最先端のSS!15kgもの軽量化を果たした「CBR1000RR」、202馬力を叩き出す「GSX-R1000」ニューモデルレポート

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

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今回のINTERMOTにおける出展モデルの花形的存在と言えば、CBR1000RRとGSX-R1000である。

最先端のレーシングマシンに近いスーパースポーツであるだけに、究極のモーターサイクルの形として注目度も高いからだ。実際、ホンダとスズキのブースでも、これら2台はメインとなる位置に展示されていた。

スーパースポーツのブームは過ぎつつも、最先端のテクノロジーが込められたマシンたち

しかし、10年前のように入場者がそのスーパースポーツに集中して群がる様子はない。それぞれ1台は自由に触れ跨れるように置かれているのだが、かつてほどの熱気が伝わってくるわけでもなかった。

やはり、普通の人が普通に扱えるシロモノではないことを、誰もが認識しているのだろうか。それに、スーパースポーツが総売上台数に占める割合も、かつてのように大きくなくなっているのも事実である。

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CBR1000RR SP
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GSX-R1000R

発表されたCBR1000RR SP/SP2が、前期モデルの“基本を継承するフルチェンジ”であったことも、そうした背景を物語っていると思う。新たな「型」の制作費や設備費の新規発生を最小限に抑えたうえで、最良形を供給しようとのスタンスが感じられるからだ。

とは言え、こうしたスーパースポーツは、レース参戦用ベースマシンとしても、イメージリーダーとしても大切で、メーカーは手を抜くことができない。やはり、これら2台は、紛れもなく最先端マシンであったのだ。

大幅なパワーアップと、なんと15kgもの軽量化を果たした「新型CBR1000RR」

17YM CBR1000RR Fireblade SP

ホンダは高い戦闘能力を奪還することが急務のはずで、CBR1000RRには高出力化とパワーウェイトレシオ低減、高出力化に伴なう信頼性向上、マスの集中化に加え、電子制御装置のグレードアップが作り込まれている。

最高出力を11psアップの192psとする一方、車重は15kg軽量の195kgとし、大幅にパワーウェイトレシオを低減。燃料タンクを初のチタン製としていることも斬新だ。車体の慣性モーメントもヨー15%、ローは10%低減されており、走りの軽さは相当な違いとなって感じられそうだ。

17YM CBR1000RR Fireblade SP and SP2▲CRF450Rに続きチタンタンクを採用。

電子制御技術を数多く採用。IMUは実績のあるボッシュ製

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エンジンは、電子制御スロットルが新採用され、スロットル径も2㎜拡大のφ48㎜となり、カムプロファイルも刷新。高出力化と高回転化に見合った対策も施されていると思われる。

そして、電子制御はIMU(慣性測定ユニット)で車体の運動状態を検知し、トラクションコントロールやウィリーコントロール、ABS、オーリンズのセミアクティブサスを制御するといった今日的な方式に進化。エンジンブレーキ制御やシフトダウン対応のオートシフターも備わる。

17YM CBR1000RR Fireblade SP and SP2

IMUはボッシュのMM5.10だ。縦、横、垂直方向の加速度、ヨーレートとローレート(角速度)を検知する5軸センサーだが、ピッチレートは他のデータから算出できるので実質的に6軸とされる。これは多くの欧州車やカワサキZX-10Rにも採用されており、オリジナル品でない点はホンダらしくないが、実績と信頼性のある選択である。

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フレームは、肉厚調整で300g軽量化するだけでなく、横曲げ剛性を同等に、ねじり剛性を10%低くし、剛性バランスが最適化されている。高次元なハンドリングがさらに熟成されているわけだ。

ホモロゲモデルとなるSP2はエンジンもチューニング

Nicky Hayden rides the new CBR1000RR Fireblade

また、ホモロゲーションモデルとなるSP2は、吸排気バルブを拡大し、バルブ挟み角を変更、シリンダヘッドが専用品となり、ピストン回りも軽量化。キット装着時の対応性も高めている。キットパーツによって、レースにおける戦闘能力も期待できるのだ。

あのRC213V-Sが、初心者にとってもCBRよりも乗りやすいと思わせるワイドレンジぶりを見せ付けており、これがホンダにとってのスーパースポーツの新指標になっているとの期待もある。新ファイヤーブレードが、従来型の完成度の高さをそのままに高性能化されていることに疑いの余地がない印象だ。

サーキット最速を掲げてきた「GSX-Rシリーズ」、新型はスペックも最強に

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一方のGSX-R1000は、歴代のGSX-Rシリーズがそうであったように、「走り、曲がり、止まる」という基本性能が高く、サーキット最速のトップパフォーマーであることを掲げ、モトGPマシンGSX-RRの技術が還元された完全なニューマシンだ。最高出力202ps、車輌重量200kgというスペックに注目しても最強である。

エンジンは、ショートストローク化(ボア値はCBR1000RR、ZX-10Rとも同じφ76㎜になった)しながらも、エンジン単体幅を6.6㎜狭小化。シリンダ前傾角を26度に6度起こすなどで、全長も22.2㎜短縮。ピボットから前輪アクスル間を20㎜短縮するとともに、ロングスイングアーム化を実現している。

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エンジンパワーは202馬力!

そしてエンジンには、GSX-RRからから還元された4つの新技術から成る「ブロードパワーシステム」が投入される。

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1.スズキレーシングVVTという可変バルブタイミングシステムは、吸気側カムスプロケットを機械式にずらし、高回転側で吸気タイミングを遅らせるというもの。

2.スズキフィンガーフォロワーは、従来型のバケットタイプの直打式に代わるスイングアーム式の動弁機構で、カムとバルブの動きにレバー比を設け、カムリフトを小さくして動弁系の慣性質量を軽減。

3.スズキトップインジェクターS-TFIは、電子制御スロットル(スロットル径は2㎜拡大のφ46㎜)を新採用し、可変ファンネル上部に高回転側で噴霧する第2インジェクターを設置。

4.スズキエキゾーストチューニングアルファSET-Aは、エキパイ間を結ぶ連結菅にバタフライバルブを設け、低中回転域で閉じるというものだ。

これらにより、202psという破格の高出力を発揮しながらも、全回転域において強力かつ扱いやすい特性を得ているに違いない。

GSX-Rを正常進化させるためにGSX-RRの技術を投入

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フレームは、メインチューブ幅の小ささからも明らかなように、従来型よりも剛性はしなやかな方向だ。また、メインチューブの左右幅は上部が狭く、タンク上面を21㎜低くすることにも貢献。これによりねじり中心を下げることもでき、剛性バランスも理想化されていると思われる。機敏で軽快で接地感豊かなハンドリングが期待できるというものだ。

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そして、諸電子制御のためにマシンの運動状態を検知するIMUは、GSX-RRからのフィードバックである6軸である。

よりレース指向の強い上級型GSX-R1000Rは、前後サスにSHOWAのバランスフリータイプを投入、ローンチコントロールやオートシフターも装備される。

今回のカンファレンスにおいて、ニューGSX-R1000の狙いは、GSX-RRの技術還元とスズキのモノづくりの姿勢を示すことと説明された。でも、私が感じた真の狙いは、培ってきたGSX-Rを正常進化させ、さらなる高次元化のためにGSX-RRの技術を投入したといったところであった。

GSX-R1000/R official promotional movie

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和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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