケット」のテストも兼ねて出発なのだ。

1月14日8時、神奈川県伊勢原市の自宅を出発。信州ツーリングの相棒はスズキの250ccバイクのビッグボーイ。
ビックボーイは足つきもよく、雪道、氷道を両足ベタ着きで突破しようという作戦だ。これはフルサイズのオフロードバイクでは難しい。

東名厚木ICで高速に入り、圏央道から中央道へ。関東は快晴。小仏峠、笹子峠は無事に越えられた。須玉ICで中央道を降りたが、ここまでは雪もアイスバーンもない。中央道は小淵沢ICから先がチェーン規制という表示が出ていた。

4675_出発点は中央道の須玉IC▲出発点は中央道の須玉IC

須玉ICから国道141号で山梨・長野県境の野辺山峠に向かって走り出す。さー、うまく信州に入れるかどうか緊張の一瞬。ところが清里高原に入っても路面に雪はない。思わず「おー、ラッキー!」と声が出る。ちょっと拍子抜けするくらい簡単に野辺山峠に到着した。

4678_国道141号で山梨・長野県境の野辺山峠に到達。路面に雪はない▲国道141号で山梨・長野県境の野辺山峠に到達。路面に雪はない

氷点下8度!猛烈な地吹雪!さすがのカソリも・・

信州に入ると、一気に真冬の厳しさに突入することになる。すでに昼近いのに気温は氷点下8度。猛烈な地吹雪に見舞われた。ビッグボーイごと何度も吹き飛ばされそうになった。

一番の難関は野辺山高原から千曲川に下っていく市場坂だと覚悟していたが、ここでは幸いなことに路面に雪もなく、アイスバーンの箇所もなかった。

千曲川沿いの国道141号は比較的、走りやすかったが、佐久市に入る頃から雪が激しくなり、臼田の周辺では薄氷の張った路面に泣かされた。これはもう無理だと路肩の雪溜に突っ込み、両足ベタ着きでトコトコ走った。

その先、国道141号の4車線区間に入ると、少しは楽に走れるようになった。

4680_佐久市内の国道141号。臼田周辺では雪が凍って薄氷が張っている▲佐久市内の国道141号。臼田周辺では雪が凍って薄氷が張っている

「真田丸」の上田城へ。信州で新年会!?

小諸からは国道18号を行く。あたりは一面の雪景色だが路面に雪はなく、車の流れに入って走ることができた。

15時、須玉ICから100キロの上田に到着。NHKの大河ドラマ「真田丸」で一躍有名になった上田城に行く。ここでは城内の真田神社を参拝し、入場者数が100万人を超えた「真田丸大河ドラマ館」を見学した。

4717_上田城址から見る上田の町並み▲上田城址から見る上田の町並み

そのあと国道18号の上田バイパス沿いにある「秋和鉱泉旅館」へ。宿には「東信ハラペコ連盟」のルビーさんとよかさんの女性陣2人、石田さん、だんなぁさん、溶接屋さんの男性陣3人が来てくれ、新年の宴会開始。鯉料理を食べながら信州の地酒、津軽の地酒、さらには信州ワインを飲み干した。

路肩の雪溜の中を足を着きながら、ノーマルタイヤのビックボーイで走る

翌1月15日はボソボソ降りつづく雪の中を出発。国道18号で長野を目指した。といっても大雪警報の出ている上田では車線を走れず、ほとんど路肩の雪溜の中を足を着きながら走った。

上田から隣町の坂城に入ると、路面の雪はスーッと消え、そこそこの速度で走れた。このように同じ雪といっても場所によってずいぶんと違いがある。

4739_秋和鉱泉を出発。「風魔プラス1」の冬用ジャケットで完全装備のカソリ▲秋和鉱泉を出発。「風魔プラス1」の冬用ジャケットで完全装備のカソリ

4745_国道18号の上田バイパス。路肩の雪溜の中を両足ベタ着きで走った
▲国道18号の上田バイパス。路肩の雪溜の中を両足ベタ着きで走った
4746_国道18号で上田市から坂城町に入ると路面の雪は少なくなった
▲国道18号で上田市から坂城町に入ると路面の雪は少なくなった

長野から松本へ、真っ白な路面を73キロ。辿り着けるか・・?

