【賀曽利隆 コラム】賀曽利隆の「街道を行く!」日光街道編

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

6490_日光街道の杉並木を行く。「よくぞ残ったものだ!」と感心してしまう

日本橋を出発。日光街道を行く!

5月19日午前5時、我が「街道旅」の相棒、スズキV-ストローム1000と共に日本橋に立った。これから日光街道を走るのだ。日中は混み合う日本橋も、この時間帯だとほとんど交通量はない。まるで我が道を行くという気分で日本橋を走り出した。

6409_早朝の日本橋を出発。この時間帯はほとんど交通量がない▲早朝の日本橋を出発。この時間帯はほとんど交通量がない

日本橋から日光に通じる日光街道は「江戸五街道」のひとつ。この道は徳川家康をまつる日光東照宮参拝の道。「東京→日光」間には全部で23の宿場があるが、その間の全23宿を巡って日光まで行く。

日光街道の最初の宿場は千住宿。そこまでの旧街道は驚きの連続だった。まさに東京再発見。

日光街道というと国道4号のイメージが強いが、国道6号の水戸街道が旧日光街道になる。小伝馬町、馬喰町と通り、神田川にかかる浅草橋を渡る。ここには江戸時代、江戸防御の浅草橋門があり、浅草見附(みつけ)という番所があった。橋のたもとには「浅草見附」の石碑が立っている。

6415_浅草橋で神田川を渡る。橋を渡ると「浅草見附」の石碑が立っている▲浅草橋で神田川を渡る。橋を渡ると「浅草見附」の石碑が立っている

浅草橋から東武鉄道のターミナル駅、浅草駅へ。浅草に来たからにはと、早朝の浅草寺を参拝。ここは坂東三十三ヵ所第13番札所の浅草観音。浅草観音は東京23区内では唯一の坂東三十三ヶ所の札所になっている。日光街道は浅草観音参詣への道でもあった。

宿場町の風情を色濃く残す「千住宿」

言問橋の西詰で国道6号と分れ、吉野通りで南千住へ。南千住駅前にある回向院(えこういん)は小塚原の刑場跡。南千住を過ぎたところで国道4号に合流し、千住大橋を渡り、日光街道の千住宿に入っていく。といっても千住宿内の日光街道は逆方向の一方通行なので、いったん千住宿を過ぎたところから入り、千住大橋に戻るようにして走った。

今でも宿場町の風情を色濃く残している千住宿は東海道の品川宿、中山道の板橋宿、甲州街道の内藤新宿とともに「江戸四宿」と呼ばれ、おおいに栄えた。北千住駅の周辺がかつての宿場の中心。水戸街道も元々は千住宿で日光街道と分岐していた。

6420_隅田川にかかる千住大橋を渡って千住宿へ。橋の袂には芭蕉公園がある
▲隅田川にかかる千住大橋を渡って千住宿へ。橋の袂には芭蕉公園がある
6428_千住宿の日光街道を行く。ここは北千住駅に近い宿場町通り
▲千住宿の日光街道を行く。ここは北千住駅に近い宿場町通り

 

煎餅、綾瀬川沿いの松並木。「草加宿」を巡る

千住宿からは国道4号で千住新橋を渡り、保木間から埼玉県に入っていく。埼玉県内の最初の宿場は草加宿。日光街道名物「草加煎餅」の店を何軒も見る。

綾瀬川沿いには日光街道の松並木が残っている。ここではV-ストローム1000を止めて、松並木を歩いてみた。

6437_草加宿の松並木。左側を国道4号の旧道が通り、右側を綾瀬川が流れている▲草加宿の松並木。左側を国道4号の旧道が通り、右側を綾瀬川が流れている

草加宿からは越谷宿、大沢宿と通り、粕壁宿へ。粕壁宿は今の春日部だが、春日部駅周辺の中心街は「粕壁」で、当時の宿場名がそのまま地名として残っている。

春日部を過ぎると、杉戸宿、幸手宿、栗橋宿の3宿を走り抜けていく。これら3宿には江戸の昔を偲ぶかのような土蔵造りの建物が残っている。V-ストローム1000を走らせながら見る旧街道の風情がたまらない。

6451_杉戸宿の北緯36度線で小休止。同じ36度線のテヘランの町を思い浮かべる▲杉戸宿の北緯36度線で小休止。同じ36度線のテヘランの町を思い浮かべる

日本三大関所「栗橋関所跡」と「境」の魅力

栗橋宿を過ぎると「坂東太郎」の利根川を渡り、茨城県に入る。

江戸から栗橋宿までは旧国でいうと武蔵国だが、利根川を渡ると常陸国になる。栗橋は日光街道の大きな境目なので関所が置かれた。利根川の堤防の下には「日本三大関所・栗橋関所跡」の碑が建っている。

