【賀曽利隆 コラム】賀曽利隆のバイク旅(4)「島めぐり」

【賀曽利隆:冒険家・ツーリングジャーナリスト】

》【前回】賀曽利隆のバイク旅(3)「岬めぐり」

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ツーリング猛者カソリの、大きな死角

我らツーリングライダーは「日本をこれだけ走ったぞ!」と自慢するとき、「俺は日本の全部の県を走った」とか「私は○○県と××県にはまだ行ったことがない」というような言い方をよくする。

それ式で私カソリも自慢させてもらうと、「自分は日本の全都道府県を少なくても10回以上は走っている」ということになる。どの県が一番少ないのかはよくわからないが、沖縄、北海道だけでも20回以上は走っている。

そんな「我に死角なし」と大口をたたいているカソリだが、じつは大きな死角があった。それは島だ。

伊豆諸島からの挑発!?「島めぐり日本一周」へ

バイクで島を走るのは時間も費用もかかる。それだけの時間と費用があったら、本土をもっともっとまわりたいという気持ちが強くあった。

そんなカソリなので、「北海道一周」では多くのライダーの皆さんが稚内港から礼文島や利尻島に渡るのに、ぼくは両島とも行ったことがなかった。「え~、カソリさんって、礼文にも利尻にも行ったことがないんですか」とよくいわれた。

日本は島国。その島国を象徴するのが淡路・佐渡・隠岐・壱岐・対馬の「島国五国」で、この5国にも渡ったことがなかった。「これではいけない」との思いが強くあった。

それと伊豆半島南端の石廊崎から見た伊豆七島も、「島めぐり日本一周」の旅立ちの大きなきっかけになったといっていい。伊豆大島から利島、新島、式根島、神津島の伊豆諸島を水平線上に見たとき、「おいおいカソリさんよ、日本中をまわったといっておきながら、こっちには来ないのかい?」といった挑発的な声を聞いたような気がした。

その瞬間、「行かなくては!」と強く思ったのだ。

そんなこんながあって、一大決心をして、「島めぐり日本一周」に旅立ったのは50代になってからのことだった。

最初は14ヶ月で188島。「島めぐり」もバイク旅のテーマに

2001年3月に東京を出発。日本を7地域に分けてまわったが、最初は「伊豆諸島・小笠原諸島編」。スズキの50㏄バイク、SMX50を走らせ、14ヶ月をかけて全部で188島をめぐった。その結果、「島めぐり」は「峠越え」や「温泉めぐり」、「岬めぐり」と同じように、カソリのバイク旅の大きなテーマになった。

島めぐりをしていく中で、島のランク付けをした。走行距離が100キロを超える島は大島、10キロ以上100キロ未満が中島、10キロ未満が小島。択捉島、国後島に次ぐ日本第3位の沖縄本島はさすがというか、全行程は911キロになった。それにつづくのが対馬の324キロ、奄美大島の276キロ、淡路島の255キロ、佐渡の254キロで、これら200キロ以上の島は超大島にした。

沖縄本島は島というよりも、北海道、本州、四国、九州に次ぐ準本土というとらえ方をぼくはしている。国道で見ていくとそれがよくわかる。超大島といっても対馬には国道382号の1本、奄美大島には国道58号の1本、淡路島には国道28号の1本、佐渡島には国道350号の1本という具合に、島国道は1本あるだけだ。

ところが沖縄本島には国道58号を筆頭に、国道329号、国道330号、国道331号、国道332号、国道390号、国道449号、国道505号、国道507号と何と9本もあるのだ。なお「507」というのは、国道の最終ナンバーになっている。

島国道でおもしろいのは、起点が本土だということ。国道58号の起点は鹿児島市内で種子島、奄美大島を経由し、那覇の明治橋が終点になっている。国道28号は明石市内が起点で淡路島を縦断し、終点は徳島だ。同様に国道382号は対馬、壱岐と南下し、九州本土の呼子から唐津に至る。国道350号も新潟から始まり、佐渡島を通り、直江津(上越市)が終点になっている。

