【賀曽利隆 コラム】賀曽利隆の「街道を行く!」東海道編(2)

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

前回:賀曽利隆の「街道を行く!」東海道編(1)

7237_丸子宿の「丁字屋」。ここでは東海道名物の「とろろ汁」を食べる

2日目は沼津宿から浜松宿まで。街道を行く!

「東海道編」の第2日目は沼津宿から浜松宿まで。

6時前に「東横イン」を出発し、JR沼津駅前に相棒のスズキV-ストローム1000と共に立った。

JR沼津駅前からは旧東海道を行く。原宿を通り吉原宿へ。吉原宿からは駿河の一宮、富士宮の富士浅間大社に寄り道した。吉原宿に戻ると富士川を渡った。富士川の河畔から見る富士山は美しい。

7135_早朝のJR沼津駅前を出発。旧国一通りから旧東海道に入っていく
▲早朝のJR沼津駅前を出発。旧国一通りから旧東海道に入っていく
7145_原宿の旧東海道を行く。宿場の空気を存分に吸いながら走るのが街道旅の良さ
▲原宿の旧東海道を行く。宿場の空気を存分に吸いながら走るのが街道旅の良さ

7150_田子の浦港の岸壁。田子の浦といえば『万葉集』の舞台だが、今は何もない…▲田子の浦港の岸壁。田子の浦といえば『万葉集』の舞台だが、今は何もない…

富士川を渡ると、蒲原宿、由比宿と往時の面影を残す宿場がつづく。

蒲原宿には本陣が残っている。土蔵造りの家や黒塀の家も見られる。由比宿の本陣跡は「由比本陣公園」として整備され、表門や物見櫓が復元されている。公園内の「東海道広重美術館」には、安藤広重の「東海道五十三次」の絵が展示されている。

東海道のハイライトシーン。絶景の「さった峠」

由比宿からは狭路の峠道を登り、東海道随一の絶景峠、さった峠に到達。東海道のハイライトシーンだ。足下を現東海道の国道1号と新東海道の東名が通り、駿河湾の対岸には伊豆半島の山々が連なっている。振り返ると愛鷹山や富士山が見える。

7216_由比宿から狭路の峠道を登り、さった峠に到着。この先には駐車場がある▲由比宿から狭路の峠道を登り、さった峠に到着。この先には駐車場がある

7217_さった峠から見下ろす風景。国道1号(右)と東名が眼下で交差している▲さった峠から見下ろす風景。国道1号(右)と東名が眼下で交差している

家康ゆかりの興津宿から府中宿へ。東海道五十三次「駿府」を思い出し…

さった峠を下ると興津宿。ここでは奈良時代に創建された古刹の清見寺を参拝。徳川家康ゆかりの寺で、家康は少年時代、今川義元の人質として駿府(静岡)で過ごしていた頃、しばしば訪れた場所だ。

次の江尻宿は清水駅周辺の宿場で本陣2軒、脇本陣3軒、旅籠50軒があったという駿河では府中宿に次ぐ大きな宿場だったが、今では地名が残るだけで、宿場の面影はまったくない。

清水からは国道1号で府中宿へ。いまの静岡だ。静岡の中心、駿府城跡から安倍川に向かっていく道が旧東海道になる。安藤広重の「東海道五十三次」の「駿府」では、安倍川河畔の「名物安倍川餅」の看板を掲げた茶屋が描かれている。

ここでは茶屋「橋本屋」で名物「安倍川餅」を食べた。黄粉と餡こ餅が4個づつのっている。そのうち白砂糖をまぶした黄粉餅がもともとの安倍川餅だという。

7226_駿府城跡。駿河の国府が置かれたので駿府。府中宿は今では静岡…
▲駿府城跡。駿河の国府が置かれたので駿府。府中宿は今では静岡…
7228_安倍川河畔の茶店で東海道の名物の「安倍川餅」を食べる
▲安倍川河畔の茶店で東海道の名物の「安倍川餅」を食べる

丸子宿へ。東海道中膝栗毛「丸子のとろろ汁」を思い出し…

安倍川橋で安倍川を渡り、そのまま旧東海道を行くと丸子宿。丸子で「まりこ」と読む。古くは鞠子と書いた。

丸子宿の家並みを抜け出たあたりの丸子川沿いに、「とろろ汁」を名物にしている「丁字屋」がある。創業は慶長元年(1596年)というから、今から400年以上も前のことになる。

昔ながらの茅葺き屋根の茶屋。「梅若菜 丸子の宿の とろろ汁」と芭蕉の句に詠まれ、弥次さん、喜多さんの『東海道中膝栗毛』にも出てくる「丸子のとろろ汁」は、安倍川餅同様、東海道中では欠かせない名物だ。

「丁子屋」の「とろろ汁」は今でも大人気。平日の昼前に入ったのにもかかわらず、店内は混んでいた。さっそく「丸子定食」(1440円)を頼むと、すぐさま名物のとろろ汁が運ばれてきた。このスピード感が命。

