旧車や中古車を購入して楽しんでいるライダーにお話しを聞くと、「良く走るし、エンジンの調子も良いし、トータルコンディションは大満足だけど、どうにも汚らしい見た目が……」といったお話しを聞くことがある。そんなときには、車体に限らずエンジンでも部分的にペイント補修することで、見た目を美しくする方法もあることを知っておこう。

車体を磨くためにエンジンを降ろしたので



1981年式スズキRG250E2の車体仕上げ時に降ろしたコンプリートエンジン。ピストンにはオーバーサイズを組み込む予定なので、エンジン腰上は分解するが、全体的に調子自体は悪くなし、メカノイズも決して気になるレベルのものではないので、エンジン腰下の分解は実施予定が無い。しかし、これだけ汚れていると、その他の部品、例えば、今後「美しく仕上げる予定のシリンダーやシリンダーヘッド」との差があまりにも大きくなりすぎて、完成時には違和感ありありだと思われる。そこで、エンジン腰下=クランクケースをクリーニングしつつ、ペイント仕上げにしたいと思う。

エンジン腰上とケースカバーを取り外し



シリンダーヘッド、シリンダー&ピストン、クランクケースカバーを取り外したエンジン腰下を、リサイクルショップで購入した金属容器に入れ、クランクケース腰下の洗浄と汚れ落としに入る。しばらく露天放置されていた期間があったと思わしきクランクケースアッパーは、ご覧の通り腐食汚れ。これらの腐食や汚れを可能な限り落としてからペイント作業にとり掛かりたい。

様々な方法で腐食汚れを落とそう



灯油をスプレーボトルに入れて、スプレーしながら不織布シートで汚れを擦って、アルミ地肌を可能な限り出すように心掛けた。基本的には、指先でつまんだ不織布シートで磨き作業を進行したが、カーブ部分の磨きにくい形状部分はリューターに不織布フラップを取り付けて作業進行した。画像には無いが、作業時にはキレイなウエスをクランク室内(一次圧縮室内)に押し込み、汚れやゴミが混入侵入しないように作業進行した。

こんな感じでも足付け効果は充分だ

決して美しくはないが、もっと真剣に、時間を掛けて作業することで、ピカピカに磨き上げることは可能だ。今回は、ペイント仕上げなので、この程度の仕上がりにとどめてみた。この程度の輝きでも、シリンダーフィンやクランクケースカバーを美しく仕上げれば、組み立て後の美しさは以前と比べて大違い!!まさに劇的ビフォー→アフターになる。

ペイントしない部分にはマスキング



磨き汚れをパーツクリーナーで洗い流しつつ、キレイなウエスで汚れを拭き取ろう。派手にエアーブローすると汚れが飛び散ってしまうので良くない。ペイント用のマスキングテープを使って、シリンダーベース面やクラッチカバー、発電機カバーやドライブスプロケットカバーの位置をマスキング。見切り部分のエッジからハミ出したマスキングテープは、細目の小型平ヤスリなどを利用し、ケースエッジを軽く擦ることで不要な部分を美しく除去することができる。あくまで軽く擦ればエンジン側を削ることがないので安心。マスキング作業を終えたら、パーツクリーナーやアセトンなどを利用して、ペイントする部分の油分をしっかり拭き取ろう。

2液のウレタン塗料なら耐ガソリン性抜群



ペイントネタが手元にあったのでスプレーガンを利用してシルバーペイントを行ったが、2液ウレタンの耐ガソリン性スプレーを利用することで良い仕上がりになる。一般のラッカースプレーでは、しっかり乾燥してもガソリンや油分に弱く、気がついたときにはペイント膜がチヂれてブヨブヨに剥がれてしまうことになる。決して厚く吹き付けなくても、想像以上に良い仕上がりになるはずだ。また、密着性を高めるためのプライマーを吹き付けるのも効果的だ。

ボルトは新品に交換することで……

車体にエンジンを搭載したときに、目立つボルトは新品部品に交換するので、あらかじめそのボルトは抜き取ってからスプレーした。ボルトの上からペイントした痕があるエンジンは、過去に丸塗りされた経緯があると考えられる。中古車仕上げの手段でもある。最終的には、見える部分のボルトはすべて新品に入れ換えた。

