【和歌山利宏コラム】ライテク都市伝説を斬る [その2 内足荷重]

【和歌山利宏:モーターサイクルジャーナリスト】

》【前回】ライテク都市伝説を斬る [その1 逆操舵]

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「内足荷重」の的外れな風潮

「バイクは内足荷重で曲がる」、「コーナリング中はバイクのイン側に荷重する」
こんなバカげた都市伝説は、一体、いつ頃に生まれたんでしょうか。

おそらくは、80年代前半期のロードレース世界選手権「GP500」クラスで、ホンダのNS500に乗るランディ・マモラの外足がステップから浮いていたため、もう外足荷重は古いと言われ始めたのが最初でないかと思います。

そして、イン側に体重移動するのだから内足に荷重して当たり前との俗説が生まれ、これがトレンドであるかの風潮が定着していったようです。

ただ、これに関し後年になってマモラは、「コーナーで自分の身体をイン側前方に移動した結果、外側ステップに足が届かなくなってしまっただけ」、と語っています。何も内足荷重が本質ではないのです。

コーナリングにおける鉄則「外足荷重」の重要な役割

とにかく、外足荷重は、コーナリングにおける鉄則であり、それは今も昔も変わりません。タイヤや足回りの性能が低く、グリップ力が期待できなかった時代のものではありません。

まず、知っておきたいのは、バイクには外足荷重によって安定する性質があることです。

バイクは、常に安定と不安定を繰り返しながら、安定を保っている乗り物です。身体からバイクへの荷重状態も常に細かく変化しています。

外足に荷重が保たれていれば、マシンを起こす作用が生じ、不安定な状況からでも安定します。でも、内足荷重はマシンを寝かすので不安定になります。だから、外足荷重でないと、リラックスしてライディングできないのです。

極端な状況としてリアが滑ったときでも、外足荷重だとマシンは自然に起きてくれます。内足荷重だとハンドルを内側に切って起こさないといけないので、ハイサイドしやすくなります。

それだけではありません。外足荷重にはもっと重要な役割があります。旋回初期に舵角を入れ、向きを変えるために必要なのです。まさにリーンさせようとするタイミングで舵角を入れるには、一瞬、体重をアウト側に残さないといけないのです。

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「外足荷重」はコーナリングにおける「軸足」

私はライディングにおける身体操作とは、生物として生まれつき備わっている自然な動きだと考えています。つまりこれは、競歩で踏み出し寸前に、支持脚側の腰を外側に突き出すように”く”の字に曲げて、ぎりぎりまで体重を外側に残すのと同じなのです。

野球のバッティングやピッチングの初期動作で、下半身の動きを前に先行させながらも、タメを入れて体幹を後ろに残し、後足(軸足)に体重が載っているのも同じです。

だから、この動きがしっかりできるほどに、外足荷重となります。昨今の都市伝説の中には、「旋回中は外足荷重でも、コーナー前半では内足荷重」といったものがありますが、それでは曲げるためのコントロールはできません。今思うと私は、外足荷重という言葉で、バイクの乗り方を教わった気もします。

でも、それではバイクが寝ない、曲がらないという人もいらっしゃるでしょう。その理由は簡単。外足を蹴っているからです。バイクに入力はしてはいけないのです。そのことは次回にでも。

【和歌山利宏コラム】ライテク都市伝説を斬る その3に続く

和歌山利宏

和歌山利宏モーターサイクルジャーナリスト

投稿者プロフィール

1975年にヤマハ発動機に入社。ロードスポーツの開発に携わる。
レーシングライダーとしても活躍し、鈴鹿8耐第4回大会では4位入賞。
85年からはヨコハマゴム契約となり、タイヤの開発テストを行うとともに、
ワイルドカード参戦した87年の日本GPでは、250ccクラスで11位に入る。
90年からはジャーナリストとしての活動を始め、現在に至る。

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