新型ニンジャ1000に採用される次世代型電子制御とは!? より身近なモデルにも採用される制御技術

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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スーパースポーツとはまた異なり、オーバーリッタークラスのネイキッドやスポーツツアラーといったビッグストリートスポーツは、多くの人たちにとって現実的な憧れとなるはずで、今回のINTERMOTにおいても注目度が高かった。

ネイキッドやスポーツツアラーにも採用される「電子制御」の進化

そして、それぞれのモデルがそれぞれの手法で、着実な進化を見せつけてくれていた。
もちろん、ストレスなく快適に安全に移動できて、車輌が大柄であるにも関わらず、スポーティに扱いやすいように、車輌の基本部分に改良が加えられ続けている。
だが、電子制御の充実が著しいことが、今回のニューモデル群にははっきり見受けられた。

その意味で、これからのビッグストリートスポーツにとっての一つの方向性を示しているのが、カワサキのニンジャ1000(Z1000SX)だ。

デザインだけではない、新型ニンジャ1000(Z1000SX)の大幅な進化

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この新型は、ユーロ4適合としながらも性能を強化、吸排気系やECUマップも改められ、2psアップの142psを発揮。
LEDヘッドライトの採用で、フロントマスクも精悍さを増し、フェアリングやスクリーンの大型化でウィンドプロテクション効果を高め、シートの改良で快適性も向上させている。

そして、さらに注目すべきは、その電子制御装置だ。

IMU(慣性測定ユニット)で車体の運動状態を検知し、トラクションコントロールやウィリーコントロール、ABSやエンジンブレーキを制御する最先端の方式を採用、技術的にスーパースポーツのZX-10Rに準じているものとなっていることが特筆に値する。

ZX10Rと同レベルの電子制御で「コーナリング」もサポートする

KME 2289 Dolomites

しかも、その制御はKCMF(カワサキ・コーナリング・マネージメント・ファンクション)に統合され、トラコン、ウィリー、コーナリングABS、エンブレ、リヤリフトを総合的に制御し、コーナリングをマネージメントしようというものだ。

ニンジャ1000に採用されるIMUは、諸元からするとZX-10R用と同じボッシュ製MM5.10である。本来、MM5.10は縦、横、垂直方向の加速度、ヨーとローの角速度(角度の時間変化量)を検知する5軸センサーで、ピッチ角速度を他データからECUで算出するものだが、ニンジャ1000では10Rと同様、角速度はローとピッチを検知し、ヨーを算出。
IMUの設置方向をカワサキの独自方式としているようだ。

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すでにスーパースポーツだけでなく、BMW、ドゥカティ、KTMは姿勢変化が激しいビッグアドベンチャー系にIMUを搭載し、諸制御を行っている。
そして、ニンジャ1000はそれをストリートモデルに持ち込んだのだ。大出力を条件が不確定な公道で安全に楽しむために、レーシングマシンの技術が投入され始めているのである。

市販車に次々と採用される電子制御技術

他モデルに注目しても、電子制御のエリアが拡大している。

BMWのK1600GTは、ダイナミックESAというセミアクティブサス、アップダウン両対応のオートシフターやセルボタンで車体を後退させられるリバースアシストを採用、工場オプションで事故などの緊急時に位置情報を自動的にBMWのコールセンターに連絡できるシステムを装備できる。
サイドパネルの変更でスタイリングも新しくなっている。

同じくBMWのS1000Rは、トラコンとレース用ABSが標準装備となった。ユーロ4対応としながら最高出力を5ps高い165psとし、フレームのピボット回りを刷新し、軽量化と共に剛性バランスを改善。
アクラボビッチ製のチタン製サイレンサーを装着し、車重も2kg軽量化されている。ハンドルをラバーマウントとするなど、随所に改良が施される。

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▲BMW K1600GT
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▲BMW S1000R
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▲YAMAHA MT-10SP

そして、ヤマハのMT-10にはSPというスポーツ度を高めた上級モデルが追加された。SPにはR1Mと同様のオーリンズの電子制御サスを装備。すでにトラコンは搭載されているが、新型は標準型も含めオートシフターを採用、エンジンマップにも改良手が及んでいる。

もはや電子制御技術は身近なモデルにも続々と採用されるものになっているのだ。

和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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