EICMAの華だった「1299スーパーレッジェーラ」「HP4レース」、2台に見るスーパースポーツ究極形

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【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

EICMA2016の主役だったミドルクラスと、スーパースポーツ究極系

今回のEICMAにおいて主役だったのは、等身大で付き合えるミドルクラスのモデルであったと思う。

それもカテゴリーは多岐に渡り、普通のロードスポーツはもちろん、既存のモデルをカフェレーサーもしくはスクランブラーに仕立て上げたモデルが多く、それらにはレトロ調のものが少なくない。
また、アドベンチャーもより身近なサイズや排気量のモデルが多く出展された。

ヨーロッパにおいても、かつての超高性能なスーパースポーツ熱は醒め、現実的なものへと興味が移行しているわけだが、もし、ドゥカティの1299スーパーレッジェーラ、BMWのHP4レースというカーボンフレームを使用した「スーパースポーツの究極形」ともいえる車両の出展がなかったとしたら、EICMAは夢とパッションに欠けて、いささか無味乾燥としたものになっていたのではないだろうか。

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▲ドゥカティ「1299スーパーレッジェーラ」
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▲独特なボックス形状のカーボンフレームとなっていることが伺える
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▲BMW「HP4レーサー」
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▲フレームはベース車両の造形を踏襲しカーボン化されている

今回、これらの車両へ熱狂的に人が群がる様子はさほどなかったが、羨望の目で眺めている印象で、これらの存在が熱く胸に刻まれ、現実的なモデルが引き立っていたとさえ思える。

高性能なものに対する憧れ

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人々がスーパースポーツに憧れてきたのは、それらがもっと速く走りたいという本能に応えて続けてくれたからだと思う。
スーパースポーツの車両たちは、レーシングマシンの究極形であるモトGPマシンに近い存在としても注目されてきたはずで、事実、その性能は一昔前のワークスマシンのそれを上回っている。
しかし、現実的な用途からあまりにも乖離していることに気が付くや、一気に気持ちが離れていったのがここ最近現状である。

それでも、ライダーがそうしたものを求める気持ちは、本能的には変わらないはずである。それに、いくらスーパースポーツが高性能であっても、一般量産車ではモトGPマシンとは別世界である。
そこで、それを一般の人たちにも提供しようというのが、この2台ではないだろうか。

軽量かつ高価なカーボン素材をふんだんに使用した2台のマシン

2台は市販モデルであるドゥカティ「1299パニガーレ」、BMW「S1000RR」がベースとなっており、ともにカーボンファイバー製のフレーム、前後カーボン製ホイールを採用。カウリング類やリヤフレームなどもカーボン製だ。
スイングアームはHP4レースはアルミ製のままだが、スーパーレッジェラはカーボン製となっている。
また、足回りにも最高水準の製品を装備、スーパーレッジェーラは6軸IMU(慣性計測ユニット)を採用するなど、電子制御もワークスマシンに準じたものとなっている。

20161124_wc08▲スイングアームもカーボンを採用したスーパーレッジェラ

何と2車種共に一般発売予定!スペックは「RC213V-S」に肉薄!?

ドゥカティは500台限定発売の予定で、車重167kg、最高出力は215psと発表されたが、BMWは17年春に詳細について発表、後半に市販の予定だという。

さて、ここでスーパーレッジェーラの発表スペックに注目すると、あのホンダRC213V-Sに限りなく近いものであることに気が付く。

20161124_wc07▲ホンダ「RC213V-S」MotoGPマシンを市販するというコンセプトで生まれたプレミアムマシン

RC213V-Sは市販の公道走行仕様が170kgで、キット装着仕様が160kg。ここで同じ基準で比較できるかの問題はともかく、展示されたスーパーレッジェーラにはミラー装着はなく、マフラーも公道走行が可能か疑問があるものの、灯火類が装備され、発表車重は167kg。いずれも、モトGPマシンの最低重量157kgに匹敵する軽さだ。

また、最高出力は、RC213V-Sは市販状態では159psながら、キットを装着すれば215ps。スーパーレッジェーラも同じ値が発表されており、ドゥカがホンダを意識していると勘ぐりたくもなる。

付け加えると、RC213V-Sのホイールベースは1465㎜。スーパーレッジェーラは1456㎜で、パニガーレの1437㎜より長い。おそらくはスイングアームが伸ばされたワークスパニガーレに準じているのだろうが、これも近いものとなっている。

ともかく、最高出力こそ、モトGPマシンの200数十psには及ばないが、モトGPマシンの世界を覗けるマシンであると見ていいだろう。

気になる「カーボンフレーム」が及ぼすハンドリングの影響

ただ、気になるのは、カーボンフレームによるハンドリングである。ドゥカはモトGPマシンにカーボンフレームを試したことがあり、それに対するパテントも取得しているという。技術蓄積がある上に、昨今は航空機材料にも使われるなど、カーボンファイバーの技術も向上している。

それに、最新はカーボンホイールも剛性コントロールが絶妙で、私自身、ハンドリングに好影響があることも体験している。その意味でも、カーボン素材に期待していいと思う。

これら2台がいかなるものであるのか、興味は尽きないのである。

和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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