160802_11▲北海道の瀬棚港から奥尻島に渡る。「島めぐり日本一周」ではこうして何度、フェリーに乗ったことか

160802_12▲礼文島(北海道)
礼文島最北端のスコトン岬に立つ。目の前の島はトド島。ここからも宗谷岬ほどの頻度ではないがサハリンが見える

160802_13▲飛島(山形)
酒田港から飛島の勝浦港に渡る。港を見下ろす舘岩に登り、勝浦港を一望。目の前の百合岩はウミネコの生息地。無数のウミネコが鳴いていた

160802_14▲家島(兵庫)
姫路港から家島に渡った。迷路のような島内の道をスクーター軍団が駆け抜けていく。写真は網手港の防波堤。海が青い!

160802_15▲本島(香川)
本島の夜明け。瀬戸大橋が見えている。この島は「塩飽水軍」の本拠地だった。海辺の集落では「夫婦倉」と呼ばれる2連式の倉を見た

160802_16▲隠岐(島根)
隠岐は島前と島後に分かれている。島前には中ノ島や西ノ島、知夫里島があるが、島後はひとつの島で島名はない。写真は西ノ島の鬼舞スカイラインで馬の放牧が見られる

160802_17▲隠岐(島根)
島後を一周。後ろに見えているのは島後の最高峰の大満寺山(607m)。山頂直下には大杉の「乳房杉」がある

160802_18▲奄美大島(鹿児島)
奄美大島南端の古仁屋港から対岸の加計呂麻島を見る。加計呂麻島にはフェリーが出ているのだが、渡れずに残念無念…。このように渡りそこねた島がいくつもある

160802_19▲伊平屋島(沖縄)
本部半島の運天港からフェリーに乗って沖縄最北の島、伊平屋島にやってきた。島に上陸すると伊平屋島最北端の田名岬に向かった

160802_20▲那覇の泊港からフェリーで久米島に渡った。そのほかここからは渡嘉敷島、座間味島、粟国島にも渡った。そのあと那覇新港から八重山諸島の石垣島へと渡ったのだ

カソリ的「日本の島・ベスト10」

全行程2万5282キロの「島めぐり日本一周」を走り終えた時点で「日本の島・ベスト10」を選んでみた。その結果は次のようなもの。1位 屋久島、2位 利尻島、3位 隠岐、4位 対馬、5位 与那国島、6位 奄美大島、7位 佐渡、8位 小豆島、9位 石垣島、10位 母島となる。

さらに島峠、島岬、島温泉のベスト10も選んでみた。カソリの選んだそれぞれのナンバーワンは島峠が登龍峠(八丈島)、島岬がスコトン岬(礼文島)、島温泉が地鉈温泉(式根島)。

登龍峠からは伊豆諸島の最高峰、八丈富士(854m)を一望する。北緯45度27分45秒のスコトン岬は、日本本土最北端の宗谷岬や日本最北端のカムイワッカ岬(択捉島)とそれほど変わらない。海岸のV字谷にいくつもの天然露天風呂のある地鉈温泉は、島の温泉とは思えないような秘湯。そのような秘湯が東京都にあるのだ。

「島めぐり日本一周」最大の収穫

日本の全島数は6852島になるという。そのうち有人島は258島。日本の全島めぐりは無理としても、せめて有人島の258島は全部、まわりたいものだ。

「島めぐり日本一周」を終えてよかったことは、カソリの日本地図がより広く、より大きなものになったことだ。小さな島にこだわったことで、より大きな、より広い日本が見えてきた。それがぼくにとっては「島めぐり日本一周」の最大の収穫といっていい。

賀曽利隆

賀曽利隆冒険家・ツーリングジャーナリスト

投稿者プロフィール

1947年東京生まれ。
1968年から2年間をかけてアフリカを一周したのを皮切りに、バイクで世界の6大陸を駆け巡る。
1982年には「パリ→ダカールラリー」に日本人ライダー初の参戦。1987年には「サハラ砂漠往復縦断」。7度の「日本一周」を成しとげ、「70代編日本一周」を目指している。
ツーリングマップル東北の担当ライダーで、東北の道という道を精力的に走っている。
モットーは「生涯旅人!」

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