2液ウレタンなら自然乾燥でも可能

ペイント後のエンジン腰下はマスキングテープを剥がして乾燥機に入れ、強制乾燥させた。エンジンペイントの場合は、エンジン始動後の熱によって塗膜が密着する(密着しやすい)ので、そのあたりを考慮して作業進行すれば良い。自然乾燥でも、ペイント後、2~3日待てば、ほぼ乾燥状況になる。しっかり乾燥させると(耐熱ペイントなら140℃、ウレタンペイントなら70℃に到達してからいずれも1時間程度)、塗膜が硬くなるため、エンジン組み立て時や搭載時にキズを付けにくい特徴がある。

POINT

  • ポイント1・ エンジンを降ろしたときにはコンプリートエンジンの状態でクリーニングしよう
  • ポイント2・ 大型の金属容器の中で作業進行すると作業性が良い
  • ポイント3・ 2液ウレタン仕様の耐ガソリンペイントなら、エンジンの補修ペイントにも利用できて便利
  • ポイント4・ 分解洗浄時にはエンジン内部に汚れが入らないように新品ウエスを突っ込み養生しよう

言葉は悪いが「中古車仕上げの手段」として用いられることがあるのがエンジンの丸塗りである。ここでは、そんなエンジン丸塗りの応用編というか、あくまで応急処置的な仕上げ方でも、意外と美しく仕上がるその方法をリポートしようと思う。本気で美しくしたいなら、エンジンの完全分解&オーバーホールの際に、恒久的な仕上げにすれば良い、というのがぼく個人的な考え方だ。

外装パーツが美しくオールペンされていても、車体骨格のフレーム各所が今ひとつの輝きだったり、エンジンのペイントが剥がれていたり、腐食だらけなどなど、折角、外装パーツが美しくても、そのバイクに対する美的評価が、残念ながら落ちてしまっているバイクは意外と多い。過去にこのコーナーでリポートしているが、フレームの目立つ=露出した部分を補修ペイントすることで、作業後の美しさは劇的ビフォー→アフターになることが多い。その違いには誰もが驚いたはずだ。

その手順をおさらいすると、まずは、外装パーツを取り外し、フレームのキズやサビをサンドペーパーやリューター&フラップブラシを利用して除去する。下地磨きが完了したら、2液ウレタンのペイントをスプレーガンで吹き付けたり、耐ガソリン性ペイントの缶スプレー(これも2液のウレタンペイント)を利用して、部分補修ペイントすれば良いのだ。完全乾燥後にコンパウンドで磨きを入れれば、ブラックの鉄フレームなら、それ相当な輝きを取り戻すことができる。

エンジンに関しては、どうだろう?やはり腐食によってアルミ地肌がボロボロになっているバイクを見かけることもあるし、ペイントがハゲ落ちて、もはや汚らしくなってしまったバイクもある。あまりにも酷い現状なら、エンジン部品を分解して単品にしてから、サンドブラストで均一に表面処理した後に、ガラスビーズショットを施すことで、アルミ地肌の光沢は「アルミ部品ならではの美しさ」に仕上げることができる。

ここで提案しているのは、分解せずにエンジン腰下を仕上げる丸塗りペイントだ。分解せずに……とは言え、エンジン腰上は、オーバーサイズピストンを組み込むために内燃機加工へ依頼。完成後には、サンドブラスト処理を行い、その後はメーカー純正調にシリンダーやシリンダーヘッドをペイントする予定である(このスズキRG250E2エンジンはペイント仕上げだった)。つまり、エンジン腰上が相当に美しくなり、クランクケースカバー類もすべてリフレッシュペイントすることを考えると、どうにも「クランクケースの汚らしさ」が目立ってしまうと考えたのだった。

そこで思いついたのが、今回の「エンジン腰下の丸塗り」である。エンジン地肌をそれなりにクリーニングした後にペイントすれば、仕上がりは間違い無く美しくなる。目立つボルトは新品に交換し、目立たない部分はペイント後に1本ずつ新品ボルトに交換。結果的には大満足の仕上りになった。

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