「パワーRS」プライベートテストは、ジャーナリズムに対するミシュランからの警鐘か

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

奥が深いバイクのテスト

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私がバイクに乗りテストするという仕事を始めて、42年が経とうしています。最初の10年間はヤマハで、さらに10年間はヨコハマゴムで開発テストに携わり、鈴鹿8耐を含めレースにも参戦してきました。
今はそうした経験を生かし、モーターサイクルジャーナリストとして活動しています。

経験に関してほとんどの人に負けない年齢に達しましたが、今なお発見の連続ですし、正しく評価することへの難しさを実感しています。

時代の流れと共に変わっているジャーナリストの存在

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今日、多くのジャーナリストの評価能力は、低迷しているのが現状です。
ジャーナリストが活躍できる場もインターネットの普及など時代の流れの中で、少なくなっているともいえるでしょう。

昔のように多くのメーカーテストや試乗の機会があるわけでもないですし、競技を通してテクニックやスキルを高める機会も少なくなっているといえます。
評価をしていくにあたり、一般の人の視線でものを見るのは大切でも、自分の基準だけに当て嵌めたり、本質を捉えていないことも多いのです。

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それにバイクそのものの評価ならともかく、タイヤの評価となると、好き嫌いだけで特徴を伝えることができません。
また私自身、普段走らないサーキットで、タイヤの絶対的な評価の難しさを感じています。それは路面のグリップレベルやコースレイアウトによって、印象が左右されるからです。

徹底した比較テストを実施したミシュランのプライベートテスト

そんな折、ミシュランは新しいパワーRSの試乗会を、これまでにない形で開催しました。召集されたジャーナリストは世界からたった6名。

タイヤを絶対評価するには競合タイヤと比較テストせざるを得なく、それが可能な人数と評価能力のあるテスターだけに絞ったのです。

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それは、開発テストを思わせるハードさでした。

この試乗会のメンバーの1人に選ばれたことは大変栄誉あることだと思いつつも、開発テストさながらの内容に、身の引き締まる思いがしたのです。

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【関連ニュース】
◆ミシュランの新しい「パワーRS」は革新的なタイヤだった!

比較となる競合タイヤと履き比べることで、本当の評価が見えてくる

テストの内容は、従来品となる「パイロットパワー3」での1時間の慣熟走行後、本テストとして新製品の「パワーRS」での試乗を開始。
冷えた新品タイヤでコースインし、1周のウォームアップ、5周のタイム計測後、1周してピットインするのを、6セット繰り返すのです。

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第2セッションと第5セッションでは、競合タイヤとなるピレリの「ディアブロ・ロッソⅢ」、ブリヂストンの「バトラックスS21」を挟み、比較評価。
ピットイン毎に、タイヤの温まり具合、安定性や旋回性やグリップレベルなどについて採点やコメントをスタッフに伝えていきます。

これによって、本当の意味で、それぞれの特徴や位置付けが明確になっていったのです。

正当な評価を求めたミシュランの思惑

ミシュランは、新しいパワーRSの、「既存のミシュランタイヤ」とは一線を画するグリップ感や高水準の安定性を、明確に把握してもらいたかったのだと思います。

さらに言えば、私には、今回の試乗会の方法を取ったミシュランが、「今日のジャーナリズム」に警鐘を鳴らしているように思えてしようがなかったのです。

【関連ニュース】
◆ミシュランの新しい「パワーRS」は革新的なタイヤだった!

あわせてチェック!「Webike TV ミシュラン パワーRS」紹介動画

和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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