江戸時代はこの関所を通り抜けた船着場から渡し船で対岸に渡った。このような「境」をきちんと見ていけるのが、バイクを走らせての街道ツーリングの大きな魅力なのである。

茨城県内には中田宿、古河宿の2宿があるが、古河の町並みを抜け出ると栃木県。旧国名でいうと下野国になる。

栃木県内最初の野木宿では野木神社を参拝し、間々田宿では造り酒屋の「若盛」を見ていく。旧街道を象徴するような造り酒屋は宿場町とは切っても切り離せない関係にある。

6466_間々田宿の造り酒屋「若盛」。街道旅では各地で造り酒屋を見ていける▲間々田宿の造り酒屋「若盛」。街道旅では各地で造り酒屋を見ていける

小山宿からは国道4号で新田宿、小金井宿、石橋宿、雀の宮宿を通り、宇都宮宿に到着。ここで日光街道は奥州街道と分岐する。奥州街道も「江戸五街道」のひとつ。「日本橋→宇都宮宿」間は日光街道と奥州街道の重複区間なのである。

日光街道最後の行程。今なお残る杉並木

宇都宮宿を出発し日光へ。国道119号を行く。日光街道もいよいよ最後の行程。その間には野沢宿、徳次郎宿、大沢宿、今市宿の4宿がある。野沢宿では通称野沢寺の光明寺、徳次郎宿では智賀都(ちかつ)神社を参拝。ともに歴史を感じさせる寺社だ。

大沢宿を過ぎると前方には日光の連山が見えてくる。そして日光街道の杉並木が始まる。よくぞこれだけの並木が残ったものだと感心してしまう。

6490_日光街道の杉並木を行く。「よくぞ残ったものだ!」と感心してしまう▲日光街道の杉並木を行く。「よくぞ残ったものだ!」と感心してしまう

日光街道の終点、日光へ

杉並木を走り抜けて今市宿へ。今市は合併後の日光市の中心。今市宿からさらに杉並木を走り日光に到着。V-ストローム1000のメーターでは日本橋から160キロになった。日光の町並みは日光街道第23番目の宿場の鉢石(はついし)宿になる。

6496_日光に到着。JR日光線の終点、日光駅前でV-ストローム1000を止める▲日光に到着。JR日光線の終点、日光駅前でV-ストローム1000を止める

「ゆば料理」の看板が目立つ鉢石宿だが、老舗の「恵比寿家」で「ゆば料理」を食べた。揚巻ゆばの野菜あんかけ、揚巻ゆばと里芋のゆず味噌田楽、平ゆばと野菜の天ぷら。それにお吸い物とご飯のついたCコースが2,310円。

6518_日光・鉢石宿の老舗「恵比寿家」で日光の「ゆば料理」を賞味する▲日光・鉢石宿の老舗「恵比寿家」で日光の「ゆば料理」を賞味する

日光の「ゆば料理」に大満足したところで、大谷川にかかる神橋を見て、徳川家康をまつる日光東照宮へ。「見ざる聞かざる言わざる」の3猿を見ると、豪華絢爛の陽明門をくぐり抜ける。「あー、日光にやってきた!」と実感する瞬間だ。

6519_大谷川にかかる神橋は日光のシンボル的な存在。大谷川の流れがきれいだ
▲大谷川にかかる神橋は日光のシンボル的な存在。大谷川の流れがきれいだ
6520_大勢の観光客でにぎわう日光・東照宮の陽明門。見事な彫刻に圧倒される
▲大勢の観光客でにぎわう日光・東照宮の陽明門。見事な彫刻に圧倒される

 

日光街道は日光が終点だが、カソリの日光街道の旅はまだまだつづく。

東照宮に隣りあった下野国の一宮、日光二荒山(ふたあらやま)神社を参拝したあと、国道120号で中禅寺湖畔へ。華厳の滝を見たあと、坂東三十三ヶ所第18番札所の立木観音を参拝する。

6620_坂東三十三ヶ所第18番札所の立木観音近くの中禅寺湖畔で見る男体山▲坂東三十三ヶ所第18番札所の立木観音近くの中禅寺湖畔で見る男体山

さらに国道120号で湯ノ湖畔へ。日光湯元温泉では温泉寺(入浴料500円)の湯に入った。お寺の温泉なだけに温泉のありがた味がぐっと増すというもの。湯上りには茶菓子が出た。温泉寺はカソリおすすめの温泉だ。

日光湯元温泉から国道120号で栃木・群馬県境の金精(こんせい)峠まで登っていく。絶好のワインディングロード。峠道からは日光のシンボルの男体山がよく見える。

金精峠のトンネル入口で折り返し、宇都宮まで戻った。このあと、宇都宮を出発点にして、奥州街道で青森まで走るのだ。頼むぞ、V-ストローム1000よ!

6630_国道120号の金精峠。峠のトンネルの入口で折り返し、宇都宮に戻った▲国道120号の金精峠。峠のトンネルの入口で折り返し、宇都宮に戻った

【賀曽利隆 コラム】賀曽利隆の「街道を行く!」奥州街道編に続く

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賀曽利隆

賀曽利隆冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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