長野からは国道19号で松本へ。さー、松本まで行けるかどうか・・。信州新町に近づいたころから雪が激しくなった。あっというまに路面は真っ白になる。ヘルメットのシールドに雪がベタッと張り付いてしまうので、左手で雪をはらい除けながら走る。

それでも前方が見えなくなるので、シールドを上げ、裸眼で走ることが多くなった。雪がブスブスと目に突き刺さり、あまりの痛さに耐えかねてまたシールドを下す。その繰り返しだ。

4749_長野からは国道19号で松本へ。松本までは73キロ
▲長野からは国道19号で松本へ。松本までは73キロ
4750_信州新町に近づくと雪が激しくなった
▲信州新町に近づくと雪が激しくなった

新雪の上にビッグボーイの轍がきれいな一本線になって残っていく。それをバックミラーで見ながら走るのも、大雪ツーリングならではのこと。一番気をつけたのは後続車だ。バックミラーで後続車が見えてくると、左側の雪溜に入ってビッグボーイを止め、後続車が通過したあとまた走り出した。

大型トラックなどがハザードで「ありがとう」の合図を送ってくれるのはうれしいものだ。いままでもそうしてきたことだが、「自分が原因で絶対に事故だけは起こしてはならない」という気持ちは強かった。

生坂村に入ったころから雪は小降りになり、走りやすくなった。長野から60キロほどの明科を過ぎると、路面の雪が消えた。「助かった~!」と声が出る。国道19号沿いにラーメン店の「ラーメン大学」をみつけると、「味噌ラーメン」を食べた。この一杯のラーメンで生き返った。

4751_生坂村まで来ると雪は小降りになった。「助かった!」▲生坂村まで来ると雪は小降りになった。「助かった!」

長野から73キロの松本に到着すると、国宝の松本城と重文の開智学校を見学し、松本駅前の「東横イン」に泊まった。さっそく夜の町に出る。駅周辺を歩いたあと、「信州ゴールデン食堂」で夕食。「馬刺」を肴に生ビールを飲み干した。「松本まで来れば、もう大丈夫」という安心感があった。

4756_雪の国宝・松本城
▲雪の国宝・松本城
4780_松本の「信州ゴールデン食堂」で「馬刺」を食べる
▲松本の「信州ゴールデン食堂」で「馬刺」を食べる

3日目、松本を出発。諏訪へ向かう

翌1月16日は9時に出発。松本はチラチラ雪が降っていった。国道19号で塩尻へ。松本盆地は一面の雪景色だが、路面に雪はない。塩尻まで行くと、雪は止んだ。塩尻からは国道20号を行く。塩尻峠は難関だが峠の登りも、峠の下りも、路面には雪も凍結箇所もなかった。

4786_松本駅前の「東横イン」を出発。チラチラ雪が降っている
▲松本駅前の「東横イン」を出発。チラチラ雪が降っている

4793_国道20号の塩尻峠に到達。路面に雪はない!▲国道20号の塩尻峠に到達。路面に雪はない!

諏訪に入ると天気は変わり、青空が広がっている。何ともうれしい晴天だ。日の光がまぶしいほど。気温は10時で氷点下6度だが、それほど寒さを感じない。体が信州の寒さに慣れてきているからだろう。諏訪湖は氷っている。氷の上には雪が積もっている。

下諏訪に到着すると、諏訪大社下社の秋宮を参拝し、国道20号で富士見峠に向かう。ここが信州最後の難関。富士見峠も塩尻峠同様、雪もアイスバーンもなかった。

4795_下諏訪の諏訪大社下社の秋宮を参拝▲下諏訪の諏訪大社下社の秋宮を参拝

峠を下った道の駅「信州蔦木宿」でビッグボーイを止め、蔦木温泉「つたの湯」に入り、湯上りには大広間で「蔦木定食」を食べた。テレビのニュース画面では激しく雪の降りつづく長野市内を映し出していたが、同じ信州でもこれだけ違う。

4800_国道20号の道の駅「信州蔦木宿」でビッグボーイを止める▲国道20号の道の駅「信州蔦木宿」でビッグボーイを止める

4804_蔦木温泉「つたの湯」の露天風呂
▲蔦木温泉「つたの湯」の露天風呂
4808_蔦木温泉「つたの湯」の「蔦木定食」。さすが信州、そばがうまい!
▲蔦木温泉「つたの湯」の「蔦木定食」。さすが信州、そばがうまい!

無事に信州を走破し、山梨県へ

道の駅「信州蔦木宿」を最後に、国道20号の新国境橋を渡って山梨県に入った。雪道と大格闘したので、信州を離れる寂しさを強く感じた。

国道20号で韮崎に近づくと、正面には富士山が大きく見えてくる。青空を背にした富士山には雲はかかっていない。甲府市内に入ると甲府昭和ICで中央道に入り、大雪の「信州ツーリング」を終えるのだった。

4812_国道20号で韮崎へ。正面に富士山が見えてくる
▲国道20号で韮崎へ。正面に富士山が見えてくる
4814_中央道の甲府昭和ICが終着点
▲中央道の甲府昭和ICが終着点

※編集部注:事前の装備や経験、道路状況などに十分な配慮をしたうえでのツーリングレポートとなります。雪道でのバイク走行は大変危険ですので、安易に真似などしないようにお願いいたします。

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賀曽利隆

賀曽利隆冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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