【和歌山利宏 コラム】新登場の「GSX-R125」を見て考える、グローバル化とガラパゴス化

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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今回のINTERMOTでは、魅力的な125ccモデルが2台発表されました。アプリリアのRS4 125をネイキッド化した「トゥオーノ125」と、スズキの「GSX-R125」です。

意外に感じた「125ccスポーツバイク」の新機種発表

20161021_wc01▲アプリリア トゥオーノ125

125ccのスポーツバイクの登場は意外で、期待もしていなかったと言うのが正直なところですが、ともかく欧州で125ccクラスは四輪免許で乗れる、日本で言うところの原付であり、最もベーシックな存在として、ないがしろにできないカテゴリーなのです。

20161021_wc03▲スズキ GSX-R125

GSX-Rシリーズの末弟として登場したGSX-R125は、エンジンはコンパクトな水冷DOHC4バルブ、フレームは剛性も十分な専用設計品で、リヤサスはリンク式と、GSX-Rの名に恥じない造り込みを受けています。でも、そのこと以上に、車両のグローバル化を考えずにはいられません。

アジアの小排気量レースを見据えたバイクの開発

まず専用設計に見えるエンジンですが、これは、インドネシアで今年から生産されているSatria_F150というアンダーボーン風モデルのエンジンを、ボアダウンして搭載しているようです。

20161021_wc04▲スズキ Satria_F150

しかし、街乗りで足代わりになるこの125ccモデルに、リンク式リヤサスが必要なのでしょうか。

実は、アジアでは150ccクラスの市販車レースが開催されており、そこに「GSX-R150」が活躍する姿が見えてくるのです。すでにCBR150RやYZF-R15が活躍しており、それらのリヤサスはリンク式です。
R15に試乗した印象からすると、リンク式であることが軽量な車体でトラクションを早いタイミングから掛けていくことに貢献していると感じられ、GSX-R150が出現するとしたら、それがリンク式になると考えて自然です。

レースで活躍するマシンと基本が同じモデルを、世界の別の地域には底辺を支えるモデルとして供給するというグローバル化が進んでいるのです。欧州向き300ccモデルが日本では250ccとして人気を博していることにも、同じことが言えます。

グローバル展開に遅れる行政の対応

ただ、このようにメーカーが世界の現状を見据えた展開を繰り広げているのに対し、我が国における行政の対応は遅過ぎます。

最近になって4輪普通免許の付帯原付枠を125ccに、という議論がぶり返してきましたが、すでに数年前に話題に上ったことであり、今更といったところです。

路地裏ならともかく、現在の自動車道路を50ccで走るのはかえって危険です。
360ccだった軽四輪は660ccになっていることから考えても、バイクは125ccになって当然だと思えるのです。
日本人にはネガな部分を見つけて踏み止まるきらいがありますが、むしろ安全になる面に注目して積極的にならないといけないと考えます。

車両のグローバル化、あわせて免許制度や税金、車検制度の区分も考えるべき

何より、グローバルモデルを投入できる125cc化は、メーカーだけでなく我々にも有利です。それは250cc、400ccという免許や税金、車検制度の排気量区分にも言えます。
どうすれば車輌のグローバル化が進み、国益になるかを考えるべきです。

そして125ccで底辺を支えるカテゴリーが充実すれば、バイク人気も復活するに違いないと思うのです。

【関連ニュース】
◆「クルマの免許で125ccバイクまで」の是非を問う
和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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