お櫃に入った米7分麦3分という麦飯を茶碗によそい、その上に自然薯をすりおろし、だし汁でのばしたとろろ汁をかけ、薬味の刻みネギをふりかけて食べる。

麦とろはいくらでも食べられる。スルスルッとのどを通り、腹に吸い込まれるようにして入っていく。

7237_丸子宿の「丁字屋」。ここでは東海道名物の「とろろ汁」を食べる▲丸子宿の「丁字屋」。ここでは東海道名物の「とろろ汁」を食べる

丸子宿の次は岡部宿だが、その間には箱根峠、鈴鹿峠と並ぶ東海道の難所の宇津ノ谷峠がひかえている。旅人たちは丸子宿でとろろ汁をかけこむようにして食べ、パワーをつけて宇津ノ谷峠に立ち向かっていった。

反対に岡部宿から宇津ノ谷峠を越えて丸子宿に下りてきた旅人たちは、とろろ汁で元気を取り戻した。とろろ汁の自然薯も、元々は宇津ノ谷峠周辺の山中でとれる天然モノだったという。

時代をまたぐトンネル群

丸子宿から宇津ノ谷峠に向かっていく。ここはまさに峠のトンネルの展覧会場。明治、大正、昭和、平成と時代ごとの峠のトンネルを見られる。

明治9年に完成した明治トンネルは日本最初の有料トンネル。大正トンネルは旧国道1号のトンネル。昭和トンネルは現国道1号の上り車線、一番新しい平成トンネルは下り車線だ。

江戸時代の旧東海道もこの峠を越え、さらに時代をさかのぼった平安時代の官道の「蔦の細道」も残っている。

7267_宇津ノ谷峠の旧国道1号で岡部宿へ。右手には現国道1号の上下線が見える▲宇津ノ谷峠の旧国道1号で岡部宿へ。右手には現国道1号の上下線が見える

肩車か蓮台か?大井川越えの歴史

宇津ノ谷峠を越え、岡部宿、藤枝宿、島田宿と通り、「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」の大井川に出た。川越場(越場)には川役人が業務を行った「川会所」が残されている。ここで川越の料金を決めたり、川札を売った。

橋のない大井川を渡るには川越人足の肩車で川渡りする方法と蓮台に乗る方法があったが、「肩車越し」の方がはるかに安いので一般的だった。川会所には種類の異なる蓮台が展示されている。

7306_大井川河畔の「川会所」。ここには川渡りの蓮台が展示されている▲大井川河畔の「川会所」。ここには川渡りの蓮台が展示されている

「東海道のド真ん中」の袋井宿

大井川を渡って金谷宿へ。同じ静岡県でも駿河国から遠江国(遠州)に入っていく。日坂宿では遠江国の一宮の事任八幡宮を参拝。

7371_遠江の一宮、事任八幡宮を参拝。境内に高さ31mの大楠と高さ36mの大杉
▲遠江の一宮、事任八幡宮を参拝。境内に高さ31mの大楠と高さ36mの大杉

掛川宿では掛川城の天守閣に登った。袋井宿は江戸から数えても、京から数えても27宿目で東海道の中間点。「東海道のド真ん中」が売りの袋井宿には、「東海道どまんなか茶屋」があった。

7392_復元された掛川城の天守閣。日本初の本格的な木造の天守閣だ。大手門も見事▲復元された掛川城の天守閣。日本初の本格的な木造の天守閣だ。大手門も見事

浜松といえば、「浜松城」と「●●●」。

見附宿(磐田)を過ぎると天竜川を渡り、沼津宿から189キロを走って浜松宿に到着。時間は17時。浜松のシンボルの浜松城に行く。

天守閣の下には若き日の徳川家康像。浜松といえば「うなぎ」だ。浜松駅近くのうなぎ専門店「八百徳」で「うな重」を食べた。「おー、これぞ本場の味!」。

7413_浜松に到着。浜松駅近くの「八百徳」で食べる「うな重」。これぞ本場の味!▲浜松に到着。浜松駅近くの「八百徳」で食べる「うな重」。これぞ本場の味!

浜松は日本の東西文化の接点。それは「うなぎ」にも鮮明に表れている。関東と関西では裂き方が違う。関東では頭を落としたあと「背開き」にして裂く。関西では頭をつけたまま「腹開き」にする。

焼き方も違う。関東では開いた身を2つに切り、白焼きにしたあと、いったん蒸してからタレにつけながら焼く。関西では白焼きにしたあと、蒸すことなく、すぐにタレをつけて一気に焼き上げる。

「八百徳」では食べるのに夢中で裂き方や焼き方を聞きもらしたが、浜松には関東風と関西風のうなぎ屋が混在しているという。

浜松のうなぎを堪能したら、さあ明日に目指すは、愛知県を超えてのゴール、京都・三条大橋だ!

【賀曽利隆 コラム】賀曽利隆の「街道を行く!」東海道編(3)に続く

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賀曽利隆

賀曽利隆冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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