欧州のレトロ調バイクブーム、日本の2本サスネイキッドにスポットライト

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

日本の「2本サス」が、欧州でブームの兆し

2016年のINTERMOTを巡り、昨今は欧州にもレトロ調バイクブームがある、と確かに感じた。

数年前なら見向きもされなかった、国産の「国内市場向き2本サス(リアサスペンション)」のネイキッドが注目を浴びている。ヤマハのSR400が欧州や北米で導入され、XJR1300Cが欧州向きに企画されるなど、以前では考えられない状況である。

またホンダのCB1100は7年前、そもそもは国内市場を照準に生まれてきたのだが、意外や欧州でも注目度が高く、4年前に導入されることになったに留まらず、今回のINTERMOTでスポーティーな味付けのCB1100RSが発表されるに至った。

20161019_wakayama_sr400_001▲ヤマハ SR400

「バイク本来の姿」を求める流れが欧州車にも

R_nineT_Racer01▲BMW R nineT Racer

欧州車に注目しても、BMWは3年前にR nineTを登場させ、今回は「R nineT PureとRacerという派生モデルを追加。トライアンフは昨年フルチェンジしたボンネビルシリーズに、今回は小排気量版のT100を加えて充実させている。

人々が、高性能化が過ぎたバイクに食傷気味となり、バイクの本来の姿を求め、過去を振り返ったことで、普遍的な「レトロ調スタイリング」が受け入れられるようになったというのが、その流れではないだろうか。

スクランブラーモデルも、普遍的なバイクを求める流れから生まれた

付け加えると、このようにバイクに普遍的な魅力を求めようとする風潮によって、スクランブラー志向も生まれている。昔のバイクのような汎用性を求めた結果でもあるのだが、ただ今回のINTERMOTではそうしたモデルの出展はなかった。

会場でこうしたレトロ調モデルに興味を持つのは年配の人が中心で、このブームはいつまでも続きはしないだろうが、当面は人間に近い存在を求める風潮は変わらないと思われる。

気になる「CB1100RS」。
フロントフォークは性能向上、エンジン特性も変更

20161004-im_cb1100rs011▲ホンダ CB1100RS

新登場のホンダCB1100RSは、欧州での標準型となるEXに対し、前後ホイールを18インチから17インチとしたモデルである。フォークオフセットを40㎜のまま、車輌姿勢を1°前下がりとしているとなるとバランスを崩していそうだが、その心配はない。

ハンドルグリップ位置を7㎜前方とし、フロントフォークはφ41㎜からφ43㎜のデュアルベンディングタイプとしており、エンジンマップも改め、マッチングを図っているというから、EXよりも早いリズムでの走行、そして上質なスポーティさを味わえるのだと思う。
燃料タンクは新EXも含め、底板周囲を溶接しない「フランジレスタイプ」となったことで、見た目にも曲線美が引き立っており、レトロ調に磨きが掛かっている印象だ。

ラインナップを拡充したR nineT シリーズ、
より気軽なトライアンフT100シリーズ

20161005_bonnevilleT100_01▲トライアンフT100、T100ブラック

BMWのR nineTシリーズに昨年はスクランブラーが追加されたが、今回登場のPureは、文字通りピュアにバイクの原点を追求。倒立フォークは正立となり、燃料タンクはスチール製、メーターはスクランブラーと同じく一眼式で、シンプルかつ価格も下げられている。

またRacerはロケットカウル付きで、ライポジも前傾スタイルとしたカフェレーサータイプで、70年代を偲ばせるモデルとなっている。

トライアンフは昨年、レトロ調ツインのボンネビルを水冷エンジンにフルチェンジ。伝統的イメージの強い1197ccのT120、カフェレーサータイプのスラクストンRに加え、ボアダウンにより899ccとし、求めやすくカジュアルなストリートツインを登場させた。

そして、今年は899ccユニット搭載のT100、T100ブラックと、ストリートツインをカフェレーサー化したかのようなストリートカップを追加登場させた。より扱いやすくジャストサイズなモデルを求める声に応えた形である。

これら新ボンネビルシリーズは全て、伝統の360度クランクではなく270度クランクで、電子制御スロットルを採用、ABSやトラコンも装備されており、レトロ調の小排気量版であっても、安易な廉価版にはなっていない。

ドゥカティのニューモデル「スーパースポーツ」は
かつてのドゥカティSSシリーズをイメージ

im_supersports_w01▲ドゥカティ スーパースポーツ

もう一つ、ドゥカティから登場の「スーパースポーツ」は、決してスタイリングがレトロ調というわけではないが、かつての「ドゥカティSS」シリーズの復活という意味で、心情的にレトロ調のイメージを受けないでもない。というわけで、ここで紹介しておく。

車体構成はモンスターがベースになっていると見受けられ、ライポジはモンスター系よりも前傾しながら、スーパーバイク系よりはアップライトで、公道にも順応できる設定だ。それにハイパーモタード939の937ccテスタストレッタ11°(モンスター821の821ccユニットをボアアップした構成)を搭載している。

かつてのドゥカティSSには日本でも比較的人気のあった「900SS」や「400SS」など、コーナリングでビギナーを受け付けない難しさがあったが、現行モンスターは誰にでも扱いやすく、またモンスター1200Rがサーキット走行でポテンシャルを見せ付けることから考えて、ワインディングだけでなく、サーキット走行会でも楽しめるバイクになっていると思われる。

和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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