“世界を駆ける”日本人モトクロスライダー誕生をめざす ヤマハの人材育成「ダグトレ」

160830_50

飛び立つためのバネを巻く

8月2-3日、全日本モトクロス選手権の会場としても知られる名阪スポーツランド(奈良県)に、YZの野太いエキゾーストノートに混じって、熱意のこもった声が響きわたった。

この日行われていたのは、ヤマハがサポートする全日本モトクロス参戦チームから選抜された若手ヤマハライダー対象のトレーニング合宿。そして声の主は、指導を担当するダグ・デュバックだ。世界最高レベルを誇るAMAスーパークロスやモトクロスで、ヤマハのファクトリーライダーとして活躍した人物である。

以下公式サイトより

ヤマハライダーたちの間では、「ダグ・デュバックのトレーニング」、略して「ダグトレ」と言われ親しまれているこの合宿は、2015年に第1回を行い、今年で2回目となる。開催当時の目的を単刀直入に言えば、全日本での活躍を視野とした若手ヤマハライダーのレベルアップであったが、現在はもっと大きな役割がある。

そもそも、「ダグトレ」を開催することとなったのは2015年。若手育成を担うユースチーム「YAMALUBE RACING TEAM」に加入した渡辺祐介をトップライダーに育てるべく、アメリカはカリフォルニアに拠点を置くダグに預けたことが発端だ。

もちろん、本人の努力も大いにあったが、その手腕は、渡辺がIA2トップライダーとして活躍する姿で証明された。こうして1回目が開始されることとなったのだが、この後、新たな役割をダグに担ってもらうこととなった。

ヤマハは国内で、将来有望なライダーを育て、次のステップに送り出す役割を担うユースチームと、全日本チャンピオンの獲得を使命とする「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」を持つ。さらには、アメリカ、ヨーロッパというモトクロスの本場にも、世界の最高峰で戦うトップチームを有している。

これらのチームは実力主義であり、勝てるライダーを登用してタイトルを狙う。もちろん、実力があれば日本人もそのシートにたどり着くことができる。

ヤマハとしてチームは用意した。しかし、そのチームに上がってきてもらうための「バネを巻く」育成システムについては構築できていなかった。日本の若手ヤマハライダーにとって「ダグトレ」は、そのバネを巻いてもらう場。まだ微力かもしれないが、「ダグトレ」をユースチームにふさわしい人材育成の場と位置付け、刺激を与えて潜在能力を引き出し、情熱を見極め、世界の舞台を駆けることのできる日本人ライダーを発掘するプロジェクトの一旦としたのである。

言い換えれば、ユース、ファクトリー、海外という日本から世界へ続く一本の道筋(ステップアップ)のスタート地点としての役割を持たせたのだ。だからこそ、日本のスタンダードではなく、世界のスタンダードを学ぶことができる「ダグトレ」が必要だった。

160830_55
160830_51

情熱より正しい基礎

今回参加したライダーの多くは、すでに全日本レベルで、一般人をはるかに超えた能力を持っている。しかしダグの指導は今回も一貫して基礎であり、最初は皆、懐疑的な表情にも見えた。

しかし、すぐに驚きと、ダグの要求する走りを具現化できない悔しさがにじむこととなった。なぜなら、その指導はすべてが世界基準だからだ。「基礎を知らないわけではない。世界レベルの基礎を知らないだけだ」と言わんばかりに、熱を帯びた指導が続いた。

160830_53

時間が経つに連れ、ライダーの目が、耳が、ダグのすべてに向けられるようになってきた。慣れないテクニックにミスが続き、何度も何度も繰り返しトライする。それに対してゲキが飛ぶ。

「君たちの最速の走りではなく、正しいテクニックが見たい」、「正しいか間違いか、自分の中で理解すること、それが大切だ」。

160830_52

ダグには一つの指導理念がある。
「情熱は何をするにも絶対に必要だよ。だけど情熱だけではいつか限界がくる。では何が重要なのか?それは正しい技術、正しいライディングを理解することだ。ブレーキやコーナーでのリーン角、その時のスピード…。正しいライディングをすることで、限界がなくなっていくんだ」。

だからこそ、ダグは徹底して基礎から正しいライディングを教えているのだ。

少しずつ、理解を深め要求された走りを具現化させるライダーたち。すると今度は、個別に声をかけはじめ、良いところを褒め、次のステップに促していった。

160830_54

繰り返しになるが、2日間のメニューはすべて基礎だった。アクセル、ブレーキの使い方。ライン、コーナー、スタート。それでも、トレーニングを終えたライダーたちの多くは、充実感とともに、それぞれの目標に向け、自分を改革する決意をにじませていた。

この合宿にゲスト参加していた渡辺祐介(YAMALUBE RACING TEAM)は、
「ダグさんの最大の特徴は、ライダーに寄り添えること。ライダーの気持ちを常に考えながら、ライダーの視点ですべての話をしていく。それでも最初は、信用しきれなかった。自分で築きあげたものがあったから。でも、ダグさんのことを信じついていったことで、走り方、タイムが変わり大きなステップアップが待っていた」と話した。

同じくゲスト参加した平田優(YAMAHA FACTORY RACING TEAM)は
「スタートの悩みを相談したら、具体的かつ新しい発見があった。AMAのトップライダーとして、また多くのライダーに指導をして積み上げてきたノウハウには脱帽。もっと早く会いたかったし、もっと深い部分についてたくさんのことをダグさんから学びたい」と、「ダグトレ」の価値を語ってくれた。

1ヶ月後、そして来シーズン、どれだけのライダーが、それぞれの目標に到達できているだろうか?「信じるか、信じないか」「やるか、やらないか」。近いうちに、世界を狙える人材が生まれてくることを期待したい。

→全文を読む

情報提供元 [ ヤマハ発動機 ]

関連記事

編集部おすすめ

  1. 【 Webikeニュース編集部 】 初代GSX-Rが発売されてから33年目、6代目のGSX…
  2. GP通算500勝を達成した「YZR-M1」のカラーリングを再現! ヤマハ発動機は、水冷・直…
  3. 二輪車用タイヤ、チューブの専門メーカーであるIRCは、新しいツーリングラジアルタイヤ「RMC…
  4. ホンダは、往年の名車である「NSR250R(MC18)」のカラーを再現した、受注期間限定のヘ…
ページ上部へ戻る